SSブログ

『マーケティング脳vsマネジメント脳』 [☆☆]

・両者が特に違うのは、左脳タイプは言葉で考えようとし、右脳タイプは視覚的なイメージで考えようとする点だ。

・言語志向である左脳タイプには、しゃべるのが得意な人間が多い。一方、右脳タイプには、文章を書くのが得意な人間が多い。なぜ右脳タイプは文章が上手なのか? それは1ページの中に言葉を並べる作業には、言語的な才能だけでなく、視覚的なセンスも求められるからだ。

・人間の頭脳には、未来に起こりうることを視覚化するの能力がある。右脳が発達していれば、なおさらその能力は高い。

・ものごとを論理的・分析的に考える者は、自分の予測を過信しやすい。徹底的に状況を調べさえしたら、必ず、次に起こることもわかると考えるからだ。

・左脳タイプは確信の強さを特徴とする。逆に、全体に目を向ける右脳タイプは、それほど強い確信を持てない。

・ブランドを築くためには、ライバルより製品の価格を高くするのがよい。そうすることで、自社のブランドが他社の製品よりも優れているという印象を、消費者に与えることができる(その例は、スターバックスや、ロレックスや、レクサスや、メルセデス・ベンツや、ボーズや、エヴィアンや、ゴディバなど、枚挙にいとまがない)。

・価格の高さは、必ずしもマイナスにならない。そもそもブランドとは、他の同等の商品より高い値段で買ってもらえる商品のことだ。

・もし消費者が他の商品より高いお金を払ってくれないとしたら、それはブランドではない。単に名前のついた商品というにすぎない。

・ミラー・クリアは本当に目をつむって飲めば、普通のビールのように感じられた。目を開けて飲むときには、水っぽいビールの味がした。認識と現実とでは、いつも認識が勝つ。

・もちろんどの車も同じということではない。そこには大きな違いがある。しかしその違いは、製品そのものの中には存在しない。それは買い手の心の中に存在する。

・メルセデス・ベンツの強みは、卓越した製品というよりも、卓越したブランドにある。

・いくらよりよい商品を作っても、強いブランドは築けない。強いブランドを築くためには、商品を「よりよいもの」にするのでなく、「他とは違うもの」にすることが必要だ。

・大衆車には大衆車の値段をつけ、高級車には高級車の値段をつける。それがマーケティングの基本だ。

・同一カテゴリー内の商品は、たいてい、次第に、似たりよったりになってくる。消費者にわかる商品の違いは、ブランドの力によって築かれる。

・認識は現実を変える。スターバックスのコーヒーがおいしいのは、スターバックスのコーヒーはおいしいと消費者が思っているからだ。

・アメリカに限らず、相手より努力することで勝とうとする経営者は他の国にも多い。無数の企業が「よりより商品やよりよいサービス」によって、その業界のトップの座を奪い取ろうとしている。しかし「よりよい」によって勝とうとする戦略は、めったにうまくいかない。

・1923年時点でトップだった25ブランドのうち、現在トップの座にないのは、わずか5ブランドだという。しかもそれら5ブランドのうち4ブランドは、他社のよりよい商品によってトップの座を奪われたわけではなかった。

・マネジメントはフルラインナップを好む。マーケティングはラインナップを絞る。

・会社が成功するかどうかは、どれだけの商品を生産したかでは決まらない。どれだけの金を稼いだかで決まる。

・現在のようにものがあふれている時代に、世界的なブランドを築くためには、短くて、シンプルなブランド名が必要だ。レッドブルも、スターバックスも、グレイ・グースもみんな、二音節からなっている。

・スターバックスや、ハーゲンダッツや、エビアンなど、数々のハイエンドブランドの例が示すように、高級ブランドの成功のためには、値段は高くなくてはならない。安さは気品の敵だ。

・市場の真ん中は一番売れる場所ではない。実際には、どのカテゴリーもローエンドとハイエンドの二極に分かれる傾向がある。

・コーヒーと紅茶(ティー)の両方を飲む人も、世界には大勢いる。しかしだからといってコーティーなる商品があっても大当たりはしないだろう。

・時代は変わった。かつてのマーケティングは、ブランドの知名度を高めることを目的にしていた。今よりブランドの数や広告の量が少なかった時代には、そういう戦略が効果を上げた。しかし、このごろは広告が氾濫していて、すべてのカテゴリーに、有名ブランドが数多く存在する。

・消費者が買うのは、位置づけのはっきりした商品だ。トップブランドとは、ブランドにとって最高の位置づけだ。

・トップブランドと認識されるということは、そのカテゴリーにおける最高の商品やサービスであると思われていることを意味する。実際には最高ではなくても、そう思われているということが重要だ。

・安さという言葉には、すべての人にアピールする力はない。ないからこそ、効果がある。万人にアピールする言葉は、マーケティングでは役に立たない。

・ブランドを築くためには、釘とハンマーの両方が必要だ。釘とは言葉のこと。そして、それをしっかりと消費者の心に打ち込むためのハンマーが、視覚イメージ。この両方が揃わないと、有力なブランドはなかなか築けない。

・残念ながら、最近はクリエイティブな人間たちが商品をおもしろくすることより、広告をおもしろくすることに力を注いでいる。

・消費者はそれまで使っていたブランドを卒業するとき、自分の人生が一歩前進したことを実感する。

・ブランドは人生の段階を示すしるしだ。わたしたちはその段階を上がるたび、ブランドを変えることで、その進歩を確認する。

・衣料メーカー、リーバイスは今、苦しんでいる。不振の一因は、年配者がリーバイスの服を着ていることにある。子供たちは親と同じ服を着たがらないからだ。

・マネジメントはライバルの真似をする。マーケティングはライバルの反対を狙う。

・コーラは若者の飲み物だが、大人にもよく飲まれている。若者に人気のブランドとして知られるようになれば、若くありたいと願う年配層にもアピールできる。

・バーガーキングはマクドナルドに次ぐ全米二位のハンバーガーチェーンと言われる。しかし、それは総売り上げでの話だ。一店舗当たりの成績では、他のハンバーガーチェーンに大差をつけられている。

・唯一、モンスターだけが、473ミリリットル缶で売り出された。モンスターはたちまち売り上げを伸ばし、レッドブルに次ぐ全米二位のエネルギー飲料に成長した。モンスターを販売したハンセン・ナチュラルは、ネーミングでも、サイズでも、レッドブルの真似をしなかった。

・たびたび次ぎのセリフを聞かされてきた。「あなたがたの言っていることは、どうもピンと来ない」 新しいアイデアにピンと来ることはない。

・値段さえ下げれば、どんなにひどい名前の商品でも、売れる。ヒュンダイはアメリカ国内で毎年、50万台近く売れる。しかし、「見てくれ。ヒュンダイの車をついに買ったんだ」と、自慢する者がいるだろうか。

・肝心なのは、商品やサービスや価格そのものではなく、それらが消費者にどう認識されるかだ。名前が悪ければ、いい認識のされかたはしない。

・有名人なら、イニシャルを愛称にできる。JFKやFDRなどのように。有名でない者がイニシャルを使ったら、きっといつまでも有名にはなれないだろう。

・不正がエンロンに危機をもたらしたわけではない。危機がエンロンに不正をもたらしたのだ。業績のいい会社はふつう、帳簿をごまかさない。エンロンの経営者が道を踏み外した、愚かな戦略によって多大な損失を出したからだ。

・どんなことも一歩後退、二歩前進が原則だ。わたしたちはクライアントの企業から戦略の相談を受けたときは、本業から離れたサービスや商品は切り捨て(一歩後退)、会社の発展につながる事業に力を注ぐ(二歩前進)よう勧めている。

・現在、ダイエット・コークは若者には、ダイエットをしたい年配向けの飲み物と認識されている。また男性には、女性向けの飲み物と認識されている。そういう認識のされかたでは、21世紀を代表する飲み物にはなれないだろう。

・コーラが大人気を博せたのは、ひとつには、さまざまなフレーバーからなるその独特の味のおかげだ。コーラは複雑な風味を持つ上等なワインと同じで、単純な味の飲み物ではない。いくら飲んでも、飽きがこない。

・事業が停滞し始めたとき、経営者にはふたつの選択肢がある。問題の解決を図るか、それとも他社を買収することで問題を隠すかだ。マイクロソフトはヤフーを446億ドルで買い取ろうと試みた。

・単純さは、新ブランドの位置付けには使えない。「さあ、頭の悪いみなさん、これがあなたたち向けのソフトウェアですよ」では、買ってもらえないだろう。

・昔に比べると、コンピュータの演算処理速度はびっくりするほど速くなった。ところがウィンドウズのせいで、ソフトウェアの動きは、いらいらするほど遅い。

・どんなパソコンも、千語ほどの単語をアルファベット順に並べ替える作業には、1秒とかからない。ところがOSの起動には、2分も、3分もかかる。もし携帯電話が、相手との接続に2分も、3分もかかるものだったら、売れるだろうか?



マーケティング脳 vs マネジメント脳 なぜ現場と経営層では話がかみ合わないのか?

マーケティング脳 vs マネジメント脳 なぜ現場と経営層では話がかみ合わないのか?

  • 作者: アル・ライズ
  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 2009/07/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

トラックバック 0