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『「学歴エリート」は暴走する』 [☆☆]

・「東大話法」とは、かいつまんで言いますと、わざと物事をややこしく、論点を難しくして問題をうやむやにし、状況を自分に有利なほうに誘導しつつ、相手を煙にまいて自らの責任を回避する話術です。

・東大卒は正解のある問題をうまく解くことはできるけど、答えのない問題や、質問そのものを考えるという局面になると厳しい。人生でそういう訓練をしたことがないんでしょうね。

・「東大卒」というのは、他の道を選んでも成功する望みが少ないので「御役所系」の「エリートコース」のみしか歩くことができないと言うほうが正しいのです。

・日本は戦前から現代にかけて一貫して「立場主義」というものが支配している、極めて珍しい「立場主義社会」なのです。

・高度経済成長期というのは日本の歴史のなかで子供たちが最も「人殺し」に走っていた時代という見方もできるのです。こういう数字に触れると、「今どきの少年犯罪は昔に比べて荒んでいる」といった、しばしば繰り返されるような「昔はよかった」的な懐古主義にも注意深い視線を向ける必要があると感じさせられます。

・「経済戦争」を進めるという方向が決まった「立場主義社会」において、会社に命を捧げるという「役」を果たさないことには、国民としての「立場」を守ることができません。お国のために命を捧げる「役」を果たさないと、「立場」を失う戦争中の構図とまったく変わっていないのです。

・全校生徒が校庭に集まっておこなわれる「朝礼」から「運動会」というものまで、すべて「軍事教練」という名の軍隊式教育の名残なのです。

・私たち日本人は、日本社会の構成員ではなく、日本「立場主義」社会の「素材」にすぎないのですから、その意思決定には関与できません。

・かつて日本が得意だった製造業やIT分野。その製品を中国やインドは10分の1のコストでつくってしまいます。つまり、これらはもはや彼らが得意なことになってしまっているのです。にもかかわらず、私たちはまだかつて得意だったことに固執しています。勝てるわけがありません。

・「奇跡の一本松」のようになんとか立ってはいるけれど、中身は壊死状態。そんな日本経済に強引に防腐処理を施して、カーボンの棒を通して立たせようというのが、アベノミクスです。

・「奇跡の一本松」の痛々しい姿を自分たちと重ねて、「がんばろう」とか「絆を守れ」とかいって歯を食いしばって前にすすむ今の状況が、私は怖くてたまりません。「欲しがりません、勝つまでは」といって「国民総動員」を強要したあの時代と丸かぶりだからです。





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