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『奴隷の時間 自由な時間』 [☆☆]

・キリスト教徒のほうからすれば、日本人が、経営者や会社の重役でもないのに、どうして愛社精神を持っているのか、理解できないのです。

・飢えに泣く人々の前で宗教家が、「人はパンのみによりて生くるにあらず」と言えば、必ず返ってくる反論が、「されどパンなしでは生きることができない」です。

・法律は、「人を殺してはいけない」とは言っていません。あるいは、「泥棒をするな!」とも言っていません。かくかくしかじかの状況で罪を犯せば、これこれの罰を与える、と規定しているのが法律です。罰を覚悟すれば人を殺してもいいのです。それが法律なんですよ。

・昔は、外で何かを貰って来れば、それを仏壇に供えました。仏壇に供えることによって、貰って来た人の所有権が放棄されます。兄が友だちの家からケーキを貰って帰って来ます。そのままであればケーキは兄の所有物です。しかし、そのケーキを仏壇に供えると、ケーキは仏のものになります。すると仏は、そのケーキを兄と弟に半分ずつして与えられます。

・いったん変人ぶりを職場の人間に承認させると、あとはマイ・ペースでいけます。周囲の人間は、「あいつは変人だ」と言うだけで、それほどいじめるわけではありません。

・日本では、たとえばプロ野球の選手が、父親が死んでその葬儀があるのに、にもかかわらず試合に出場します。スポーツ新聞などは、そういう選手を「責任感」が強い褒めそやしますが、昔であればその選手は「人で無し」と呼ばれたでしょう。

・餓鬼とは、自分の所有するものに満足できない存在である。

・そのイギリス人が新規の仕事を頼まれたとき、その仕事を引き受けるだけの時間的余裕はあるけれども、それを断わりました。なぜ断わるかといえば、「そんなに働くことだけに時間を使っていたんでは、よし収入が増えたとしてもそれを使う暇なしということになるからね」と、彼は言ったそうです。

・水源地の水が海に達するまでに、ナイル川やミシシッピー川で60日以上、ドナウ川では33日かかります。でも、日本の信濃側(日本一長い川)は4日、利根川(2位)は3日で流れてしまいます。だから急流の日本の川を見て、外国人は、「これは川じゃない。滝だ」と言うそうです。

・世間の知恵が「損をしたくない・得をしたい」という知恵であるのに対して、般若はそれと正反対の「損をするための智慧」です。損をする智慧といっても、大損をしろというのではありません。自分ができる範囲の損をすればいいのです。

・本当の意味での豊かな人とは、六百円のラーメンを三十分も行列して食べることのできる人なんですよ。つまり、有り余る時間を持った人が真に豊かな人。

・ゾウもハツカネズミも一生の間に心臓は十五億回打ちます。心臓が十五億回打てばどちらも死を迎えることになるのです。ハツカネズミの寿命は二~三年、インドゾウは七十年近くも生きるものです。時計で計る時間で比べれば、ゾウは桁違いに長生きなのですが、一生に心臓が打つ回数は、どちらも同じ。じつに不思議な事実です。

・昨今の日本人は、本当に「人生の危機」なんて感じているのだろうか? いまの日本人が感じるのは「生活の危機」だけではないか!?

・人間は何のために生きているのか? それがわからなくなったときが人生の危機です。

・時間の切り売りは、命の切り売りです。そうであれば、切り売りは最低限度にすべきです。

・われわれ労働者は、本当は資本家に対して、──怠ける権利──を要求すべきであったのに、マルクスは間違って「働く権利」を要求しちゃった。

・一生懸命働いている。一生懸命仕事をやっている。日本では、そういう人が尊敬されます。ということは、命の切り売りをしている人間が尊敬されるんです。

・無償でする仕事もあります。ボランティアですね。しかし、日本では、それは「活動」と言って「仕事」とは言いません。仕事といえば、金儲けのためにするものです。

・人生というものは、助かるときは助かる、助からないときは助からないのです。どんなに対策を講じたところで、災難に遭うときは遭います。

・どうすれば、未来について心配しないでいられるか? それは、一つは、「死の覚悟」を持つことです。人間はいつかは死ぬのです。それも、死ぬべきときがやってくれば死にます。死ぬまでは生きています。そういうふうに悟ってしまえばいい。

・この世では、出世するにのに二つしかない。自分自身の努力によるか、それとも他人の愚かさによるか。

・自分がいくら努力しても、自分より能力の高い者が自分よりもより多く努力したとき、その人は出世できません。だとすると、出世できるかどうかは、他人様次第です。

・たとえその子の将来の利益になるといっても、現在の幸福を犠牲にするような教育を行なってはならない。

・「未来がどうなるか、人間にはわからないのだよ。本当に迷っているのであれば、サイコロで決めな。丁(偶数)が出たらいまの会社をやめる。半(奇数)が出たらいまの会社に残る。そう決めておいて、サイコロを振ればいいよ」と、アドヴァイスします。だって、迷っているということは、どちらでもいいからです。どちらでもいいことを、理屈でもって選ぶことはできません。実際、わたしはサイコロで物事を決めることをします。

・金持ちというのは、貧乏人を前提にしています。貧乏人がいるから金持ちがいる。逆に、金持ちがいれば、誰かが貧乏人になるのです。

・明日できる仕事を今日やるな! 他人ができる仕事を自分がやるな!

・あなたの葬式は、あなたにできるわけがありません。そもそも葬式というものは、すべてが「他人の葬式」なんです。あなたは他人のすることをいちいち心配しないでいいのですよ。

・道徳といったものは、強者が弱者をいじめるための武器です。それが証拠に、社長と社員が待ち合わせをして、社員が遅刻するとこっぴどく叱られます。しかし、社長が遅刻しても、簡単に「待たせたね」で終わります。遅刻してはいけないという道徳は、弱者である社員はそれに縛られますが、強者の社長は縛られません。道徳というのはそのようなものです。

・立派な死に方をしたい。美しい死に方をしたい。そんなふうに思うのは欲です。だいたいにおいて宗教を持たない人間は「美学」に走ります。

・余は今迄禅宗の所謂悟りといふ事を誤解して居た。悟りといふ事は如何なる場合にも平気で死ねる事かと思つて居たのは間違ひで、悟りといふ事は如何なる場合にも平気で生きて居る事であった。

・未来のために現在を売り渡してはいけません。将来の利益のために、現在を犠牲にするのは最悪の生き方です。将来の利益は保証されていません。よしんば保障があっても、その将来の日まであなたが生きている保証はないのですから。



奴隷の時間 自由な時間 お金持ちから時間持ちへ (朝日新書)

奴隷の時間 自由な時間 お金持ちから時間持ちへ (朝日新書)

  • 作者: ひろ さちや
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2009/10/13
  • メディア: 新書



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