『誰もが嘘をついている』：紙魚：So-netブログ

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『誰もが嘘をついている』　[☆☆] [編集]

・重要な発見ほど、そのために必要なデータは減るのだ。熱いストーブに触れればやけどすることは、一度手を触れればわかる。

・最先端のビッグデータ会社は、えてして自前のデータを細分化しているものだ。グーグルでは、膨大な手持ちデータからごく一部を抽出した資料に基づいて重要な決断を下している。

・重要な知見を得るのに、必ずしも膨大なデータは必要ないのだ。必要なのは正しいデータだ。

・グーグルのデータの価値が非常に高いのは、規模が大きいからではない。人々が真情を吐露しているからだ。人は友人にも医者にも恋人にも自分自身にも嘘をつく。だがグーグル上では、引け目を感じることでも気後れすることなく入力する。

・ビッグデータから洞察を得るためにさらに重要なことがある。正しい問いをしなければならないということだ。夜空にあてずっぽうに天体望遠鏡を向けても冥王星が見つかるわけではないように。

・貧困とキラキラネーム。裕福な出自を持つ子供たちは、ケヴィン、クリス、ジョンなどの一般的な名前があることが多い。一方、困難な家庭出身の子供たちは、シーショーン、ウニーク、ブレオンシャイなどの独特な名前だった。

・風邪をひいている人は風邪にまつわる検索をするのではないかと考えた、いわばグーグルに風邪を引いたと申告するようなものだ。この検索データが、インフルエンザ流行のそれなりに正確な目安になるのでは、というわけだ。

・バートルビー症候群とでも言うべき状態に陥る。ハーマン・メルヴィルの傑作短編に出ている書記バーツルビーは、上司のどんな仕事の指示も、穏やかに「そうしたくないのですが」と拒絶するのみである。

・心臓とりわけ心室の大きさが馬の戦績を最も左右する変数であることを突き止めたのだ。他に脾臓も大切だった。脾臓が小さい馬はろくに賞金を稼げなかった。

・彼にとって秘密を守ることよりも大切だったのは、自分の正しさを証明することだった。

・セダーの仕事は予想であって説明ではない。そして予想を仕事とするなら勘所は予想のためには何が有効なのかであり、それはなぜなのかではない。

・ワインの品質はおおむね、ブドウの栽培期間の天候で説明がつくのだ。実際、ワインの品質は単純な計算式に集約できる。価格＝12.145＋0.00117冬季降水量＋0.0614栽培期間平均気温－0.00386収穫期降水量

・人の言葉を信じるな、行動を信じろ。

・「イスラム系アメリカ人は我々の友人であり隣人だ。同僚でありスポーツ・ヒーローだ。そして彼らは軍服に身を包み、私たちの祖国を防衛するために進んで命を捧げている」これを述べた直後、それまでの1年以上を通じて初めて「イスラム教徒」と組み合わされる検索語は「テロリスト」でも「原理主義者」でも「難民」でもなくなった。第1に「スポーツ選手」、それに次いで「兵士」になったのだ。

・データは、怒れる人々に説教をすると彼らの怒りはかえって燃え盛ることを示唆している。だが人々の好奇心を微妙に刺激してやり、新たな情報を提示し、怒りの種だった人々についての新たなイメージを与えてやると、彼らは怒りの思考をもっと建設的な方向へと変えられるかもしれないのだ。

・30歳未満でリベラルでない人物は冷血だ。そして30歳を過ぎても保守ではない者にはオツムがない。

・ビッグデータの規模がものをいうのはここだ。写真の一部を引き伸ばしてなお鮮明な画像を得るには、もともとその写真の画素数が膨大でなければならない。

・わずか数千人程度を対象にしたサーベイの結果では、絞り込みをすると十分なデータ量が残らない。

・若く攻撃的な男たちは『ハンニバル』が公開されると足を運ぶ。一方、彼らは『プリティ・ブライド』が公開された週末には映画館ではなくバーやクラブやビリヤード場など暴力犯罪の発生率が高い場所に行く。暴力的な映画は、潜在的に暴力的な人々を、路上から遠ざけるのだ。

・「お金はお返しすると約束します、神よどうかお助け下さい」と書く人は、最も返済可能性が低い人物だ。人の慈悲心に訴えることは、借りたカネは返せないと言っているようなものだ。

・どうやって返済するかを「説明」する人は、おそらく返済しない。

・研究では、自殺についてのグーグル検索が州ごとの自殺率に強く相関していることが明かされている。何かをしたいと検索している人が多いほど、その何かをする人は増えるものだ。