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『快楽上等! 3.11以降を生きる』 [☆☆]

・組織はその出来始めはともかく、必ず腐る。そこに帰属する人たちのお得と存続が真の目的になっていくから。

・ツイッターで原発関係の正しい情報を取り寄せようと思っても、そもそもこっちの知識が皆無なので、情報の選択ができない。

・抑圧を生き延びるために、できるだけ省エネで生きる。反応しない、感覚を遮断する、離人症的な状況を生きる……。

・半ば死者のごとく、日々やり過ごしていた収容所のユダヤ人は「ムーゼルマン」という隠語で呼ばれてた。ドイツ語で「イスラム教徒」を意味する言葉。

・私の母は空襲の被害者だけど、あの火の中を逃げまどったという経験は、自分たちの国が戦争を起こしたということと結びついてないもんね。

・ものすごい目に遭ってはいるんだけどね。人災を半ば天災のごとく扱うところが、日本人にはある。天から降ってきた災厄だとね。

・小説やアートというのはある種の予期的学習で、何かが起こったときに「ああ、コレが私が読んで知っていたアレなんだ」となるわけ。

・思春期以前は子供時代だから、リア充も非リア充も、そんなに違いはないでしょ? 特に非リア充の妄想系は、思春期以降文化的な知識をいっぱい仕込んでから、その世界が広がるわけだから。

・男は口では左翼的な男女平等を言いながら、相手の女には、自分に脅威がないオヨメさんか天然ちゃんタイプを選んでた。今でも文化系の男子によくいるタイプ。

・子供が「ウチの親はワタシを理解してくれない」って泣くけど、そんなもんは、当たり前だろう。

・世の中にはせこい人もいるから。そういう人を見ると、せこくないと生き延びられない環境にいなくてすんだ、自分の幸運を喜んだほうがいいと思う。

・進路については放任でした。子供に興味がなかったんですね、二人とも。

・経済的に苦労したことのない育ち方をしたせいだと人には言われるけど、医者になるレールを前に敷かれて、「一生、食いっぱぐれのない人生っつうのは、つまらんもんやなぁ」と思ってね。

・他人に秘密を持つんですよ。それが大人になる第一歩。でも、そんな楽しい秘密でも耐えられない若い子も多いからね。なぜかって、ウソはいけない、ってテレビや親に言われているから。

・採算を度外視して「いいものを」なんて言ってたら、アーティストになれても、経営者にはなれないわね。

・あんたたちはそれを作る側には決して回れない。せいぜい売る側にしかなれない。

・女を呼ぶのに、なぜ、言うに事欠いて「お母さん」と呼ぶのか。そう呼ばれただけで、「じゃあ、私は入ってないのか」となるじゃない。女性差別の中で最たるものは、子供を産まなかった女に対する差別だから。

・子供をダシにしなくても、自分が大事と、どうして女には言えないんだろう。

・私がすごくイヤなのが、「子供のために」であったり「子供の将来のために」ということが、あまりにも強調されていることなんです。自分の生き方を自分で決められなかったり、現状をうやむやにしてることの責任転嫁に、「子供のために」を使っている狡さを感じるんです。

・効率はセコイでしょ。というか、実は仕事のリアルな現場では、まわり道のほうにチャンスがあることも多いから。

・二流で上等、どうせそれしか生きられないんだ。

・承認欲求というのは、優等生シンドロームね、良い子症候群。これはエリートに付きもの。

・介護を生き甲斐にする人もいる。自分のアイデンティティを介護することで確保してるんですね。人様に後ろ指さされないし、少なくとも伝統的に、非常に据わりがよい。

・もう一つの不満と不安が、こうなればいい、という女のロールモデルがないということ。お手本がほしい、という学校的な欲求。

・社会主義革命が仮に成功しても、決して人は平等にはならない。特に女は平等にならない。なぜならば、女には美醜の差があるから。

・オペラとかクラシックのコンサートによく行くらしいけれど、感想は、「やっぱり本物は違うのよー」しか言わない。

・成り上がりの悲しさは、わかりやすい富しか解せないところなんだよね。だから、ブランド品に走る。それも、自分が評価した結果でならいいんだけど、他人の評価で動いてる。

・ノスタル爺いが何と言おうが、昔には戻れないんですよ。そうした変化が前提になっているのに、「昔は良かった」とことあるごとに大合唱したい人たちがいるんです。

・そこにいる者が誰も幸せじゃないのに変えずに保守するという行動、日本人って得意ですよね。

・日本って、ずっと欧米に追い付け追い越せできたじゃないですか。クラシックでも、ヨーロッパの本場を忠実にお手本にする。優等生だから。

・友だちと話が合わない……とかいう悩みを相談してくる人っているけど、話が合わない人を「友だち」とは呼ばない。

・翻訳ソフトを使えば、けっこう大丈夫。ロシア語でもできましたからね。向こうも日本語の私の書き込みに反応してるから、翻訳ソフトを使ってるんですよ。そういう時代ですね。





快楽上等!  3.11以降を生きる

快楽上等! 3.11以降を生きる

  • 作者: 上野 千鶴子
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2012/10/26
  • メディア: 単行本



快楽上等! 3.11以降を生きる

快楽上等! 3.11以降を生きる

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • メディア: Kindle版



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