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『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』 [☆☆]

・しかし、正しく論理的・理性的に情報処理をするということは、「他人と同じ正解を出す」ということでもあるわけですから。必然的に「差別化の消失」という問題を招くことになります。

・システムの変化に対してルールが事後的に制定されるような社会において、明文化された法律だけを拠り所にして判断を行うという考え方、いわゆる実定法主義は、結果として大きく倫理を踏み外すことになる恐れがあり、非常に危険です。

・システムの変化に法律の整備が追いつかない現在のような状況においては、明文化された法律だけを拠り所にせず、自分なりの「真・善・美」の感覚、つまり「美意識」に照らして判断する態度が必要になります。

・「社会彫刻」というコンセプトを提唱し、全ての人はアーティストとしての自覚と美意識を持って社会とかかわるべきだ。

・私たちは世界という作品の制作に集合的に関わるアーティストの一人であり、であるからこそ、この世界をどのようにしたいかというビジョンを持って、毎日の生活を送るべきだ。

・提案に対して、経営陣から「情報が足りない」「これだけでは決められない」といった反論を耳にすることが多いのですが、外部の人間として思うのは、「では情報が増えたら、あなたたちは決められるのですか?」ということです。

・趣味でやっているクロスワードパズルであれば、それはそれで問題ないわけで、いくらでも時間をかければいいわけですが、ビジネスの世界では時間というのは競争資源ですから、これはいたずらに資源を浪費していることになってしまいます。

・論理的にシロクロのはっきりつかない問題について答えを出さなければならないとき、最終的に頼れるのは個人の「美意識」しかない。

・アカウンタビリティというのは「天才」を否定するシステムだ。

・「言語化できる」「再現できる」というのは「天才ではないこと」の証明でもある。つまり、この二つをアカウンタビリティの条件として厳しく求めるのであれば、その組織は内部に天才を孕む余地を失ってしまうということでもあるわけです。

・Planをアート型人材が描き、Doをクラフト型人材が行ない、Checkをサイエンス型人材が行なうというのが、一つのモデルになると思います。

・Plan=CEOの役割、Do=COOの役割、Check=CFOの役割

・今日、多くの企業経営者は、コンサルタントではなく、デザイナーやクリエイターを相談相手に起用しています。では両者に共通する「本質」とは何か?一言で言えば「エッセンスをすくいとって、後は切り捨てる」ということです。

・多くの人は、「優れた意思決定」というのは「優れた案を選択すること」だと考えています。しかし、実際はむしろ逆です。つまり、「優れた意思決定」の本質というのは、「選択すること」にあるのではなく「捨てること」、すなわち「一見すればどれも優れているように見えるたくさんを案を、まとめて思い切って捨てる」ことにこそあるのです。

・よく「海外売上高を××%に」とか「アジアで売り上げトップに」といった内容の文言を「ビジョン」として掲げている会社がありますが、こんなものはビジョンではなく、単なる「目標」であり、さらに言えば「命令」でしかない。

・もはやアップルという会社をIT企業と捉えるよりも、ファッションの会社だと考えた方がいいのかもしれません。なぜなら、アップルが提供している元も大きな価値は「アップル製品を使っている私」という自己実現欲求の充足であり、さらには「アップルを使っているあの人は、そのような人だ」という記号だからです。

・求められるのは、「何がクールなのか?」ということを外側に探していくような知的態度ではなく、むしろ「これがクールなのだ」ということを提案していくような創造的態度での経営ということになります。

・高い志にもかかわらず、自分でも嫌っている殺戮と惨禍を引き起こすのは、いつでもこういう純粋な人、宗教的で夢中になる人、世界を変革し改善しようとする人であろう。

・悪とは、システムを無批判に受け入れること。

・重要なのは、システムの要求に適合しながら、システムを批判的に見る、ということです。なぜこれが重要かというと、システムを修正できるのはシステムに適応している人だけだからです。

・統計的に優位なデータを取るためには一定程度以上のサンプル数が必要になるため、どうしてもセンスの悪い人たちの選好が交ってしまう。これは、普遍的な顧客主導型のデザインが宿命的に抱えている問題です。

・VTS(=Visual Thinking Strategy)のセッションでは、通常の美術教育において行われるような、作者や作品に関する情報提供は、ほとんど行われません。そのかわりに、セッションへの参加者には、徹底的に作品を「見て、感じて、言葉にする」ことが求められます。具体的には、次のような質問をして、参加者に発言を促していきます。1、何が描かれていますか? 2,絵の中で何が起きていて、これから何が起こるのでしょうか? 3、どのような感情や感覚が、自分の中に生まれていますか?

・専門家として能力を高めていくというプロセスは、パターン認識力を高めていくということです。

・哲学の歴史を一言で表現すれば、それは「疑いの歴史」ということになります。それまで定説とされていたアイデアやシステムに対して、「果たして本当にそうだろうか?」と考えてみる。全ての哲学は、このような「疑い」を起点としてスタートしています。

・「偏差値は高いけど美意識は低い」という人に共通しているのが、「文学を読んでいない」という点であることは見過ごしてはいけない何かを示唆している。

・リーダーシップと「詩」には非常に強力な結節点がある。それは何かというと、両者ともに「レトリック(修辞)が命である」という点です。









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