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『陸軍士官学校の人間学』 [☆☆]

・世の中には、多くの経営戦略やマーケティング理論が存在しますが、兵法に勝るものはないでしょう。何しろ、「自分や他人の命がかかっている時代」に生み出された、究極の知恵なのですから。

・消費者の商品知識が乏しいのをいいことに、生産者にとって都合のいいラガービールを、「正しいビール」として販売してきた。こうした姿勢を、我々は「プロダクト・アウト(生産者的発想。独りよがり)」と呼んでいます。

・もはや生産者や商品を売りさばく者よりも、消費者の方が商品知識に詳しい場合も多くなってきています。つまり「マーケット・イン(消費者起点による商品開発)」の精神による商品開発でしか、現代の厳しい販売競争には勝てないのです。

・もし、キリンがスーパードライの発売前に情報を入手し、それとは逆の概念のビール──すなわち、一口飲んだだけで吐き出してしまうような苦いビールを作り、「これが辛口・ドライなのだ」と喧伝すれば、消費者は権威あるキリンの言い分を信じてしまう。私たちが正しいと信じる「辛口・ドライ」の概念が揺らいでしまう。

・区隊長は指揮官としての「極意」を教えてくれました。それが、「統率は統御と指揮に分けて考えろ」というものでした。「統率」とは、「集団をまとめて率いる」ことですが、そのためには「統御(部下を心服させる)」と「指揮(厳然たる命令)」の二つの要素が必要不可欠なのです。

・支配されるのを嫌うのが人間の本質ですから、それを屈服させるのは「心」以外にないのです。

・企業のトップや中間管理職の中には、肝心の統御を忘れ、ただ地位や年齢によった指揮、統率だけに躍起になる人がじつに多い。

・消費者にとってもっとも好感度が高く、かつ浸透力の強い色の組み合わせは「白・青・赤」だと学び、その三色をネオン広告に採り入れるなど、数々の改善を試みたのです。

・「主動の地位」とは何か。それは、敵に動かされることなく、こちらが敵を動かせるポジションという意味です。

・当時としては珍しかった中瓶ビールで独自のシェアを拡大しようとする宝酒造に対し、アサヒ、キリン、サッポロも同じ中瓶ビールを大量販売し、容赦ない集中砲火を浴びせたのです。つまり、大企業が度々行う、「新参者」を上陸寸前で殲滅する作戦でした。

・巧みに戦う者は、戦いに突入する勢いによって勝利を得ようとし、兵士個々の力には頼らずに、軍隊(組織)を運用する。

・「援軍は負け戦に送るものだ」と考えている人は多いと思いますが、実はそうではないのです。最初の戦いに勝ち、次の戦いにも勝てそうだと確信した時にこそ、勝利を完全なものにするため、援軍を送り込むのです。

・「至人」とは、「理想的な人間」という意味です。理想的な人間というのは、すぎ去ったことに対して、いつまでもくよくよしないし、将来のことをあれこれと取り越し苦労することもない。いったん物事が始まったら、それに集中し、終わったら一切忘れてしまう。

・私の一日は、午前四時の早朝から始まります。健康の基本は、何といっても早起きにある。野にある動物たちも、ほとんどは夜明けと共に行動を始めるではないですか。

・「凡事徹底」こそが健やかな日々を送る最大の秘訣である。






タグ:中條高徳
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