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『ネクスト・ルネサンス 21世紀世界の動かし方』 [☆☆]

・メディチ家のような、企業家と政治家を合わせたような人物が再び大きな役割を果たすようになると確信している。

・『君主論』の中で、マキャベリは、「政治とは外交と戦争の技術を一体として駆使することだ」と書いている。

・彼らが怠惰で非効率なのに、国際機関や国際公務員たちが多数存在し続けている理由は何か。それは、国際機関や国際公務員たちは存在することが目的になっていて、何かをするために存在しているのではないからだ。

・カナダのオンタリオ州やケベック州、ドイツのラインラント、スペインのバスク州の高官たちは世界中を回って、自分の州に投資してくれるようにアピールしている。彼らは中央政府が何かやってくれることを待っていても何もしてもらえないことをよく知っているのだ。

・現在、40の都市部と呼ばれる地域が世界経済の三分の二を占めている。そこには資金、知識が集まり、安定している。

・政府は再分配機能よりも規制機能を果たすようになっている。政府の最高の形態は、税金を広く公平に集めて、それを原資にして、裁判所を運営し、所有権をしっかり保護し、国境を警備し、警察力を強化し、経済の安定を図り、セーフティ・ネットをある程度完備する、そういう形態である。

・企業や国、NGOなどを経済規模で比較すると、世界のベスト100のうちの約半分は企業である。

・収益を上げられなければ継続できない、という企業の考えは正しい。したがって、企業は収益を伴う環境持続可能性をを追い求める。

・NGOは国際政治におけるタグボートのような存在である。NGOは、人権や気候変動の問題について、スーパータンカーのような存在である政府と国際機関を正しい方向に導いている。

・管理と監督ではなく、調和を大切にすることと同調性は経営管理の新しい原理となっている。権威が集中する必要はなく、問題解決方法も一つではない。ルールはトップダウンではなく、ボトムアップで決まる。

・「誰が」福祉や安全を供給するのかということよりも、実際に福祉や安全が供給されるかどうかが問題である。

・信頼というものは結果を出すことで得られる。大きな成果である必要ではなく小さな成果を出すだけでよい。

・現在の金融市場は、G8サミットで出される宣言文に反応することはないが、ソロスのG8の宣言文に対する対応や評価には敏感に反応する。

・国際社会では決定する側に回らねば、自国の運命を他国に左右されてしまう。

・G20に参加している20か国・地域で、世界の人口の80パーセント、経済力の80パーセント、二酸化炭素排出量の80パーセントを占めている。

・欧米諸国の政府関係者は、外交に関する大切な格言を忘れてしまっている。その格言とは、「お金を持っている人間こそがルールを作る」というものだ。

・問題解決のための唯一の長期戦略は、「他人を助けるためには、その他人が自分の力で問題を解決できるように導くことだ」。これはもはや戦略というよりも、政治の基本とも言うべきものだ。

・1948年、実際に住み慣れた土地を追われたパレスチナ人たちがすべて死亡するまで、イスラエルはパレスチナ人たちに帰還する権利があるなどとは絶対に認めないだろう。

・ハイチはその場しのぎの「NGOたちの共和国」の状態から、国際社会からの資金やインフラの建設計画といった支援をハイチ国内の企業、市民団体、政府組織とうまく結びつけるための新しいシステムの構築へと進まねばならない。

・多くの人がボスニアを管理するというのはたくさんの猫を飼うようなもので各民族がそれぞれ言うことを聞かないから苦労する、と助言してくれた。私は彼らの喩えが国際社会にも当てはまることに気づいて、笑えなくなった。

・国連は、コンゴ、リベリア、ハイチ、スーダンに対して平和維持部隊を投入したが、そもそもこうした国々には維持すべき平和は存在していなかった。

・アフガニスタンからはアヘンが輸出されている。このアヘンが原因でNATO諸国では多くの市民が命を落としている。その数はアフガニスタンで戦死したNATO軍の将兵の数の5倍にもなっている。

・労働こそが私たちを人生における三つの災厄から救ってくれる。その三つの厄災とは退屈さ、悪徳、貪欲さである。

・世界貿易というものは、本当は国際的でも何でもない。世界の貿易量の60パーセントをたった10か国で占めている状態だ。世界の貿易量の92パーセントを60か国が占めており、残りの約130か国で、世界の貿易量のわずか8パーセントを占めているにすぎない。

・ヨーロッパ各国は乳牛1頭につき、1日2ドルの補助金を出している。インド国民のうち約7億人は1日2ドル以下で生活している。

・インドに進出している複数の海外銀行が協力してインドの電力供給の安定化を進めている。その理由は、電力が安定的に供給されないと、そうした銀行のATMが機能しなくなり、人々から壊されて中に入っている現金を盗まれてしまうからだ。

・アフリカ諸国では新しインフラのほとんどを中国人たちが建設したので、インフラの交換修理を行う際に自国製の部品を使えず、値段が跳ね上がっていく中国製品を使わねばならない。

・中小企業や国有企業は、洗練された経営方法を持っておらず、また厳しい審査を受けることもない。その結果、これらの企業は非効率な経営を行い、また環境汚染にも鈍感である。

・援助を受ける側のアフリカの人々は、援助を牛乳を搾り出してくれる乳牛だと考えている。そして、牛乳を搾るのは自分たちではないとも考えている。

・貧困の罠というのは、言い換えると援助の罠なのだ。

・お金を数百万ドル、いや数億ドル持ってしまうと、そのお金はもはや自分のものではない。このお金は社会のもので、社会に役立てるべきだ。

・私は常に楽観論者だ。それは、楽観論以外の立場を取っても何の意味もないと考えるからだ。





ネクスト・ルネサンス 21世紀世界の動かし方

ネクスト・ルネサンス 21世紀世界の動かし方

  • 作者: パラグ・カンナ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/06/10
  • メディア: 単行本



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