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『資本主義の終焉と歴史の危機』 [☆☆]

・資本主義は「中心」と「周辺」から構成され、「周辺」つまり、いわゆるフロンティアを広げることによって「中心」が利潤率を高め、資本の自己増殖を推進していくシステムです。

・投資がすでに隅々まで行き渡ってしまい、「革命」と言えるほどに利子率が低下したのです。

・14世紀末までにペストの流行で人口の三分の一が死亡したため、相対的に労働者の得る実質賃金が趨勢的に伸びていきました。

・希少な労働力を維持するために、荘園の支配者たちは労働者(農民)の租税貢納を重くすることすらできなかった。

・イギリスの1人当たりのGDPが、当時の先進国イタリアに追いついた時点で、「価格革命」は収束した。17世紀の半ばのことです。

・中国の1人当たりのGDPが日米に追いついた時点で、21世紀の「価格革命」も収束するだろうと予測できます。

・2030年代前半に中国の1人当たり実質GDPが日米に追いつくまで、資源価格の上昇と新興国のインフレ、つまり「価格革命」は収束しません。

・過剰生産となれば、中国の外側に中国の過剰設備を受けいれることのできる国はないので日本以上のバブル崩壊が起きるのは必然だと思われます。

・偉大なコレクションとは膨大なということであって、完成しているということではない。蒐集家が必要とするのはまさしく過剰、飽満、過多なのだ。コレクションとは常に必要を越えたものなのだ。

・自由主義は、最弱の者と自由に競争でき、抗争の主役ではなく、犠牲者であるにすぎないか弱い大衆を搾取できる完璧な力を、最強の者に与えたかったのである。

・金利を下げられない国も、金利が下がっても不平・不満がなくならない国も、どちらも文明が破綻するというケインズの指摘。

・利子率の低下とは、資本主義の卒業証書のようなものです。したがって、金利を下げられない国は、まだ資本主義を卒業できていない状態にあり、金利が下がっても不平・不満がなくならない国は、卒業すべきなのに「卒業したくない」と駄々をこねている状態です。

・もともと利子は、神に帰属していた「時間」を人間が所有することを意味していました。その結果、たどり着くゼロ金利というのは、先進国12億人が神になることを意味します。

・貧乏人とは付き合うな。なぜなら、彼らに期待すべきものは何もないからだ。

・ユーロは経済同盟というよりも政治同盟であり、最終的にはドイツ第四帝国の性格を強めていく。

・利子とは時間に値段をつけることです。したがって、利子を取るという行為は、神の所有物である「時間」を、人間が奪い取ることにほかなりません。

・現在の「一部」を将来は「万人」に拡大するという夢の上に科学技術と民主主義は共存している。



資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)

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  • 作者: 水野 和夫
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2014/03/14
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