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『独裁体制から民主主義へ 権力に対抗するための教科書』 [☆☆]

・挑んでいるのが何ら根源的な問題ではない状況、つまり妥協があってもよいという場合には、交渉は対立を解決するための重要な手段である。

・宗教的原理、人間の自由、あるいは未来永劫における社会発展といった根源的な問題が争点となる時、交渉という方法が相互に満足できる解決策をもたらすことはない。

・もし合意が生まれるのならば、それは、お互いの力がどの程度のものかを比較して見積もり、オープンな闘争がどう終焉し得るかを双方がそこから計算した結果に近い。

・ヒットラーもしばしば平和を唱えたが、彼の言う平和は自身の望むところに人々を降伏させることだった。

・民主的社会の特徴として、国家から独立した非政府グループや機関が多数存在することが挙げられる。

・どんな政府の支配もそれが続くのは、民衆や社会機関が協力し、屈服、服従することによって、力を維持するために必要な源が補充され続ける間だけである。

・過去におけるその場しのぎの政治闘争に共通する間違いは、ストライキや大衆デモなど、一、二の手段にしか訴えなかったことである。

・何かを達成したければ、その方策を計画するのが賢明というものだ。目標が重要なものであればあるほど、あるいは失敗の結果が悲惨であればあるほど、計画は重要になる。

・目標は単に現在の独裁政権を倒すことではなく、民主的体制をしっかりと据え付けることである。壮大な戦略を練っても、その目標が目前の独裁政権の打倒だけに限られていると、いずれ新たな独裁者を生み出す大きな危険が出てくるのだ。

・彼らはナイーブにも、目標を強くしっかりと定めてがまん強く願いさえすれば、自由は何とか達成できるものと考えるのだ。

・独裁体制下では、民衆と市民的組織が非常に弱く、政府が強すぎる状態になっている。この不均衡に変化を与えないかぎり、新しい統治者はお望み次第で、かつての統治者と同じくらい独裁制をふりかざすことができる。

・憲法の語彙は、民衆の大多数が簡単に理解できるようなものでなければならない。憲法は、弁護士やエリートだけが理解できるような、複雑、あるいはあいまいなものであってはならない。



独裁体制から民主主義へ―権力に対抗するための教科書 (ちくま学芸文庫)

独裁体制から民主主義へ―権力に対抗するための教科書 (ちくま学芸文庫)

  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2012/08/08
  • メディア: 文庫



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