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『リーダーの値打ち 日本ではなぜバカだけが出世するのか?』 [☆☆]

・家で寝ているのに、百円落ちてないかなと夢を見るようなもので、せめて家を出て歩かなければ百円が落ちているかどうかも分からないのです。

・妄想を抱くことは、現実の逃避になりストレスを回避することにはなりますが、現状を1ミリも改善してはくれません。

・楽にならない理由は「前に進んでいる、という実感が持てないから」です。目的がはっきりし、それに向かって進捗しているのだ、という実感を得られなければ、楽しくなく、楽でもなく、幸せにもなりません。

・組織におけるビジョンとは、なぜその組織が存在するのかという存在意義と、その組織が活動した結果、どういう未来があり、どんな実益が構成員にあり、社会からどういった肯定的な評価を下されるのかが定義されていなければなりません。

・「こうありたい」というビジョンがあってはじめて「それをするためには、こうする必要がある」という計画が立てられるのです。

・組織において有能な個人は出世して、階層を一段ずつ上がっていく。そして、彼(彼女)は、自分がもはや有能でないレベルに達すると、それ以上は出世できない。したがって、組織の中のポストは次第に、無能な人間によってすべて埋まっていく。だから大きな組織は、たいてい全体として無能になっていくのだ。これを「ピーターの法則」といいます。

・ビジョンとは、そういう難題に対して何を優先し、何を後回しにするのかという優先順位を決める物差しであると言えます。逆に、優先順位を規定できないビジョンというものは存在しません。

・ビジョンを持つということは、こういう人たちの顔を見て、彼らの目を見据えて「全体の利益のために、貴方がたには死んでいただきたい」と言うも同然のことなのです。「日本のリーダーにビジョンがない」という批判は、すなわち日本の社会なり経済なり事業にとってお荷物とされる人たちが切り捨てられるだけの精神的なタフネスや、失脚しないだけの磐石な支持基盤を持たないことを意味します。

・残念なことに、組織というものは時間が経過するにつれ、だんだんとトップが劣化するように宿命付けられている。人は往々にして自分よりも有能な人物を後継者に置くことを嫌ってしまうということ。自分がやってきたことを後から来た人が否定することに耐えられるトップはあまりいません。

・いま苦労している課題というのは前任者がきちんと対応しなかったために放置されてきたものであって、その前任者の仕事を否定しなければ改善・革新は行うことはできない。

・案件1個1個の重要度が増すほどに「ひとつの場所にスペシャリストが定常的にそこにいて働いている」という状態が、結果としてミスが少なくクリエイティブの面でも成果が出しやすい。

・国民は、官僚批判を繰り返し、国家の問題の過半が官僚の私利私欲によって引き起こされていると政治家が喧伝するとこれを喝采する一方、自身の生活を振り返って考えると国立大学に我が息子を入れるための受験戦争に身を投じ、将来の希望に公務員と書く親子の割合はなかなか減りません。

・増税はけしからん、官僚の数を減らせと言う割に、市民サービスの切り下げには反対であるとか、もう無理筋という言論がたくさん表出してしまう。

・補助金があることで農業の効率が低く、改善の努力を払わずともある程度の生活ができてしまうがゆえに合理化が進まない。

・我が国の社会が今後立て直す方法は、単純な生産やその量的な拡大ではなく、効率を如何に上げていくか、要領を良く物事を立て直していくか、省力化するか、少ない投資で多くの回収を図ることができるかを尺度に、技術、サービス、制度を見直していくことにあるのだろうと思います。

・「歴史を学ぶ」のではなく「歴史から学ぶ」ということです。

・映像作品においては最終的な出口がパチンコ・パチスロ業界にセットされて、その出口に向けて制作しやすい内容に企画されるという機会も増えてきました。

・人に率いられたときに最大の効果を出すための研鑚はまじめに取り組むのに、人を率いる場合にどのようなことを考え、何に気を回したらよいのかというマネジメントに関わる部分がごっそり抜け落ちてしまうのが、日本人の仕事観の特徴であり、マネジメントの何たるかを学ぶことを後回しにしていること自体が、日本の組織の極めて重大な欠陥のひとつだろうと思われるのです。

・リーダーシップを取るためにはどうすればよいのか、人に動いてもらうためには何が必要かを体感する機会が少ないのが、日本の教育の問題点であり特徴なのではないでしょうか。

・日本の若者に限らず、日本人というのはある程度明確なニンジンをぶら下げられないと、いまある仕事や進め方に拘泥してしまう腰の重さがあるようです。

・島国根性、農耕民族といった不思議なレッテルを日本人自身が日本人に対して貼って、とはいえ何かを改善することもなくゆるゆると暮らしている、というより「暮らせている」のが驚きなのですね。

・その企業の中でだけ通用するスキルを身につけてしまい、世間一般の変化に対応しうる専門性を獲得することのないまま、その会社の意思決定を促すための稟議や書類を通す能力だけが進化していってしまう。

・単に人の話を聞くだけでなく、なぜそういう話が出てくることになったのか、自分の中のコンパスと突き合わせることで、より立体的に見えてくるのです。

・格差に関する議論も世代間闘争も地方と都市の摩擦も、すべての社会における断絶は、どのような配分が行われるのが社会的に正しいと言えるのかを各々が考え、突き詰めていく終わりなきプロセスなのです。



リーダーの値打ち 日本ではなぜバカだけが出世するのか? (アスキー新書)

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