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『にょにょっ記』 [☆]

・耳掻きって必要なときに絶対みつからない。象の墓場があるように、家の中のどこかに耳掻きの墓場があるんじゃないか。

・成人向け映画のポスターをみかける。裸の女性が描かれていた。教育県として有名な長野では、かつて街角のこのようなポスターには全て首から下に黒いスミが塗られていたという。逆にこわかったという。

・双子の名前は殆どの場合韻を踏んでいるものだ。そういう風に揃えたくなるのが親心というか人情なのだろう。

・背を伸ばし、筋肉をつけることは、向上することであり、社長や長嶋になることであります。

・動揺しながら無理に強がってみても、効力はないだろう。

・周囲の人間や器物のことを全く無視したテンションは、「泣くと強くなる小学生」を思い出させる。

・「3万回ミツバチに刺された男」のテロップを発見する。それは養蜂場のコマーシャルで、「男」はそこのハチミツ「名人」だ。いくらなんでも、もう少し刺されない工夫はなかったものか。「名人」のくせに刺され過ぎ。

・「その豆腐柄のハンカチ、一つください」 「木綿と絹がございますが」

・ジョーはちゃんと発音していたのだ。ただ当時の私の語彙に「塹壕」がなかったから、聴き取れなかった。

・眉毛を整えると確かにかっこよくはなるが、同時に「眉毛を整えた」という事実が誰の目にもはっきりわかるのだ。「ははーん、この人はかっこよくなりたくて眉毛を刈ったな」と万人に思われることになる。

・私はアンティーク屋が大好き。でも、そこは、あまりにもアンティーク屋でありすぎた。甲冑とかだもん。

・「めちゃくちゃテンションが上がって、家に帰ってから猫と長めに遊んでしまいました」 「めちゃくちゃテンションが上がって」猫と長めに遊ぶ程度か。おとなしい人だな、と思う。

・苺大福を食べながら、苺大福を知らない人ごっこをする。う、うあああ、なんだこりゃあ。だ、大福の中に苺が!

・歩行者天国だからといってわざわざ車道を歩いたりしない。大人の余裕というものだ。



にょにょっ記

にょにょっ記

  • 作者: 穂村 弘
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/07
  • メディア: 単行本



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