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『貧困の終焉 2025年までに世界を変える』 [☆☆]

・緊張でぴりぴりした時代には、敵になるかもしれない相手から自分の身を必死で守ろうとするより、彼らと友達になったほうがずっと安上がりな――しかも賢明な――ことではないだろうか。

・豊かな国の活動家は、ダッカのアパレル工場に対して、もっと高い賃金を払うか、さもなければ工場閉鎖すべきだと抗議する。しかし、労働者の生産性以上の賃金を支払ったあげくに工場がつぶれたりしたら、若い女性たちは田舎の惨めな暮らしに送り返されるだけなのだ。

・豊かな社会の所得を長期的に増加させた大きな推進力は科学技術であって、貧しい地域からの搾取ではなかった。

・第一次産業革命にとって何より肝心なのは石炭そのものではなく、石炭をどのように使うかだった。より広くいえば、新しい形のエネルギーをどのように使うか、である。

・経済的に外部との接触を断ったセカンドワールドとサードワールドは、グローバルな経済成長とテクノロジーの進歩の恩恵からも切り離された。

・技術的なノウハウは自動的に継承されるものではない。新しい世代は常に経験を通してテクノロジーの知識を学んでゆく必要がある。

・貧しい国々の多くは、運搬コストの高さという深刻な障害を抱えている。内陸にあったり、高い山に阻まれていたり、航行可能な河川や長い海岸線や天然の良港がなかったりという国は多いのだ。

・投資家が逃げ出すのは、国が弱体化したためだけでなく、他の人びとが続々と逃げ出すのを見るからだ。

・インド国民は故国を、重々しく――そして、ぎこちなく――ジャングルを歩く「アジアの象」になぞらえる。一方、インドの隣人である東アジアの国々はみずからを「アジアの虎」と称している。

・これほど病気と死が蔓延していることがアフリカの長期的な経済開発を妨げる大きな理由になっている。

・開発支援に関して、豊かな社会が貧しい人びとを助けるのに十分努力をしているかどうかはたびたび議論になるが、そもそも先進国にとっては国民所得の1パーセント未満の問題なのだ。先進国に要求される努力はそれほど小さい。

・世界銀行の推定によれば今日、約11億人が極貧の生活を強いられている。これは世界人口のほぼ6分の1に相当する。1世代前はおよそ3分の1だった。2世代前は半数に近かった。

・私たちの援助でアフリカの子供たちが命を永らえたとしよう。その先はどうなる? 人口爆発が起こり、腹をすかせた大人のアフリカ人が増えるだけだ。これでは何も解決しない。

・変わるはずがないと思われていた社会的な価値観さえ、経済の状況や機会によって、思いがけず大きく変化することがある。文化的な価値観のすべてがそう簡単に変わるものではないとはいえ、経済発展の邪魔になるような要素は、たいてい――すべてではないにしても――変わっていくものだ。

・保守派は、最貧困国の返済能力に幻想を抱いていなかったので、帳消しは必須だと考えていた。リベラル派は、それが正しいことだから実行すべきだと考えた。

・ガンディーが証明したのは、たとえ弱者でも、大勢が団結してあきらめずに普遍的な価値観を訴え続ければ、強者の圧力もくつがえせるということだった。



貧困の終焉―2025年までに世界を変える

貧困の終焉―2025年までに世界を変える

  • 作者: ジェフリー サックス
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2006/04
  • メディア: 単行本



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