SSブログ

『モチベーション3.0』 [☆☆]

・心理学者や脳の研究家などの間ではかなり前から、アメとムチ(これをしたらこれをあげる、これをやらなかったらこの罰を与える、など)では人間のやる気や生産性が落ちる、ということは広範な実験で繰り返し証明されていた。問題は、学問の世界では立証されている簡単なことが、経営の世界ではほとんど活かされていないことだ。

・いまや先進国に残った作業の大半は付加価値を求め、そのつど違うことをする、クリエイティブな作業である。

・経済学とは金銭に関する学問ではなく、行動に関する学問だ。一日中、誰もが常に自らの行動のコストと利益を計算し、どのようにふるまうかを決めている。

・公認会計士の仕事の大半がルーチンワークだとする。彼は、月給500ドルのマニラの会計士との競争に直面しているだけではなく、30ドルでダウンロードできる確定申告書作成プログラムとの競争にも直面しているのである。

・ルーチンワークはアウトソーシングや自動化が可能だが、芸術的で、感情移入が必要な非ルーチンワークの仕事には、それが不可能だ。

・「仕事」とは、「しなくてはいけない」からすることで、「遊び」とは、「しなくてもいい」のにすることである。

・イギリスには、夏場に四頭立ての乗客用馬車を毎日30キロから50キロも走らせる、裕福な紳士がいる。相当な金がなければ、このような特権は行使できない。けれども、もしそれに対して金が支払われることになれば、それは仕事に変わる。そうなったら紳士たちは馬車を走らせたりはしないだろう。

・報酬は行動に対して奇妙な作用を及ぼすのだ。興味深い仕事を、決まりきった退屈な仕事に変えてしまう。遊びを仕事に変えてしまう場合もある。

・「交換条件つき(if-then)」の報酬──これをしたら、これをあげよう──だけが、ネガティブな影響を及ぼした。どうしてなのだろうか。「交換条件つき」の報酬は、自律性(オートノミー)を失わせるからだ。

・注文作品は自主的な作品と比べて、創造性の面ではるかに劣ると評価された。それでも、技術面の評価では両者に違いはなかった。

・外的な数値だけを重要な目標とし、それに報酬をリンクしたときに問題となるのは、たとえ倫理にもとる道であっても、そこへいたる最短ルートを選ぶ者が現われる、という点だ。現代生活につきもののスキャンダルや不正行為の大半は、この「近道」が関連している。

・たいていの弁護士は──名の知れた大手の法律事務所に属する弁護士ならばほぼ全員が──多くの場合は6分単位で、綿密な時間記録をつける必要がある。より多くの時間をクライアントに請求しなければ、事務所は立ち行かなくなる。そのため必然的に、彼らの関心は仕事の「アウトプット」(クライアントの問題を解決する)から、「インプット」(できるかぎり多くの時間をかける)へと変わる。報酬が時間に基づいているのなら、チャージできる時間こそが事務所が得ようとする目標となる。

・偉大な人物は、一文で記述できる仕事を残しているのです。

・モチベーションを持続させるためにできることがある。一日の終わりに、昨日よりも今日は進歩したかどうか、毎日自分に問いかけるのだ。昨日より、もっと多くのことを成し遂げたか? もっとうまくできただろうか?

・意図的な訓練には、実力を上げるという一つの目標しかない。週に一度、10年間テニスをしていても、毎回同じことしかしていないなら、実力は上がらない。

・頭がよいと褒めるのではなく、努力や取り組み方を褒める。「頭がいい」と褒められる子供はどんなことに対しても、自分が本当に頭がよいのか試す試練と受け止める傾向がある。そのため、頭がよくないと思われないように、新たな課題への挑戦を拒み、一番楽な道を選ぶ。

・人前で褒めない。賞賛はフィードバックである──表彰式ではない。だから、褒めるときは、他人の前ではなく、一対一で伝えるほうがよい。



モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか

  • 作者: ダニエル・ピンク
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/07/07
  • メディア: ハードカバー



nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

トラックバック 0