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『山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身にあった』 [☆☆]

・彼らはたとえ駅のホームからうっかり転落しそうになっても、その原因を自身の行為ではなく、駅のホームという「場所」のせいにしてしまうでしょう。フラフラ歩きを改めないかぎり、どこへ行っても転落や転倒のリスクはついて回るのに、です。

・人間、頭がいい、顔がいいだけじゃアカンのよ。人生をよりよく生きるには、いざというとき自分の感情を適切にコントロールできなきゃね。

・登山者というのは常に未体験の山、未体験のルートを探し求めるものです。初めての甲斐駒ヶ岳が自分にとって安全な山なのか危険な山なのかは、実際に登って体験しないことにはわかりません。

・昔なら自己責任を懐に忍ばせて「良くも悪くもあとは行ってからのお楽しみ」と考えたものです。しかし今日ではネットが瞬時にそのすべてを赤裸々にしてくれる。

・ネット上の仮想体験は、あくまでも「貸そう体験」と心得ましょう。

・ネット上の情報はどんなにたくさん閲覧しても、しょせん過去の記録にすぎません。

・何かオカシなものが見えた、聞こえたと思ったとき、その気味悪さや怖さをストレートに受け止めてしまっては負けです。まずは「今の自分は、大丈夫か?」と口に出して自分に問いかけてみる。頭が混乱してはいないか、あるいは激しい疲労や体調不良に陥っていないか。このように、いち早く恐怖から覚め、現実の自分に引き戻して、今の心身状態の良し悪しに気づくことが肝要だと思うのです。

・体調の異変や心理的なパニックからくる超常現象は、早く気づくに越したことはありませんが、無害なものはそのまま超常現象として楽しもうではありませんか。

・懐かしき「この道はいつか来た道……」どころか「つわものどもが夢の跡」的な世界。

・山ではすべてが予定通りにいくとは限らない。予定半分、偶然半分でいこう。

・未開の部族の人々は、森を歩きながら本来の目的や用途とは関係のない端切れや余り物、道具などを拾い集めておいて、何か必要なことが出てきたら、それらを使って物を作ったり、役立てたりしてきました。こうした工夫のできる人々を、フランス語で「ブリコルール」と呼ぶそうです。

・なあなあ会議を通じて選ばれしリーダーの脳裏にあるのは「統率」ではなく、「融和」の二文字です。第一目標は波風を立てず、粛々と行程をこなすことでしょう。このため、何か事が起こったときには、グループの動揺を鎮めるというよりは、みんなと一緒の被害者目線に立ってしまいがちです。

・メンバーが陥りがちな不協和音は、お互いの真の姿が見えてくることによる「ギャップ」と、「山を楽しむ権利をじゃまされた」という個人感情が原因であることも少なくないのです。

・彼らの多くは山と向き合うことで山が好きになったのではない。商品や観光スポットとしての山を体験してみたくなっただけです。

・投稿記事をバランスのとれた目で見るリテラシーを養う。そして「いいね!」や「拍手!」ボタンについては、むやみに面白い、愉快、すごいといった感覚的な読後感だけではすぐに押さない。

・体温が36度ぐらいだと寒気がしたり震えたりする。35度では手の細かい動きができない、皮膚感覚が麻痺したようになる、歩行が遅れがちになる。35度を下回ると、まっすぐ歩けない、もうろうとなるといった症状が出始め、こうなると自律神経の働きも失われてかなり危険な状態になる。

・ただ頭に入れているだけでは、いざというときに気づかずに宝の持ち腐れになるかもしれないので、「知識」と「意識」をうまく連携させる工夫をしたいものです。

・戻ると決めたら、「よし、戻るぞ!」と声に出して宣言することも大切。単独行でもパーティ登山でも同じ。ある思いを心に抱いただけでは目の前の圧倒的な現実にかき消されてしまい、なかなか行動に結びつかないものです。「よし、戻るぞ!」と口に出せば、心が揺るぎないものとなり、その行動が本物になるわけです。

・あるサバイバル研究家は、「交通渋滞にはまったときイライラしている自分に気づくだけでも、感情の起伏を抑える訓練になる」と述べています。

・自己効力感とは「やればできる」という感情のこと。

・レジリエンスの3つの要素――感情のコントロール、ポジティブな姿勢、自己効力感。

・お金と引き換えに第三者の手で提供された商品もしくはサービスを手にすることが、安全・安心・確かさを享受することと勘違いしている人です。

・「安全」といっても、あくまで「何も起こらない間」だけの話にすぎない。リスクは「そこにある」のではなく、「そこに現われる」のです。



山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身 (ヤマケイ新書)

山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身 (ヤマケイ新書)

  • 作者: 昆 正和
  • 出版社/メーカー: 山と渓谷社
  • 発売日: 2017/07/07
  • メディア: 新書



ヤマケイ新書 山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身にあった

ヤマケイ新書 山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身にあった

  • 出版社/メーカー: 山と溪谷社
  • 発売日: 2017/06/07
  • メディア: Kindle版



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