SSブログ

『無気力なのにはワケがある』 [☆☆]

・そもそも心理学は、人がある状況に置かれたとき、あるいは外部から何らかの刺激を受けたとき、どのように感じるか、行動するかを法則化することを目的にしている。

・どの学問にも共通していることだが、法則はできるだけシンプルなほうが良い。科学とはそういうものである。自然界に存在する複雑な現象を簡単に法則で説明できるから、われわれは何かをわかったと思えるのである。

・自分でコントロールできないと思うこと、つまり、コントロール不可能性の学習が無気力の原因である。

・無気力にならないために重要なのは、状況を自分でコントロールできていると思えることだと言えよう。

・近ごろは「指示待ち族」などという言葉もあるようだが、たいていの人は、自分でできることまで他人に指示されたくないものだ。

・コントロール不可能な状況は、単に無気力を引き起こすだけでなく、身体的な健康にも深刻な被害を与えていた。

・何かを試みてコントロール不可能だったとき、その理由をどう考えるかは人によって異なる。ある人は「これは難しすぎて、誰にもできるはずがない」「できなくても仕方ない」と考えるが、別の人は「これができないのは、自分だけかもしれない」「自分には能力がない。なんて駄目な人間だ」と思うかもしれない。この場合、後者のほうが明らかに学習性無力感になりやすい

・性格という概念は、ある意味、非常に便利な概念である。「○○しやすいのは、そういう性格だから」と言ってしまえば、何でも説明できてしまう。だが、そう言って片づけてしまうと、結局何も説明できていないのである。

・多くの人は自分が関わった出来事の結果の原因を、半ば無意識に、半ば意識的に考えてしまう。それが原因帰属である。

・人でも動物でも、まったくストレスのない状態に置かれていては駄目だということだ。そういう状態に置かれていると、とつぜん深刻なコントロール不可能な事態を経験したとき、簡単に無気力に陥ってしまう。

・人はよく「あの人は能力が高いから勉強しなくてもできる」「あの人は才能より努力の人だ」という言い方をする。これはどういうことかといえば、ふつう、人は努力と能力を相補的なものとみなしているのだ。

・われわれは、能力は生まれつきであまり変えようがないが、努力は本人次第で何とかなり、努力が能力不足を補うと考える。

・学習性無力感に陥る原因は、自分の経験をコントロール不可能だとみなすこと、そして、将来も自分はできないだろうとみなすことにある。自分はできないだろうとみなすことは、自分には能力がないと思うことである。

・人間は知らず知らずのうちに状況の影響を受け、その通りに考えたり行動したりする一面を持っているのである。これを暗示という。

・オプティミズムでゆくべきかどうかのガイドラインとして、失敗した場合にどうなるかを考えてみて、その被害がたいしたものでないと判断できれば、オプティミズムでゆけばよい。





無気力なのにはワケがある―心理学が導く克服のヒント (NHK出版新書 416)

無気力なのにはワケがある―心理学が導く克服のヒント (NHK出版新書 416)

  • 作者: 大芦 治
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2013/09/06
  • メディア: 新書



無気力なのにはワケがある 心理学が導く克服のヒント (NHK出版新書)

無気力なのにはワケがある 心理学が導く克服のヒント (NHK出版新書)

  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2013/09/10
  • メディア: Kindle版



タグ:大芦治
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

トラックバック 0