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『ノンフィクションはこれを読め! HONZが選んだ150冊』 [☆☆]

・津軽弁の「ほんずなす」から命名された。「ほんずなす」とは浅はかで思慮を欠くというほどの意味だ。

・首の皮一枚残す理由というのがすごい。首が切れても、その瞬間に意識がなくなるわけではない。「首が完全に胴体から離れ落ちるように斬ると、切腹人(の首)がまばたきをしたり地面の石や砂にかみついたりするから」だというのである。

・海に面した国々が極々小さな島にまでこだわって領有権を主張するという考え方が国際的常識になったのも、沿岸から二百海里の排他的経済水域設置が提唱され始めた1970年代以降のことで、歴史的には新しい考え方なのだという。

・海図には記載されているが実在の確認が取れていない、いわば幻の島を「疑存島」というそうだ。

・毛沢東は党大会で「世界大戦だといって大騒ぎすることはない。せいぜい、人が死ぬだけだ。人口の半分が壊滅される程度のことは、中国の歴史では何度も起こっている。人口の半分が残れば最善であり、3分の1が残れば次善である」と言っている。

・ダチョウは声が出ない。だから牧場にはダチョウがたくさんいるにも拘わらず、シーンとしていて、時折ダチョウが口をパクパクさせる音が響くのみ。

・ウイルスなどの抗原をダチョウに注射すると、抗体が作られるとともに、ヒナを病原体から守るべく、血液から卵黄へと抗体は移行するので、そこから抗体を精製できる。

・圧倒的に女性から嫌われるのは「上から目線」、自慢話の一辺倒。逆に「下から目線」で卑屈な印象を相手に与えるのも避けるべきだ。最も望ましいのは「横から目線」。相手の特性や立場を理解したうえで、同じ視点から対話する姿勢のこと。

・わたしたちが昆虫を食べないのは昆虫がきたならしく、吐き気をもよおすからではない。そうではなく、わたしたちは昆虫を食べないがゆえに、それはきたならしく、吐き気をもよおすものなのである。

・自分たちの思考の範囲を「今、ここ、自分」に絞っている。このことによる機会の損失はもちろん否定できないのだが、同時に不安や恐れ、絶望といった西洋社会を席巻している厄災をも、ほとんど取り除いてしまっているのだ。

・熱中症にかかる作業員が続出。それでも下請作業員が不満を口にすることはない。原発を生活の糧としていない作業員ならともかく、五次請け、六次請け、七次請けの作業員にとっての恐怖は、仕事を失うことだからだ。

・かつてヤクザの分類に博徒系、的屋系などと並んで、「炭坑暴力団」という項目が存在していた。

・ブログで買い物三昧のセレブな生活を発信し続けたがその場は、逮捕されたことで奪われた。その彼女が次の発信の場に選んだのが法廷。ファッションショーさながらの振る舞いも裁判でのぶっ飛びぶりもそう考えると合点がいく。

・日本製自転車の平均輸出単価は1990年には4万円を超えていた。ところが2010年には1万円まで落ち込んでいる。一方、台湾の平均輸出単価は2002年には124ドルだったが、2011年には380ドルに上昇している。日本こそが量販店対応の安モノしか作れなくなっているのだ。家電業界でも同じような事態が進行中なのかもしれない。

・マイノリティ憑依とは、例えば被災地以外のエリアに住む人が「被災者の前でそれが言えますか」などと被災者の立場を勝手に代弁して、反論してくることを指している。

・日本では年間1000人以上の所在不明の「居所不明児童生徒」と呼ばれる小中学生存在するのだ。居所不明児童生徒とは、住民票を残したまま、1年以上、所在不明になり、その後の就学が確認されていない日本国籍を持つ子供を指す。所在がわかっている不登校児などは含まれない。

・ささいなミスをした店員に対して怒鳴り散らす大人もいる。彼らは日頃、仕事でもミスばかり、上司や同僚はもとより後輩にさえ軽んじられ、家に帰っても誰からも相手にされず、どこにも居場所がない。そんな淋しい境遇の人が、客という「上から目線」が許される立場を金で買っている。

・「傍観者効果」という言葉が胸に刺さった。傍観者が多ければ多いほど、罪は進行してゆく。それどころか、大量虐殺や集団暴力は、傍観者がいないと成り立たない。犯罪者は傍観者を自らを支持する者とみなし、犯行をエスカレートさせるのだ。

・かつて、フィリピン女性にハマった日本人男性を「ピンぼけ」と呼んでいた。

・覚えるのはもう無理なんですね。それを考えると、プリンシプルだけを覚えて、あとは調べればいい、ということになります。

・英語のwikipediaはものすごい情報量ですよね。だいたいあれだけで学生を教えられるんちゃうかな、と思うぐらい。wikipediaの日米の違いは、両国の決定的な差になりかねないと思っていますね。

・「アート」とか「味」という類の言葉は随分便利なもので、これは芸術です、と口にさえすれば、え? と思うようなものでも、え? と思う側の人を無粋にしてしまう、なんとも魔法のような言葉だ。

・文明が崩壊するのは、「脳が文明を手に負えなくなる」からだ。潜在的な問題が複雑さを増してきて、文明が持つ知識で解決可能な「認知閾」を越えてしまい、問題を次世代に先送りするしかない状況に陥る。これが、文明の滅亡の遠因だという。

・日本人が英語を英語を話せない理由の1つは単語力にあるのではないかと疑っている。オフィスを見回してみると簡単には英語が思い浮かばないモノが多い。

・働きバチには、外敵が現れた際、女王バチを守るために攻撃するハチと逃げ出すハチがいるそうだ。両者の違いは何か。脳内がウイルスに感染しているか否かだそうだ。このウイルスに感染している働きバチは死を覚悟して攻撃行動に出るのである。ちなみにこのウイルスはカクゴ(覚悟)ウイルスと命名されている。

・地球上には膨大な種類のウイルスが存在することが分かっているが、研究が進んでいるのはヒトや家畜に関するウイルスだけなのだ。

・真に強い集団は、競争させたり厳しい環境に放り込んで生き残った少数精鋭で構成されるのであって、弱いモノの寄せ集めでは強くなれない。

・絶滅を回避するのに最も大事になるのは、ある環境において「一番」強いことではなく、どのような環境でも「そこそこ」強いことなのだそうだ。

・最近の動物愛護運動についても、次のように語る。動物を救いたい人は、かつては動物の行動を勉強したが、今日では法律の学校に行く。何もかもが法律家の手にかかったら、本物の動物の姿を見失ってしまう。



ノンフィクションはこれを読め!  - HONZが選んだ150冊

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  • 作者: 成毛 眞
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2012/10/24
  • メディア: 単行本



ノンフィクションはこれを読め! - HONZが選んだ150冊

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  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2012/10/25
  • メディア: Kindle版



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