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『団塊のジジババが日本をダメにする』 [☆☆]

・飛行機に乗って半日か一日であっという間に返ってきた兵士は、PTSDが重く治療に長い時間を要しました。その一方で、船に乗ってゆっくり祖国に帰ってきた兵士は、意外に障害が軽かったのです。

・心理療法の世界では、つらい記憶をあえて口にすることをすすめる医者もいます。しかし、生傷のカサブタを無理やりはがすような荒治療をしても、心の傷はほとんど癒されません。それどころか、なおいっそう傷を深めてしまう場合が多い。つらい記憶など、なるべく忘れてしまったほうがいいのです。無理やりしゃべらせようとしても、ろくなことがない。

・悪夢を思い出さないためには、働いて働いて働き詰めになるのが一番でした。戦後日本の高度経済成長を支えてきた日本人の働き方も、おそらくこれと似ていたのではないでしょうか。戦争体験を忘れるために、とにかく必死に働く。

・昔懐かしい「タイガーマスク」がキーワードになっていることから明らかなように、ランドセルを寄付した人間の多くは年配、それも団塊の世代なのでしょう。カネもヒマもあり余っているのに、彼らはボランティアや労働によって社会貢献しようとはしない。ほしいモノがあればポンとあげる。とにかくカネで片づければ、相手に幸せがもたらされると勘違いしているのです。

・最終的に人の幸せを決定づける基準とは、自尊感情ではないでしょうか。「私の存在が誰かの役に立っている」と認識できることによって、人は大いに安心できます。

・自分が誰の役にも立っていないという状態はあまりにも虚しい。自尊感情が満たされない人は、幸せや安心を得られません。

・教育勅語がもつ美徳まで含めて、丸ごと日本人の道徳を封印するやり方は、結局倫理というものに一切さわることのない教育を日本に根づかせてしまいました。

・損得勘定と打算の人間関係など、永続的に続くものではないわけです。何よりの証拠に、定年を迎えた団塊の世代にはまるで友だちがいないではありませんか。その傾向は、特に男性に顕著です。

・選挙のための政治、戦術だけの政治に終始してしまっているのです。ビジョンのなさを見るにつけ、まるで60年代から70年代初頭にかけて吹き荒れた学園紛争のように思えてきます。当時の学園紛争は、およそ実現しそうもない壮大なスローガンを掲げていました。

・現代の日本がやっている政治も、かつての学園紛争と同じくらい荒唐無稽です。これはもはや「政治ごっこ」と言ってさしつかえありません。学園紛争のことを「革命ごっこ」と揶揄した人がいました。その「革命ごっこ」「政治ごっこ」の先頭に立っているのが、まさに団塊の世代にほかなりません。

・脊椎動物の中で最も長生きなのはチョウザメ(152年)です。

・放射線量の測定などに使われていますが、なんとそれらはすべて外国製のロボットです。ヒューマノイドとか称して人間に酷似したものをつくっては、会社の受付嬢の代わりに使ったりして喜んでいたのが、日本のロボット研究の実態なのです。

・今まで小作農だった人がいきなり自作農になったところで、農業経営についてのノウハウを誰が教えてくれるわけではありません。農民としての意識など昔と変わりないまま、小作農が自作農に移行してしまった。これでは農地改革などうまくいかないのは当たり前です。

・高齢者が依ってすがる縁は、もはや途切れかけた血縁くらいしかない。そこで団塊の世代をはじめとする高齢者は、今ごろになって「血縁は大事」という幻想にすがるようになってきました。血の濃さを心のよすがにするという、もともとありもしなかった伝統に回帰しようとはかるようになったのです。

・日本人は、良い意味でも悪い意味でも過去にとらわれないところがあります。戦争で街が焼けたり、大震災に見舞われると、日本人は昔とはガラッと変わった街を平気で造ります。

・定年を迎えた日本人は「今まで一生懸命働いてきたのだ。これからは何でも好きなことをやりながら暮らそう。老後はのんびりするのだ」と口を揃えて言います。これは当たり前のことのように聞こえても、これは欧米の人たちにはまるでない発想なのです。彼らは、今まで無事に働き続けてこれたことを神に感謝しながら、今度は社会に恩返しをしていこうと考えます。社会貢献に意識が向かうのです。

・人間とサルの一番の違いは、学習するに当たって何を励みにするかです。サルはエサを報酬として学習していきます。人間の場合、食べ物よりももっと大事な報酬がある。社会的に関心を集めたり、まわりの人から自分が注視されることが、それなのです。

・「○○ちゃん、もうそんな難しい言葉をしゃべれるのね」と社会的に注目されることが、何よりの報酬になるのです。社会的関心、社会的賞賛があるおかげで、赤ちゃんは言葉を覚えていく。周囲の反応が励みとなって、子供はいろいろなことを勉強していく。

・褒められることが励みになって、子供は多くのことを学習していく。これは人間が生まれたときからもっている本能です。その本能は、一生ついて回ります。

・最初はまともなことをしゃべっていたのに、バラエティ番組に出るようになると人はどんどんテレビに迎合していきます。まともな知識を提供していた人が、専門外の分野について軽はずみな発言をしてしまったりもする。

・裁判所で検事をやっていたような人間が、なぜ退職したとたんにわかったような顔をして、ワイドショーでコメントできるのでしょう。自分の知識をひけらかして、ワイドショー好みのつまらない事件にまでコメントなどすべきではない。

・間違っていることがわかっても、決して間違いを認めない。団塊の世代を見ていると、カルト宗教によく似ているとさえ思うのです。



団塊のジジババが日本をダメにする

団塊のジジババが日本をダメにする

  • 作者: 正高 信男
  • 出版社/メーカー: 潮出版社
  • 発売日: 2011/07
  • メディア: 単行本



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