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『クラウドソーシング みんなのパワーが世界を動かす』 [☆☆]

・ある仕事をするのに最適な人材は、誰よりもその仕事をしたがっている人物である。

・クラウドソーシングは、まさかと思うようなところから才能ある人びとを引っ張りだすという不思議な傾向をもっていて、大がかりな才能発掘装置のようなものである。

・アイストックフォトはアマチュアがほとんどを占める約5万人の写真家たちから写真を仕入れ、販売する。

・そういうプロジェクトに共通する特質がある。それは、参加者は金銭をおもな動機とせず、余った時間を提供することだ。彼らは、余剰能力、すなわち「スペアサイクル」を提供し、自分の好きなことに没頭するのである。

・クラウドソーシング企業、インノセンティヴでは、この会社を通じて仕事を請け負う、科学者からなる巨大ネットワークを築いている。

・特許権が2万6000件あるのではなく、欲にまみれた、くだらない、厄介きわまりない裁判沙汰の種が2万6000件もあるのだった。

・特許訴訟を増収のおもな要因にする企業も存在する。使用するつもりのない特許を保有して、それを盾にし、他社から金をむしりとっている。

・理論と実践のあいだにある溝に橋をかけるためには、ツールと、それを使うための知識をもたなければならなかった。

・新しいシステムを構築するときには、古いシステムと競いあってはいけない。古いものが不用になるようなシステムを構築することだ。

・グーグルが大金を出して手に入れたのは、オフィスに収まった専門的な技術ではなかった。動画を制作し、それをユーチューブに投稿する数百万のユーザーと、彼らがそのサイトにアクセスする頻度である。簡単にいえば、コミュニティを金で買ったわけだ。

・「群衆」の定義は「共通の特性によって一つにまとまった人びとの集団」である。その一方で、集団的知性は共通の特性が多すぎると損なわれてしまう。集団内に多様性があるほど、また、集団内の個人がその人なりの意見を表現するほど、いっそう活用できるのだ。すると、賢くあるためには、群衆は群衆らしく行動してはならないのである。

・偉大な頭脳の持ち主が何人いても、みな同じような考え方をするならば、彼らはたった一つの頭脳しかもたないことになる。

・新しい知識を獲得することではなく、すでにある知識をまとめ、活用することによって進歩が実現するのだ。

・人びとのネットワークには似た者同士で集まる傾向が強くあらわれている。類は友を呼ぶというわけだ。だから、企業にしても、課題の解決を外部に委託すると決めたとき、既知の人物、企業、研究機関などに頼るので、社内で解決を試みたときと同じように、偏ったものの見方によって行き詰まることになる。

・協議は、多様性を減じることから、集団的知性の大敵なのだ。個人同士が話しあえば、やがて同意にいたる。

・カメラつき携帯電話を武器にした、いわゆる市民パパラッチは、スターを偶然に見かければ写真をとり、スクープト社など、こういう人びとの撮影した写真を専門に売買する新しい写真エージェントに売っている。

・誰かが自分の事業を食おうとしたら、買収して自分の事業に加えるほうがいい。

・面白いことに、フォーラムにあらわれる金目当ての人たちは常連にわきへ押しやられてしまう。自分の意見を伝えられない。みんなに無視されるから。「ああ、嫌な奴が来た。金儲けしたいだけの奴だ」と。

・群衆は、創造的な才能をもつと同時に、そういう才能をランクづけする能力を備えているのである。

・ソーシャルネットワーキングサイトは工夫を凝らして創造した作品を展示できるコミュニケーション用のツール、あるいはスペースである。

・生まれたときから水道があれば、子供たちは手押しポンプの使い方を知らないだろう。そして、いま到来しつつあるこの新しい世界では、使い慣れたものの多くが手押しポンプと同じ運命をたどることになる。

・群衆は明敏である。うさんくささを感じとれば逃げていって二度と戻らず、立ち去るさいの嫌な体験をブログの種にするだろう。

・将来的に、好むと好まざるにかかわらず、編集者の役割は、独白を伝えることではなく、対話を導くことになる。

・創造に関する能力および判断力は人びとにあまねく行きわたっているが、時間および気持ちの余裕となるとそうはいかない。

・自分の求めていることを明確に、単純に表現すれば──マイナーリーグで最強のピッチャーを見つけてほしいとか、このパラグラフをフランス語に訳してほしい、など──手を貸そうとしてくれる人びとがあらわれる確率はぐんと上昇する。

・スタージョンの法則(SF作家、シオドア・スタージョンにちなんでいる)によれば、どんなものも90パーセントはカスであるという。



クラウドソーシング―みんなのパワーが世界を動かす (ハヤカワ新書juice)

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  • 作者: ジェフ ハウ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2009/05
  • メディア: 単行本



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