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『サイバー戦争の真実』 [☆☆]

・「サイバー戦争」は21世紀型の新たな戦争の形であり、従来の戦争の概念では到底とらえられない。その攻撃の矛先は、戦争とはまったく無関係の一般企業、そして無防備な一般国民なのである。

・「サイバー戦争」は目に見えず、直接的な破壊や殺傷がないため、分かりにくく、忘れやすい。

・毎日の行動を自ら事細かにネット上にばらまいて、それでいながら個人情報だ、プライバシーだ、セキュリティだと叫ぶ。これはいったいどういうことなのか?

・いまは、誰か一人が知った情報がただちにシェアされて万人が知ることになる「高度情報共有化社会」なのだ。

・隠されるべき秘密であればあるほど、それをチクられる可能性が高くなるチクリ社会でもある。

・実名であるからにはキャラクターを変えるわけにもいかない。また、実名であるからこそ過去からのつながりをもち、現在と未来のリアルな生活にもつながりをもっている。フェイスブックは、あなたをあなたのまま仮想化するのだ。

・やがてフェイスブックが、あるいはそれを超える類似サービスが、数十億の人間をサイバー空間へ住民登録してしまうだろう。それはまさしく人類の仮想化である。

・サイバー空間は、実社会よりも活動しやすいこと、ソーシャルメディアがますます発展することから、今後もさまざまな活動家・活動集団が生まれ、社会に影響をもたらすと予想される。

・政治的・外交的目的のために行う一連の活動を、広義の意味で「戦争」と呼ぶのである。実際、私たちが日々行っている経済活動から最終手段である火力を用いたドンパチまではシームレスにつながっており、たとえば「経済戦争」などと言う場合、それは比喩にとどまらない意味をもっている。

・長期的な視野から見た「国力」としては、経済や生産力、科学技術力、文化やスポーツ、さらに国民の教育レベルや勤勉さ、国としての信頼性や国際的発言力などが存在する。これらが奪われ、活力や輝きが失われていくことは短期的には気づきにくく、だからこそ最も注意すべきである。

・攻撃と防御の関係においては、攻撃側が圧倒的に有利であることは言うまでもない。攻撃側は好きな攻撃を選んでそれを行えばいいが、守る側はありとあらゆる攻撃を考慮して防御を行わなければならず、効率が悪すぎるからだ。

・尖閣ビデオ流出事件で国民が学んだことは、情報は漏洩するものだということに加え、日本という国は大切なことを国民に隠したがるということだった。

・もしもリアルな戦争が起こったとしても、それを教えてくれるのは、どうやら政府ではなくツイッターかもしれない。

・日本におけるセキュリティ対策は、そのころから進歩が乏しい。脅威に対応するという本来の目的ではなく、対策をしているか、していないかという「アリバイづくり」にすぎないのだ。「やるべき仕事はちゃんとやってますよ」と言って、経営者やシステム管理者が責任逃れをするための対策だったのである。

・日本はリスク(見えない脅威)に対して行動できない仕組みが定着している。それは費用対効果が測れないからだ。

・人材のムダは放置できるものではないが、行きすぎると従業員一人ひとりが単一障害点になりかねない。それは9名の野球部員で甲子園を目指すようなもので、誰かが負傷すればその時点で夢は破れてしまう。

・ITに関する禁止事項が、中学校の昔ながらの校則のように陳腐化し、滑稽化していないだろうか。いつまでも過去のルールに縛られていてはいけない。あなたがノートパソコンの持ち出しを禁止されている間に、ライバル企業がモバイルを活用してワークスタイルを革新すれば、あなたの会社は淘汰の波に呑まれてしまうのだ。

・ITの世界では過去に作ったルールを守り続けても。できなかったことを、できるようにしていくのがIT化の本質ではないか。

・「正論は刃物」であると。言い得て妙である。正論は、物事を一刀両断に片付けてしまう。それゆえに、むやみに振り回せば凶器となる。

・人はやたらと正論を持ち出したがるが、それはときに問題と向き合うことからの逃避となり、前進なき結論を導くことがあると気づかなければならない。正論に対して疑いを持ち、熟慮して、とるべき行動を決めなければ、ただそこに踏みとどまるばかりだ。

・5億数千年前、地球はカンブリア紀の生命ビッグバンの中にあった。それまで生物はゆっくりと進化していたが、突如、爆発的進化が始まり、多種多様な生物が生まれたのだ。その理由は「生物が眼を持ったからだ」という説が注目されている。それまで受動的に生きるしかなかった生物は、眼を持つことで能動的に生きる道へと進んだのだ。

・生物が持った眼は、現代においてスマートフォンをはじめとする情報端末に相当する。

・パソコンを手に入れることが難しかった国々も、スマートフォンならハードルが下がり、一挙に普及するだろう。



国・企業・メディアが決して語らないサイバー戦争の真実

国・企業・メディアが決して語らないサイバー戦争の真実

  • 作者: 西本 逸郎
  • 出版社/メーカー: 中経出版
  • 発売日: 2012/02/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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