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『蘇る変態』 [☆☆]

・時間をかけ、やっと欲しいものが手に入った時には大抵、欲しい理由はなくなっているものである。

・あの女は自分と自分の発言を軸に人間関係が破綻していく様を、ただ観て楽しんでいただけなのだろうか。

・台湾人のほとんどが本名とは違うニックネームを持っていて、日常はそれで呼び合っている。

・現実の生活は、何も起こらないように見えて常に様々な要素が混在している。そこには余計なものがいっぱいだ。

・何も起こらないのがリアルではなく、一見だらだら続いているように見える裏側で目まぐるしく事件が起こっているのがリアルなのだと思う。

・欲しいAVを探し求めて街を彷徨っていると、丸一日何も食べなくてもいっさい疲れず、延々と探し続けていつの間にか深夜になってしまうほどのスケベだ。むしろ探索の集中力が鈍るからご飯など食べたくなかったくらいである。

・俺は嘘が観たい。恥じらいも、快感も、絶頂も、演技で見せられると、すごい表現力だとひざまずきたくなる。

・愛のないセックスで得られる快感は「一人ではないオナニー」に過ぎない。

・女の子というものは、小さい頃から「可愛い可愛い」とおだてられ、それを全身で受け止めて育つだろう。可愛いと言われること、可愛くあろうとすることが、水を飲む、とか息を吸う、と同じように女の子には当たり前のことになってしまうのではないか。

・女装して「可愛い」と言われた時、まさに快感だった。あの感覚は、どんなに歳をとっても自分たちのことを「女子」と呼ぶ、あの女性特有の謎の意味を知るには十分だった。

・「疲れ」を面白がる方法は自慢する以外にないだろう。

・意味不明なリクエストである。しかし、プレイヤー自身の脳内で想像し、さらに音に変換して演奏するから、音に自主性と生命力が宿る。そうなればどうやっても機械的な演奏にはならないし、しかも楽曲に自我が入り込む。

・軽い自傷行為のような気もしている。食べまくって腹を壊し、極度に辛いカレーを好んで食べるのも。

・生きるということ自体が、苦痛と苦悩にまみれたけもの道を、強制的に歩く行為なのだ。だから死は、一生懸命に生きた人に与えられるご褒美なんじゃないか。

・地獄は死んだ後に訪れるわけじゃない。甘美な誘惑、綺麗ごと、そういったものにカモフラージュされて気づかないが、ここが、この世が既に地獄なのだ。私たちは既に地獄をガシガシ踏みしめながら、毎日を生きているのだ。

・「ガチョーン」も「コマネチ」も「だっふんだ」も、頭で考えても何が面白いのか理解できないが、体は勝手に笑ってしまっていた。

・取って付けたようなタイアップ曲ではなく、『デビルマン』や『宇宙戦艦ヤマト』のように作品と一体化しつつ、その曲があることによって映画が何割増しにも好きに感じるようなものにしたい。

・A先生にもS先生にも事前に伝えられたのは「執刀医は必ず自分で納得いった人に決めてください」ということだった。誰かの言葉に流されて医師を決め、もし失敗した時、取り返しのつかない後悔が訪れるからだ。

・K先生の診察を終えた時、「この人になら殺されてもいいな」と思った。人を心から信じるということは、その相手の失敗をも受け入れられれば可能なのだ。

・生きた証や実感というものは、その人の外的行動の多さに比例するのではなく、胸の中にある心の振り子の振り幅の大きさに比例するのだと思う。

・人はみな、変態だと思います。人間より長い歴史を持つ動物を生物として「普通」としたら、服を着て着飾ったり、向かい合ってセックスるをすることを正常位とする人間はもうフェティッシュの固まりだし、みな変態です。



蘇える変態

蘇える変態

  • 作者: 星野 源
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2014/05/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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