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『前に進むための読書論 東大主席弁護士の本棚』 [☆☆]

・ハリウッド映画は、観客までメッセージを「届ける」映画。フランス映画は、観客がメッセージを「取りにいく」映画。

・どれほど優れたことを考えていようと、それを文章で表現する力がなければ、評価されることはありません。

・新選組というのは、武士の集団ではなくて、「武士になりたかった農家の次男坊」の集団です。だから、過剰な「武士コンプレックス」を抱えている。本物の武士ならこうすべきという、現実離れした理想論を持っている。遅刻した者は、即刻、切腹に処すべきという極端さです。

・小説家の中にはプロットを練って緻密に書くタイプと、登場人物を造形してその登場人物が動くに任せるタイプがいる。

・誰もが、自分が「美人」か「ブス」か確信していて、その自己評価が、他人の評価と完全に一致しているわけではない。自分は自分だと思っている人の方が多いのではないでしょうか。

・自分の死をイメージすることから、一日をスタートします。そういう訓練を積むうちに、自分の生に対する一切の未練を捨てる境地に至れるのです。これが「死人」と呼ばれる武士の理想です。

・突然、「切腹!」と命じられても、「家族に一目会いたい」などと未練がましいことは一切言わない。眉一つ動かさずにその場で腹を切れるのが、「死人」なのです。

・ここに二重の狭量さが表れています。ひとつめは、「普通」の範囲の狭さ。そして二つめは、「普通ではない」ものを抱えておけない社会の狭さです。

・他国から理解されようと思わない態度は、他国を理解しない姿勢と、表裏一体です。

・ソ連に忍び込むCIAのスパイも、ソ連側からCIAに情報を送るエージェントも、どちらも命懸け。だからこそ、お互いに相手に命を預け合い、結ばれている。

・奴隷だった母親は、「愛すること」と「所有すること」を混同してしまっています。奴隷の女たちは、生まれてすぐの我が子を奪われるのが宿命でした。いつしか「愛すること」=身近において「所有すること」と考えるようになります。

・自信の塊。「私は、この世界の人とは違う」の次に続く言葉が、「だから、ダメなんだ」ではなくて、「それってすばらしい」なのです。

・「フェミニズム」が嫌いでした。アカデミックとプロパガンダをごちゃまぜにするのは、知的ではないと思うからです。

・アカデミックは「こうなっています」という冷静な事実分析、プロパガンダは「こうするべきです」という主義主張。

・感受性が鈍って、他人の思いに気づけなくなり、我を通して恥ずかしくなくなれば、あなたも立派な「オバサン」なのです。

・政治家というのは「何を実現したいのか」と同じくらい、「それをどう国民に伝えるか」が大事。そういう意味で、メディアというのは政治の生目線なのだと思います。

・通常、誰も傷つかないようなことで傷ついたのならば、傷つけたほうではなくて傷ついたほうが悪い。そういう考え方で、社会は成り立っている。

・自分自身が優れた能力を持つことよりも、優れた能力者を惹きつけて離さない魅力のほうが、リーダーシップの肝なのではないか。



前に進むための読書論 東大首席弁護士の本棚 (光文社新書)

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  • 作者: 山口 真由
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/07/14
  • メディア: 新書



前に進むための読書論~東大首席弁護士の本棚~ (光文社新書)

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  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/07/20
  • メディア: Kindle版



タグ:山口真由
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『完全無欠の賭け 科学がギャンブルを征服する』 [☆☆]

・同じ金額でも、本人が既にどれだけ持っているか次第で、より大きな価値(あるいはより小さな価値)を持つことになる。たとえば、同じ硬貨1枚でもお金持ちよりも貧乏人にとってのほうが価値がある。

・数学者は量に比例する形でお金を評価するが、良識ある人間はその効用に比例する形でそうする。

・カジノを相手に賭けるんじゃなくて、先入観、つまりラッキーナンバーとかいった迷信を抱いている客と賭けをするんだよ。

・賭け事には、科学の新分野を誕生させたり、運や意思決定にまつわる新たな見識を生み出したりしてきた長い歴史があるし、それらの手法は工業分野から金融まで、科学以外の世界にも浸透している。

・私たちは「自然現象の絶対的知識など」持ち合わせて「おらず」、たんに「自分がどう感じているかを知って」いるにすぎない。

・研究者たちが2012年にフェイスブックでのつながりを調べると、どんな人を2人選んでも、平均すると3.74次の隔たりで結びついていたことがわかったのだ。

・カードカウンティングできるようになるのは易しいが、見咎められずにやり抜く技を身につけるのは難しい。

・カジノは私有地なので、気に入らない人は誰でも締め出すことができる。

・ある企業を徹底的に調べ上げるやり方は、「ファンダメンタル分析」として知られており、一方、他の人々がその企業をどう見ているのかを時間をかけて観察する方法は、「テクニカル分析」と呼ばれる。

・ギャンブラーは世論調査の協力者とは違い、正確に予測する経済的動機を持っている。彼らは未来の予測を立てるとき、自らの言葉(あるいはモデル)に自らのお金を賭けているのだから。

・ある賭けに応じる人が誰もいなかった場合、ベットフェアはその賭け金を数人に分割するのだ。1000ポンドの賭けを全額引き受ける人物を探そうとするのではなく、それを分割して、200ポンドの賭けに応じたいという5人と組み合わせる。

・ブックマーカーは従来、提示するオッズを微調整して利益をあげてきたが、ベットフェアはオッズにはまったく手をつけずに、個々の賭けに勝った人の利益から分け前を受け取る。

・うまいコーナーバックは、相手のパスを数多くインターセプトするが、ずば抜けたコーナーバックにはその必要がない。というのも、相手チームは彼らを回避するからだ。

・テレビ広告の禁止措置は、タバコ会社の利益を損ねるどころか、彼らに有利に働いた。各社は長年、馬鹿げた駆け引きから抜け出せずにいた。テレビ広告は、人々が喫煙するかどうかにはほとんど影響がなかったから、理論上はお金の無駄遣いだった。

・最適の戦略は、「どうすれば最も多く勝ち取れるか?」ではなく、「どうすれば損失を最小限に抑えられるか?」という観点に立つものなのだ。

・「無限の猿定理」を考え出した。1匹のサルがタイプライターをランダムに叩いたとしよう。しかも、果てしなく長い時間にわたってそうするとしよう。そのサルがキーを叩き続ければ、シェイクスピアの全作品をタイプしおおせることはほぼ確実だ。

・運によってゲームが左右されるとすれば、何が起こっているのかがプレイヤーに見えないからではなく、利用可能な情報が処理しきれないからだ。

・交渉、オークション、取引などはすべて「不完全情報ゲーム」だ。「ポーカーは私たちが現実世界で出会う多くの状況の申し分ない縮図です」。

・強い相手とは均衡戦略でプレイをしながら、弱い相手にだけつけ込む。

・嘘の上手な人は嘘を見破るのも上手であることも判明した。まさに「蛇の道は蛇」のことわざどおりだ。

・最良のポーカーフェイスとはニュートラルに見える表情だという通説に反して、実験参加者に賭け方を誤らせることが最も多いのは、信頼性を感じさせる顔だ。

・一般に他の人間をどうやって倒すかに関して人間のプロのポーカープレーヤーが持っている知識の多くは、攻撃を軸としています。対戦相手に大きなプレッシャーをかけ、難しい判断を強いる攻撃的な戦術は非常に効果的なことが多いです。

・2006年に成立したこの法律は、「勝敗が主として偶然性に左右される」ゲームにかかわる銀行送金を禁止した。この法令は、ポーカーの流行に歯止めをかけるのに一役買ってきたものの、株式取引や競馬には適用されていない。それでは、何をもって偶然性が支配するゲームとすればいいのだろう?



完全無欠の賭け―科学がギャンブルを征服する

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  • 作者: アダム クチャルスキー
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2017/11/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



完全無欠の賭け ~科学がギャンブルを征服する

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  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2017/11/22
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『エコノミックス マンガで読む経済の歴史』 [☆☆]

・自由市場は、人間よりはるかに効率的にものごとを解決する。もし、今のニューヨークの物資供給を人間が計画したらどうなるか?

・スミスは、政府が自由市場に害を及ぼすと考えたわけじゃない。大資本家が自分たちのいいように政府を動かすことの方が危険だ、と考えた。

・慈善も良くない。今日飢えている人を救えば、明日には飢える人が増えている!

・ある商品を既に持っていれば、もう1個買い足す欲は減る。これが効果逓減の法則だ。

・食糧の需要は非弾力的だ。価格が変わっても、僕たちの需要はあまり変わらない。なぜなら値が高くても腹は減り、値が安くても胃はひとつしかない。

・日本が欧米に支配されなかったのは、資源に乏しかったからだろう。

・誇り高き失業者の中には、物乞いをするより、自殺を選ぶ者も多かった。

・投資が利益を生むには時間がかかる。一方、投機は一気にガッポリもうかる。だから投機は、生産的な投資に回されるべきお金を、吸い取ってしまう。

・スターリンの悪行は国外にも伝わったが、欧米の左寄りの者たちはそれを無視し、弁護した。

・影響力はお金あってこそ、よ。

・大手の新聞とは、つまりは、大手の会社の製品だ。多くの人が、大会社の流す情報にさらされたということだ。

・会社乗っ取り屋から会社を守るために、経営者は株式市場での会社の値段をつり上げなければならない。

・今日、大企業の利益はもっぱら納税者の血税による場合が多い。「公共の損失は民間の利益」だ。

・ではなぜ、レーガンの評判は今でもいいままなのか? それは、レーガン政策のツケがまわってくる前に、彼が任期を終えたからだ。

・世の中の多くの人は、金持ちを真似することに喜びを感じ、品位を失い、堕落していくのだ。



エコノミックス――マンガで読む経済の歴史

エコノミックス――マンガで読む経済の歴史

  • 作者: マイケル・グッドウィン
  • 出版社/メーカー: みすず書房
  • 発売日: 2017/03/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



エコノミックス――マンガで読む経済の歴史

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  • 出版社/メーカー: みすず書房
  • 発売日: 2017/03/16
  • メディア: Kindle版



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