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『クール 脳はなぜ「かっこいい」を買ってしまうのか』 [☆☆]

・環境問題に中指を突き立てるような存在とみなされるハマーは、過激な「エコテロリスト」たちの標的となっている。

・自称「反消費者」も、大体は単なる「別のものを選択した消費者」になる。

・ホモ・ソシオロジクスが消費するのは、社会によって操られているからなのだ。それは受け身のカモのようなもので、自分で意味のある選択をせず、コンシューマリズムの求めにただ従っている。

・現在の消費者文化についての議論の多くは道徳主義的で、その多くが非難である。

・裕福な国に住む人々の幸福度は、貧しい国に住む人々とそれほど変わらない。重要なのは相対的収入のようだ。

・幸福度は、同じ国の他の人に比べて、自分がどんな暮らしをしているかで決まる。いわば、世間一般を下回らないことが、何より重要ということだ。

・物事は過去の方が良かったと感じる衰退主義がこれほど注目されるのは、私たちの脳が、過去をそのままの姿で記憶しないからだ。

・多くの人は仕事が嫌いで、仕事を単なる道具として、つまり収入のために欲しがっている。

・「欲しい」と「好き」の違いは、習慣の中でこそはっきりする。習慣の多くは、好きという気持ちがなくなった後も長く続く。実際、「悪い」習慣とは、やめたいのにやめられない行動――好きでもないのに欲しがることだ。

・クールなものを見てクールだとわかるのはクールな人だけ、というのがクールの法則だ。

・クールでない人にはクールがわからないが、クールな人もそれを適切に説明できない。

・意図的な規則破りは、自分との関わりがより深いとみなされる。第三者のことであっても、もし自分がそのように規範を破って責任を負うことになったら他人にどう思われるかを考えるのだ。

・2人の人物が新しいクールなタブレットやスマートフォンを買ったとする。ひとりはそのクールさに惹かれ、もうひとりはクールでない別の製品を避けたいという理由で選んだのかもしれない。

・無名ブランドのロゴがついたセーターを着た女性が近づいてきたとき、アンケートに答えるのを承諾した人はたった14%だったのに、ワニのロゴがついたセーターを着ている女性のときは、52%に跳ねあがったのだ。

・私たちは、競争のための競争はしない。私たちは、協力するための競争をするのだ。

・ワニのマークのような地位のシンボルが、社会的によい行為を引き出している。

・社会的選択についての進化理論では、人生の成功は、社会的パートナーの質に左右される。

・今日の支払いは6等分の割り勘にしようと言い出す。あなたが自分で支払うのは6分の1、残りの6分の5は友人が払ってくれる。そうなると、想定していたより高い食事を注文した方が得だと考えたくなる。もちろん他の人も同じように考える。その結果、みんなが高いものを注文し、結局は全員が多く支払うことになる。実際、同額の割り勘にすると、食事代は平均36%も跳ねあがる。

・顔面幅比(顔の長さに対する幅の比)が高くなると、顔の魅力を考慮に入れても、その人に対する信頼は低下する。

・顔の幅の広い人を疑うのは、ある意味理にかなっている。実はこのような人は実際に信頼行動を悪用する傾向があり、顔の幅は信頼性の指標として有効なのだ。

・顔の幅は青年期のテストステロンに影響されるため、テストステロンに関わる性質、たとえば攻撃性などについて、信頼性の高いシグナルとなる。

・社会不安が強くなる状況のひとつは、比較的貧しいとみなされる社会的集団に属しているときだ。

・地位の高い消費者が新しいものを取り入れると、地位の低い人々がそれをまねる。新しいものが地位の低い人々の間に広まってしまうと、地位が高い人はそれを放棄する。

・テレビドラマ『glee/グリー』の人気とその文化的インパクトは注目に値する。合唱団を指導する教師へのアンケートによると、合唱で地位を獲得できることが明らかになったために、過去最多の生徒が学内のオーディションに参加しているという。

・集団の対立を確実に引き起こすには、その問題を、「稀少で固定的な資源をめぐる集団同士の争い」という枠組みに入れてしまうことだ。

・SUVが急に売れるようになった理由のひとつは、ミニバンに「クールでない」という不面目なレッテルが貼られた時期に市場に参加したからだ。

・人がある製品を使うのをやめるのは、自分たちとは似ていない集団がそれを使い始めたとき。

・「文化産業」は、反逆者としてのミュージシャンやその他のアーティストを、金銭的な成功と名声を餌に、主流へと誘い込む。

・昔から、反逆者はヒーローとして美化される風潮があった。そしてヒーローには弾圧者が必要だ。

・パンクロックの主張は、基本的にネガティブなものだ。パンクは自分たちが嫌いなものしか語らない。何かのために戦っているわけではない。ものごとに反抗しているのだ。目的があって告発しているのではなく、衝動的に反応しているのだ。

・「反逆」から「型破り」へ。

・収入の格差についての議論では、たいてい上位1%と残りの99%のことに話が集中するが、その99%の内部でも、学歴の違いのために、格差が広がっている。

・工業都市が、そのために必要な物理的インフラを備えて事業を引き寄せたように、知識経済の世界の都市の生命線は、創造性を備えた環境にある。

・産業化時代の仕事は結晶性知能が重視され、労働者が一連のスキルを学んで、それを仕事に応用することが求められていたが、そのモデルは知識経済では通用しない。

・ある分野の半減期、つまり、ある分野の知識の半分が「使いものにならなくなる」のにかかる時間を推定することだ。以前が半減期が20年ほどの分野が多かったが、現在では3年から5年である。

・教育改革でも、記憶力や結晶性知識よりも、批判的思考と問題解決、分析スキルに重きを置いている。

・パンクスタイルなど、反逆者のクールの消費のいくつかは「これみよがし」な消費であり、パンク集団以外からの反応を引き出すことが重要だった。彼らのスタイルが次第に突飛なものになっていったのはそのためだ。

・消費の主流派目立つシグナルだが、隠れシグナルも存在し、これは特定の相手にのみ伝えることを目的している。

・プリウスの人気は機能性や価格の低さが理由ではない。購入価格は多くの標準的ガソリン車よりも数千ドルも高く、これは燃費が上がった分で埋め合わせできる額ではない。

・プリウスは既存の車種(シビックやカムリ)のハイブリッド版ではない。つまり、すぐにハイブリッドカーとわかるようになっている。ここに、シグナルになる可能性がある。

・ハイブリッドカーは地位を示す商品ではなく、アイデンティティを示す商品である。

・サンフランシスコでは、不釣り合いなほどの数のソーラーパネルが設置されていて、たとえ最適な位置でなくても通りから見えるところに設置してほしいという人がいるのも、これがひとつの理由だ。



クール 脳はなぜ「かっこいい」を買ってしまうのか

クール 脳はなぜ「かっこいい」を買ってしまうのか

  • 作者: スティーヴン・クウォーツ
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2016/04/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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