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『もう「東大話法」にはだまされない』 [☆☆]

・「絆の大切さを思い出せ」というスローガンは、「自分たちをくくりつけているヒモの大切さを思い出せ」と呼びかけるのと同じことなのです。

・私が問題だと考えているのは、人間をくくりつけてしまう「絆」と、人々が生きるために取り結ぶダイナミックな「縁」とが、混同されてしまい、前者を後者と勘違いしている人が多すぎることです。

・政治が乱れ、民を虐げるような非道な行為がおこなわれている時、欺瞞に満ちた言葉が蔓延するというのは、いつの時代も変わりません。

・欺瞞を口にしたり、言葉を言い換えたりすることは、現実から目を背けて思考停止をしていることになります。

・「我が国は」という言葉を繰り返し繰り返し使うことで、「我」は関係ないと自分をダマしているのです。

・「事故を起こしたのは我が国であって、私はあくまで傍観者ですよ」ということでみんなヘラヘラと笑っていることができるのです。

・裁判というのは、互いに自分がどう思っているのかということは関係なく、屁理屈合戦をおこなって有罪か無罪かを勝ち取るゲームです。

・ひとりひとりは悪ではない。しかし、それが集団になるとすさまじい巨大な悪になる、というのは今回の事故でも明らかになった日本社会の特徴のひとつです。

・当事者であるにもかかわらず、「悪事の微分化」によって、傍観者のように振る舞い、欺瞞的な発言を繰り返す。その発言はどこまでいっても無責任ですし、自分には被害が及ばないように「公平」を装う。

・社会に悪影響を与える輩を生み出す存在という意味では、東大はまるで、『仮面ライダー』のショッカーや、『タイガーマスク』の虎の穴です。

・「こんなの人権侵害だ!」と騒ぎになっているケースをよく見てみると、たいてい侵害されているのが人権ではなく「立場」であることがわかります。日本人は、人権を侵害されてもさして大きな問題にしないのに、「立場」を侵害されると大きな衝撃を受け、怒り狂う、という現実があります。

・人の立場をないがしろにしたら恨みを買います。自分の立場が危険に晒されたくないので、とにかく人の立場も丁重に扱う。

・とにかくサラリーマンという立場は定年まで約束するから俺の立場も尊重してよ、というのが終身雇用制を支える基本的な思想なのです。

・関所資本主義とは、コミュニケーションのボトルネックをつくりだし、そこを支配することで巨額の利益を得るシステムのことで、私としては「利益の源泉」というのはこのシステムしかないと思っており、近代になってからうまれた製造業からITビジネスまですべて「関所」という概念で説明できます。

・そこには昨日まで手書きで書いていた稟議書がプリントアウトされていたのです。あの衝撃、というかバカバカしさは今も忘れられません。コンピュータ化というのは、きれいに印刷されるというだけだったのです。

・電子印鑑のウリは災害やインフルエンザの流行などで出勤できない際にも承認業務ができるということですが、そもそもこれだけネットワーク技術が進んでいるにもかかわらず、「上司がハンコを押す」という手続きが消滅しないほうが、どうかしているのです。

・「立場のない人」というのは、組織の中で「立場」を守るための「役」が与えられない人ですから、たとえば「派遣社員」や「非正規雇用」と呼ばれる方たちや無職の方たちがこれにあたります。

・サラリーマンの正しい姿とは、個性を捨て、自分らしさにこだわらず、自分の脳を過信せず、歯車になることを厭わない存在になることである。

・なるべく決めたくないことを「議論が足りない」とか「そこまで議論が煮詰まっていない」などと言い訳をして、のらりくらりとやっているうちに塩漬けにしてしまうのです。

・東日本大震災後、ディズニーランドは下半期に過去最高の入場者数を記録しました。見たくない現実をつきつけられた時、自分が「幸せじゃない」ということに気づきそうになった時、人は「幸せの偽装工作」に走るのです。

・彼らの文化の特徴は、「絶え間ない愛想笑いと繰り返される下らないジョークによって粉飾された幸福感」にあるのではないかと考えています。

・「魂」が植民地化されている人は、自分自身の地平ではなく、他人の地平を生きるようになってしまうのです。つまり、自分自身が感じる「幸福」ではなく、他人が「幸福」だと思っていることを追い求めるのです。

・出題者が何を問いかけているのかを瞬時に理解して、それにふさわしい答えを即座に出す。毎日毎日その反復トレーニングをおこなって、その技術を研ぎすませた者が「東京大学」に入るのです。決して頭がいい人が東京大学に入るというわけではありません。

・七三一部隊の科学者も、特攻隊で亡くなった若き兵士も、過労死をした企業戦士も、個人的な感傷や感情を押し殺し、「人」ではなく、「立場」に徹したので、それぞれの「役」を果たすことができました。それで社会的に大きな賞賛を得られたのです。

・大きな機械の部品にそれぞれ感情があっては、機械が動きません。感情がないほど機械はスムーズに動くので、「立場」というのは部品になるということです。

・「東大話法」を操る人間はもちろん、それを聞いて感心した人間が今度は「東大話法」の語り手となって自己増殖するので、ウィルスのように社会全体に感染していきます。











タグ:安冨歩
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