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『世界の99%を貧困にする経済』 [☆☆]

・ウォルマート帝国のこの6人の後継者たちは、巨額の遺産を意のままに使うことができるが、697億ドルという額は、アメリカ社会の下位30パーセントの財産総額とひとしいのだ。

・住宅ローンを借りている人々の約5分の1は、ローン残高が自宅の資産価値を上回っている。担保割れした住宅は、老後の資金や子供の学費を生み出してはくれず、むしろ重みとなってしまった。

・安い中国製品のおかげで、貧困層でもテレビを買うことはできるが、インドや中国の貧しい村々でも、たいていはテレビを観られる。今日の世界では、テレビは豊かさのしるしではないのだ。

・一般的に言うと、権利が問題となるのは、力が同じ者たちのあいだだけである。好き勝手にふるまえる強者の前では、弱者は苦しみを甘受するしかない。

・貧困者ひとりひとりはそれほど金を持っていなくても、大勢の貧困者から少しずつ巻き上げれば、莫大な儲けを手に入れることができる。

・レバレッジを高める方法については、まだ残っている規制をかいくぐる場合もあれば、規制当局が理解できないほど仕組みを複雑化させる場合もあった。

・貧困者は高いコストで金を借り、貧困層にとどまる。忙しい人々は、時間がない場合に決断を先送りし、結局はもっと忙しくなる。

・現在、わたしたちの耳元にささやかれるのは、グローバル化に参加したいなら累進課税は導入できないという話だ。

・ひとつ言えるのは、不平等の程度がアメリカくらい大きくなると、逆にさほど目立たなくなるということだ。それはおそらく、収入や富の異なる人々が交わることすらないからだろう。

・いまの世界は過去の世界とあまりにも異なっているので、ライフサイクルを考慮した貯金について両親から学べることはほとんどないし、子供たちに学んでもらえることもほとんどないのである。

・世論に影響力を行使する最も効果的な方法のひとつは、政治家をつかまえることだ。なにしろ、政治家は思想を売り込む商人だと言っていい(政治家を説得して、自分のものの見かたや認識を取り入れてもらうことには、ふたつの利点がある。政治家はその思想を大衆に売りさばいてくれるだけでなく、法律や規制に変換してくれるのだ)。

・無党派層を説き伏せるには、長くてまわりくどい話より、単純でねじ曲げられた話を、たいていは繰り返す話すほうが効果を発揮する。感情に訴えるほうが理性に訴えるよりも効果的な場合が多い。

・ピラミッドの最下段の人々はほとんど金を持っていないが、あまりにも数が多いので、それぞれの人から少額ずつ取れば割に合う。世界じゅうの銀行が勢い込んで、貧しい人々のためのマイクロファイナンスに乗り出した。





世界の99%を貧困にする経済

世界の99%を貧困にする経済

  • 作者: ジョセフ・E・スティグリッツ
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2012/07/21
  • メディア: ハードカバー



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