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『貧困についてとことん考えてみた』 [☆☆]

・自己責任論は決まって、窮していない人が窮している人に対して使うものだ。

・パーソナル・サポートという仕事は、人に「変われ」ということを求める仕事なわけです。

・学習支援というと、いまだに「勉強をしていい高校に行きましょう」という捉え方だけが強い気がしています。

・「誰が自分に仕事を紹介してくれるか」について調べたところ、実は友達の友達のような「弱いつながり」がすごく大事だという結果が出たんですね。おそらく、Dさんのように苦しんでいる人たちって、そういった「弱いつながり」によるネットワークがつくれなかった人たちだと思うんです。

・やはり、競争競争って言い続けていると、学校でも地域でも職場でも、自分の上か下にしか、人がいなくなってしまう。横にいない。

・イノベーションというのは、ちょっとした工夫の積み重ねなんです。逆に何かすごいことばかりを狙っている人というのは、そういった積み重ねができないから、実はイノベーションが一向に起こらない。

・壁を意識化する。それは大事ですね。意識化しないと、乗り越えたり壊そうという発想も出てこない。

・「役所は何もやってくれない」と思ったとき、その人が忘れているのは、役所で働いている人も一人の人間だということなんですよね。

・はじめから「役所の人間なんだから動くべきだ」というところからスタートするのではなくて、「どういうことがあったら、この人が動きたくなるのか」ということを考える。

・同質の人の集まりは和(足し算)にしかならないけど、異質の人の集まりは積(掛け算)になる。

・日本の最低賃金というのは、「家族の傘」に守られた主婦パートや学生アルバイトの低い賃金に合わせていたから、今よりずっと低かったんです。その賃金だけで暮らすということがほとんど想定されていなかったので、今よりずっと低かったんですが、低いということが問題にされてこなかった。

・共産党はインテリ層や学生を中心に支持を集めていました。なぜ、支持を集めていたのかと言えば、その背後に、マルクスをはじめとした思想家や理論化のつくり上げた精緻な理論体型や世界観があって、資本とは何か、労働とは何か、資本主義の中で労働者はいかに搾取されていくのか、といったことを考えるための指針となるものがあったからだ。

・共産党が、今は「脱原発! 増税NO!」といったことをポスターに書いている。でもそこからは、ある精緻な世界観やモデルからロジックを組み立てていった結果、このような結論になりました、というプロセスがまったく感じられない。単にポピュリズムの追認と見なされてしまうから、かつてのような共感を呼ぶこともない。

・「わかりにくいものは、その時点ですでに悪い」という拒否の仕方をする。「わかりやすいものは良くて、わかりにくいものは悪いもの」という善悪のつけ方をする。こういった判断の仕方は、とても危険です。

・やはり官僚機構というのは政治家をサポートするものなのだから、特に政治家が官僚を敵視するというのは、おかしいと思うんですよね。

・しっかりとしたシンクタンクを持っていないから、与党になれば、「官僚の掌の上で踊らされている」と批判されるようになって、野党になれば、何の情報も入ってこないから無責任なことしか言わなくなる。いつまで経っても、このサイクルから抜け出せない。





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