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『アンチ整理術』 [☆☆]

・ときどきアドバイスしていたことが一つだけある。部屋が散らかっていないか、と尋ねてみると、だいたいは散らかっている、と答えるから、まず部屋を片づけなさい、指示する。これが、結構な確率で効果を出す。

・とにかく、何かしてみること。実行することである。そうすることで、周囲が変わる。環境が変わり、視点が動く。何かをすれば、何かが変わるのだ。

・嫌な気持ちを「やりたい」気持ちに切り換えるのは、かなり難しい。それよりも、「嫌だ」と思いながら作業を始める方が、ずっと簡単なのだ。

・仕事のモチベーションは、給料やバイト料がもらえること、勉強のモチベーションは、将来有利な立場に立てる可能性が高いことである。つまり、未来の得のために、現在の損を差し出せるか、その交換ができるか、という話に集約されるだろう。

・子供が夢中になっているものに水を差さない。ただ、危険があってはいけない、というアドバイスだけにする、ということである。

・ジョギングやウォーキングが健康に良いとされているように、適度に頭を動かすことは、非常に大事だと思う。したがって、子供に計算をさせる教育は、今後も続けられるはずである。

・インプットは、頭に栄養補給するような行為である。いうならば、食べることと同じだ。学習が好きな人は、食べるのが好きな人と似ている。

・学習は、栄養補給であるから、学習するほど頭が太る。だから、適度に計算や発想でアウトプットしないと、頭の肥満になりやすい。頭が肥満すると、頭の働きが鈍くなる。

・いつも頭を動かしていれば、回転数が歳とともに低下する傾向があるにしても、止まるようなことはない。

・学習することも、一時的に頭を使うが、すぐに慣れてしまう。授業を聴いているうちに眠くなった経験があるだろう。これは、頭が止まりたがっている証拠だ。インプットするものに新しさが欠けていると、そうなる。

・せっかく古いしがらみを切り、都会に出てきた人たちが、あっという間にネット社会の「村」に取り込まれた。どこにいても、いつでも連絡できる、という利点が、しがらみや絆という人間関係を復活させたのかもしれない。

・人権が重んじられ、自分勝手であっても、他者に迷惑をかけないかぎり許容しよう、という社会が構築された。これが実現したのは、大勢が力を合わせるような事態がなくなった、すなわち封建的な権力機構が衰えたからである。その背景には、エネルギィを用いる機械化があった。

・人間の精神は、自身を庇うようにできている。基本的に自分贔屓だ。したがって、主観的な観測をすれば、自分は正しい、相手が間違っている、という判断に自然になる。

・感情的な人は、予測ができないため、信頼を得ることができない。何をするかわからない人間、というレッテルを貼られる。

・社会の人間関係は、人格の本質でぶつかり合うほど深いものではない。見かけだけのレベルなのだから、ちょっと装うだけで、ずいぶん社会で生きやすくなるだろう。

・日本人は、議論は自分の願望を通すためのものだと認識している。

・何を焦って断捨離などしているのだろう? 持っているものが、価値のないものばかりだから、自分で始末しないといけない、と後ろめたいのだろうか。

・周囲の誰かを巻き込んで、みんなで運動を展開しよう、と考えると、この「みんな」という部分が自分の思い通りにならない分、目標が少し遠くなる。



アンチ整理術

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  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 日本実業出版社
  • 発売日: 2019/11/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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