SSブログ

『欲望の資本主義 2 闇の力が目覚める時』 [☆☆]

・基本的に脱成長論を唱えるのは、自分の収入が少し下がっても問題ない富裕層。

・上流階級は新しいテクノロジーから多大な恩恵を受け、中産階級は大きな打撃を受ける。そして、下層階級は低賃金であっても生き残るチャンスがある。

・老人が自分の世話をしてくる人を二人も三人も雇うことは不可能です。言い換えれば、老人がサービスを利用できるほどには、その分野の生産性がまだ十分に上がっていないということです。

・ルーティンワークと非ルーティンワークの区別は、ある意味で人々の不安をかき立てます。どんな仕事をしていても、どんな地位にいても、同じことを繰り返すような仕事は、テクノロジーに取って代わられ仕事を奪われる危険性があるからです。

・個人が外界と接することで生じる緊張を和らげること、それこそが文明です。

・産業文明は、繰り返しの文明でした。効率化のために、同じ作業を繰り返すことが求められたのです。

・1970年代には、多くの人々がいわゆる「コミューン」で暮らすことを望んでいました。けれども、最終的にはそこは閉鎖的な世界になり、一生同じ人たちと暮らさなければならない監獄のようになってしまいます。

・気象学者は1か月後の天気は予測できませんが、なぜ予測できないのか科学的に説明することができます。経済学者も同じなのです。

・長い間、私たちの世界はポスト工業社会と呼ばれてきました。抜け出した世界のことはわかっても、その後に到達した世界のことはずっと理解していなかったのです。

・60年代には、人々は物質主義を超越する世界は実現可能だと考えていました。当時の人々はとても豊かだったからです。モノが溢れていたため、それを超える世界を思い描くことができたのです。

・昔ながらの組織や家族が機能し、自分がその一員であることを実感できる世界の復活を願っています。小さな田舎町のような世界を恋しく思っているのです。

・Be creative, or die. 「創造的であれ、さもなくば死だ」

・そこに対話はなく、ただ、無数の「正義」の主張だけが夥しく連なり、せめぎ合っている。

・どこかに「正解」「真実」を求めようとすることによって、新たな視点を生む豊かさを湛えていたはずの言説が、間違い探しのように息苦しさを生んでいたのだとしたら、残念な本末転倒だと思う。

・民主主義を、真実を得る方法と思い込んだり、嘘つきの政府を暴く方法だとまで期待している人々がいて、大きな混乱をもたらしているのです。

・資本主義には代替案がないのは、ある意味、資本主義は自身の代替案だと言えるからだ。

・フェイクニュースを含む偽物が溢れている理由の一つは、恐らく、偽物がその時点で理想的な商品だからです。

・ドイツが大量の移民を受け入れたのは、宗教改革から500年を経たルターの国の道徳観の高さを示すためです。

・今の状況は、人々が「良い人」になりたくないと思っている状況なのかもしれません。「なぜ、私が助けなきゃならないの?」という疑問が充満しています。「なぜ、私が彼らを助けなきゃいけない? 私のことは助けてくれないのに……」。

・生命体というシステムを考えると、その維持のためには代謝によって、外部のエネルギーを取り入れて変換することがシステムの本質です。つまり、システムには外部が必要なのです。ですから、外部との境界がないシステムは、それを維持するためには、内部に異質なものを作り出さなければなりません。

・グローバルな帝国ができた途端に、帝国は内部から悪を作り出すのです。

・国レベルでは法の支配があり、国家の枠を超えるとその上には法の真空状態があり、基本的にジャングルのような弱肉強食の世界があるのです。

・ゴーレムの額には「emeth(真理)」と刻まれるのですが、ゴーレムを恐れた人間が、emethの最初の一文字を削る。すると「meth(死)」という意味になり、ゴーレムは元の泥に戻る。

・倫理規範は必ずしも道徳的ではありません。ナチスも倫理規範を持っていました。それが、道徳的でなかったことは明らかです。

・資本主義の原則は、「役に立つことだけをしろ。自分を愛してくれる者は愛し、自分を嫌う者は嫌い、自分に利益を与える者に利益を与え、敵対する者には敵対しろ」です。

・同じことを繰り返していたのでは、その後も成功し続けることはできません。iPhoneを発明しても、同じiPhoneを作り続けるだけでは、成功は続きません。

・成功者であり続けるためには、何かを達成するだけでなく、成功している状態を維持することが大切です。

・紙とプラスチックでできた容器を手にすると、私は「どちらのバカになろうか。まったく分けずに捨てるバカか、徹底して細かく分けて捨てるバカか」と考えます。

・資本主義システムの役割の一つとして、大気汚染が必要なのかもしれません。汚染された空気が存在すれば、改善策として、きれいな空気を商品化することができます。

・資本主義にエネルギーを与えているのは共産主義の存在であり、それが今は不足しているのかもしれない。

・本当の意味で資本主義システムを批判するなら、新たな左派としての新しい理論が必要です。マルクスは役に立ちません。

・何が起きているか理解できなければ、出来事はただ自動的に起き続けていくだけです。

・今私たちがAIに与えようとしているタスクは分類です。電子メールの分類、写真の分類、動物の運類……。

・ひとまず現実に適応せよ、枠組みの中で正解を出せ、という優等生的な思考ではもはや太刀打ちできないところまで状況は来ているのではないか?

・差異さえあれば、付加価値となり商品となる。

・資本主義の行き着く果てには、「マイナス」のものすら他との比較において商品となる、まさに「差異」さえあれば。風邪を引いた時のあの、気だるい微熱の感覚などもアンニュイな気分を味わえる商品となるかもしれない。

・常に「外部」を求め続け、「商品化」することで「内部」化する繁殖力こそを命とする資本主義は、自身の拡大を自分では止められない。

・私たちは、社会主義について語る時、マルクス的な社会主義以外に、他の社会主義が存在することをすっかり忘れている。

・手動の製粉機は、封建社会を生み、蒸気式の製粉機は、資本主義社会を生む。

・個人を越えた力への畏れ、畏敬の念。それは単なる闇雲な「恐れ」、浅はかな「恐怖心」ではない。未知への想像力、知り得ぬものがあることに襟を正し、その考察は続く。

・「信じるもの」を無くして始まった近代、そして「頼れるもの」が失われようとしている、今という近代の最終段階……。



欲望の資本主義2

欲望の資本主義2

  • 作者: 丸山 俊一
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2018/04/27
  • メディア: 単行本



欲望の資本主義2―闇の力が目覚める時

欲望の資本主義2―闇の力が目覚める時

  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2018/04/27
  • メディア: Kindle版



nice!(0) 
共通テーマ:

nice! 0