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『「超」入門 失敗の本質』 [☆☆]

・日本人は革新が苦手で練磨が得意。

・自分たちでルールをつくり出すことができず、既存のルールに習熟することばかりを目指す日本人の気質。

・大局的な戦略とは「目標達成につながる勝利」と「つながらない勝利」を選別し、「目標達成につながる勝利」を選ぶことだといえます。

・日本人は戦略と戦術を混同しやすいが、戦術で勝利しても、最終的な勝利には結び付かない。

・日本軍は、どこかの戦場で「大勝利」すれば、国家間の戦争の勝敗も決まると考えて行動したのです。したがって、日本軍は「戦争を終わらせるために」かえって戦線を拡大していったと推測できるのです。

・「一点突破・全面展開」という流れを日本人と日本の組織が採用しがちなのは、戦略の定義という意味での論理が先にあるのではなく、体験的学習による察知で「成功する戦略(新指標)を発見している」構造だからでしょう。

・意識せずに発見した「経験則による成功法則」では、適用すべき範囲を判断することが難しく、結果として過去の成功事例の教条主義に陥りやすいのです。

・体験的学習の優秀さで一時的に勝利したとしても、なぜ成功しているのかの理由を正しく理解できなければ、その後勝利が劣化していくことを食い止める対策が生まれてこない。

・明治の軍人が戦略性を発揮しえたのは、武士としての武道とならんで兵法が作法として日常しつけられていたからであった。

・驚異的な技能を持つ達人の養成に、日本軍はかなりの力を注ぎ、実際に戦果も挙げました。しかし、兵員練度の極限までの追求は、精神主義と混在することで、のちに日本軍の軍事技術・戦略の軽視にもつながった。

・ゲームのルールを変えた者だけが勝つ。

・日本軍は戦局を変える新技術を継続的に開発することができず、零戦が劣勢になったのちも、軽量であることにこだわりました。その上、「精神主義」「過去に勝った技術の過信」など、技術への視点も転換できずに敗戦を迎えます。

・高い技術力を誇る日本の家電メーカーが苦戦を続けるのは、消費者の指標を変化させるイノベーションではなく、単に技術上の高性能を追求しており、効果を失っている指標を追いかけているからだと推測されます。

・イノベーションとは、支配的な指標を差し替えられる「新しい指標」で戦うことである。同じ指標を追いかけるだけではいつか敗北する。家電の「単純な高性能・高価格」はすでに世界市場の有効指標ではなくなった。

・あらゆる成功の起点は「勝利するために必要な指標」を見抜く眼力だと言えます。

・サイズであれば、小さくなることがイノベーションではなく、「購入する動機を変化させる(判断の指標が変わる)」サイズを実現することがイノベーションです。ソニー創業者である盛田氏がトランジスタラジオの「ポケッタブル(ポケットに入る大きさ)」にこだわった理由。

・頭を使っているつもりで実は堂々巡りをしていることがよくありますが、本質を議論する能力ではなく、単なる型の伝承で教育を行った集団には特にその危険性があります。

・組織全体に対して「勝利の本質」ではなく、「単なる型」を伝承している場合、型を伝承している側(大多数)は、同じ組織内で新戦略やイノベーションを発見した人物(少数派)を排除しようとする意識を持つことになります。なぜなら、まさに自分たちが信じてきたことを覆すネガティブな存在の出現に映るからです。

・無謀極まりないインパール作戦を主導、実施した牟田口廉也中将は、のちに陸軍予科士官学校の校長に任命される始末です。繰り返しますが、人事評価とは組織に対するメッセージです。これでは、敗戦や無謀な作戦を立案・実行しても責任を取らなくても済む、と将校が認識しても不思議ではありません。

・日本軍は結果よりもプロセスを評価した。個々の戦闘においても、戦闘結果よりはリーダーの意図とか、やる気が評価された。

・「無謀・無能でも勇壮で大言壮語し、やる気を見せるなら罪に問わない」というメッセージを関係者全員に発信するなら、組織内に無責任な失敗者が続出するのは当然です。

・人事評価と人材配置は、それ自体が組織のメンバーに対して強い影響力を発揮します。なぜなら、組織を構成する人物が生み出した成果をどう評価して、その人物をトップがどう扱うかは、メンバー全員の関心事だからです。

・勝つ側は必要な行動を行い、負けた側はその理由を述べるだけ。

・チャンスを潰す人物の特徴を三つ挙げてみましょう。
(1)自分が信じたことを補強してくれる事実だけを見る。
(2)他人の能力を信じず、理解する姿勢がない。
(3)階級の上下を超えて、他者の視点を活用することを知らない。

・異なる環境と意思を持った敵と激突した場合、「居心地ばかりがいい」組織が、大きな変化を伴う過酷な環境で生き残れるか、多いに疑問です。所属する人間を過度に保護する組織ほど、外部の環境変化や時代の転換点には脆弱である。

・「聞こえのいい正論」をたった一つ連呼するだけで、実績ゼロで利権のことしか考えていない政治家が当選してしまう。

・「保険をかけること」は、万一事故が起こっても、あなたの人生が破綻することを避ける状態をつくり上げていますが「安全運転に努める」行動には、その効果はありません。二つの対応は似た印象を受けますが、事故発生後の結果は完全に違います。

・「必勝の信念を鈍らせる」ことを理由に、万一の事態を想定し対策を取らないのは「保険をかけると安全運転をしなくなる」から自動車保険に加入しないと主張するのと同じです。



「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ

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