SSブログ

『文学少女と死にたがりの道化』 [☆☆]

・いい? ぺらぺらしゃべっちゃダメなのよ? 本当に大切な想いは、墓場まで抱いていかなきゃあ。口を閉ざして耐えるところに、切なさと美しさがただようのよ。

・仲間たちと同じものを喜べず、同じものを悲しめず、同じものを食せず、仲間たちが心地よいと感じるもの――愛や優しさや思いやりを理解できない惨めな黒羊にできることは、黒い毛皮に白い粉をまぶし、白い羊のフリをすることだけでした。

・何故、太宰がこれほど愛されているのか、それは、読み手が太宰の作品の中に自分の悩みや痛みを見るからよ。太宰の作品には、そんな共感を呼び起こす魔法があるのよ。

・自分は、ますますSにすり寄り、Sを讃え、Sに忠誠を誓うふりをしました。こうして自分とSは、主人と奴隷という名の親友になったのです。

・ええ。わたしたち、一生地獄で生き続けるのよ。大丈夫、覚悟を決めれば、どこでだって生きてゆくことはできるわ。

・本当のことを隠していた。それなら、最後までずっと、嘘をつき通してくれればよかったのに、どうして、今さら本当のことを話したりするんだ。どうにもならない現実を、ぼくに突きつけるんだ。

・『人間失格』だけを読んで、太宰の作品は暗いとか鬱々している不健康だとか言う人たちがいるけれど、それは早計すぎよ。『人間失格』だけで、太宰の作品の評価を決めてしまわないで。道徳の時間に『走れメロス』を読まなかった?



“文学少女”と死にたがりの道化 (ファミ通文庫)

“文学少女”と死にたがりの道化 (ファミ通文庫)

  • 作者: 野村 美月
  • 出版社/メーカー: エンターブレイン
  • 発売日: 2006/04/28
  • メディア: 文庫



タグ:野村美月
nice!(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

トラックバック 0