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『ロスト・シンボル』 [☆☆]

・刺青の目的はけっして美ではない。変化こそ目的だ。人間は生け贄としておのれの身の一部を捧げ、身体装飾の苦痛に耐え、変貌をとげるために刺青を施してきた。

・現代のフリーメーソンに対しては、仮装好きの無害な老人の集まりだとする見方から、世界を支配する黒幕たちの地下組織だとする極端な見方まで、さまざまにある。真相はきっとそれらの中間あたりなのだろう。

・知識はひとつの道具であって、すべての道具と同じように、どんな結果を生むかは使う者の手に委ねられています。

・ある考えが広く受け入れられているからといって、それが真実である証拠にはならない。

・恐怖は刺激剤となって思考力を研ぎ澄ます。

・創世記の「神、その像のごとくに人を造りたまえり」という記述を信じるなら、その含意もまた信じなくてはならない──すなわち、人は神より劣った存在として造られたのではないということだ。

・たいがいのキリスト教徒はふたつの立場を同時に求める。聖書を信じていると誇らしげに公言したいくせに、信じがたいところや不都合なところは平然と無視する。

・ヘブライ語の原本はモーセを「カラン・オール・パナヴ」──顔の肌が光を放っている──と描写していたが、ローマ・カトリック教会がラテン語訳聖書を作ったとき、翻訳者がモーセの描写を訳しそこない、「コルヌタ・エセト・ファキエス・スア」──顔に角がある──としてしまった。それ以来、聖書に忠実でないと批判されるのを恐れた画家や彫刻家は、こぞってモーセに角をつけるようになった。

・ただの一語であっても、誤解されれば歴史を書き換える力を持つ。

・相続財産は人生の終わりよりもはじまりに渡されたほうが役に立つ。

・かつて哲学者や芸術家や著述家の多くは、名前ではなく独特の記号や組字で作品に署名をした。



ロスト・シンボル 上

ロスト・シンボル 上

  • 作者: ダン・ブラウン
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2010/03/03
  • メディア: ハードカバー





・現代の人々は、魔法陣をもっぱら「娯楽数学」の分野に追いやっていて、新たな魔法の配置を見つけ出すことに喜びを見いだす者がいまなお存在する。いわば天才向けの数独(ナンプレ)だ。

・読めば読むほど自分がいかに愚昧であったかを思い知った。

・われわれがまだ暗黒の時代に生きていて、自分では視認も理解もできない「神秘」の力の存在に見向きもしないだけ、という可能性はないだろうか。

・アインシュタインはこう予言している。未来の宗教は宇宙宗教であろう。それは人格神を超越し、教義や神学を持たないだろう、と。

・問題は、神が人間に大いなる力を与えたか否かではなく、そうした力をわれわれ人間がいかにして解き放つかだ。

・太古の昔から、無知な者が決まって最も声高に叫び、疑うことを知らぬ大衆を群れさせて服従を強いてきた。

・理解もできぬまま聖書を引用し、みずからの世俗欲を弁護する。おのれの不寛容を信念の証しとして世に喧伝する。

・ミケランジェロの時代から、彫刻家は作品の失敗を隠すのに、傷に熱い蝋を塗って石粉をまぶしていた。その手法は正当ではないと見なされ、「蝋なし(シン・セラ)」の彫刻こそが「真正(シンシア)」の芸術作品とされた。その言いまわしは定着し、今日でも、「蝋なし」で書かれたこと、内容に嘘偽りがないことの誓いのしるしに、「誠実に(シンシアリー)」ということばが手紙の文末に添えられる。

・魔法陣は行列の次数(オーダー)で分類される。三行三列の方陣は「三方陣(オーダー・スリー)」。四行四列の方陣は「四方陣(オーダー・フォー)」。

・理神論者──つまり、普遍的で偏見のない形で神を信じようとする人たちだったのです。彼らが掲げた唯一の宗教上の理想は、信仰の自由でした。

・情熱は、来たるべき変化に欠かせない触媒です。

・闇は無関心を糧にする──だからこそ、確たる信念が最強力の解毒剤になります。

・EMP、すなわち電磁パルス銃は、法執行機関ではすでにごくふつうに利用されている。最大の用途は、じゅうぶん離れた距離からカーチェイスを制止することだ。電磁パルス銃は高密度の電磁波を放出することによって、標的となるあらゆる装置──自動車、携帯電話、コンピューターなど──の電子機器を骨抜きにできる。

・人間の生け贄には魔力があるが、現代人は弱くなりすぎて、恐怖ゆえに真っ当な供物を捧げることができず、脆弱さゆえに精神的な変身に欠かせぬ生命を差し出すことができない。

・生け贄の力を理解しているにもかかわらず、死から安全な距離を保ち、殺人の真似事や血を流さぬ死の儀式に終始している。

・無関心は無秩序のもとだ。人間の無気力こそが、邪悪が種を育む肥沃な土壌となる。

・わが身のためだけに果たしたことは、わが身とともに死滅する。他者のため、世界のために果たしたことは永久に滅びない。

・時間は川である……そして書物は船である。多くの書物がこの流れをくだっていくものの、むなしく難破して砂に埋もれ、忘れ去られる。ごくわずかな書物だけが時間の試練に耐え抜き、生き延びて次の時代に恵みを伝えていく。

・精神は古代人が自由に使える唯一のテクノロジーだった。昔の哲学者は徹底的にそれを研究した。

・高い集中状態にある人間の脳は、松果体から蝋状の物質を作り出すのよ。この脳の分泌物は他のどんな器官のものとも違う。驚異的な治癒作用を持っていて、細胞を再生することができるから、それが行者が長生きする理由のひとつなのかもしれない。

・世界中の人々が天を仰いで神を待っているわ……神が人を待っているとは思いもせずに。

・「地球は丸い」というあたりまえの説も、それでは海がこぼれ落ちてしまうとほとんどの人が考えたために、当時は問題外だと一蹴されたのよ。そして地動説は異端と見なされた。狭量な人間はいつだって理解できないものを排撃するものよ。創造する者がいれば、破壊する者もいる。いつの時代もそういう構図がある。でも、ついに創造者が信者を見つけ、信者が決定的な数にまで増えると、にわかに地球は丸くなり、太陽を中心としてまわりだす。見方が変わって、新しい現実が誕生するのよ。



ロスト・シンボル 下

ロスト・シンボル 下

  • 作者: ダン・ブラウン
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2010/03/03
  • メディア: ハードカバー



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