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『すべては「先送り」でうまくいく 意思決定とタイミングの科学』 [☆☆]

・天才的な発想というものは、たいてい最初は眉唾ものに見える。

・9か月の発達検査における迷走神経の変化データが、3歳になったときの問題行動をもっとも正確に予知していた。心拍が柔軟に変動していた乳児──新しいおもちゃ、ブロック、形を見せられたときに瞬間的に鼓動が反応しつつも、それを即座に抑えていた乳児──は、のちに問題行動が発生する確率が低かった。心拍がすぐに高まり、そしてすぐに鎮まっていた乳児の多くは、成長しても社交性の欠如や抑うつ傾向、攻撃性といった行動上の困難を示さなかった。

・心拍可変性、すなわち心拍の加速と減速における幅の広さが、良好なメンタルヘルスを示す「ものさし」となる。

・平均心拍が100程度の子供が何かに驚いたり怖がったりしたとき、その心拍の変動幅が90から110であった場合、95から105と変動幅が狭い子供と比べて、成長につれて精神的困難さを抱えてしまう可能性が低い。重要なのは平均心拍数ではなく、刺激に対する変動の幅だ。

・研究によって、心拍反応と境界性人格障害には相関関係が見つかっている。強く感情を揺さぶる映像を見せられると、人の心拍は変動する。だが境界性人格障害の被験者の場合、同じ映像を見ても、心拍反応は映像を見る前よりも低かった。

・第一のステップは、反応するまでに自分にはどれくらいの時間が与えられているのか、だいたいを見極める。そして第二ステップは、見極めたタイムフレームの中で、最大限に対応を先送りする。

・「遅れを最小限にする」と「遅れを最適化する」とでは、その意味するところは大きく異なってくる。

・私たちはただ株を買い、基本的にはそれを保持して、どうしても売らなければならないときが来るまで売るのを待つべきなのだ。ところが多くの人にとって、この単純なルールに従うのが難しい。ついつい小刻みに取引をしてしまう。

・ファストフードのロゴを12ミリ秒見ることによって、ものを読む速度が速まるのではないか、と彼らは考えていた。結果は、まさにその通りだった。対照群が(ロゴを見ていない被験者)が、与えられた文章を読むのにかかった時間は、最速でも84秒。ファストフードのロゴを見せられた学生のほうは69.5秒だった。

・ブリッツチェスというのは、各プレイヤーに対局全体で3分から5分しか待ち時間が与えられない「早指し」と呼ばれるチェスの一種だ。

・その分野のエキスパートではなく、合理的に選択肢を比較・選別する時間もないとき、最善の道は往々にして何もしないことだ。素人は間違った行動に出やすいので、たいていはまったく動かないのが正しい動きなのだ。

・強い態度を見せたり、高圧的に出たりしたほうがいいシチュエーションでは、ハイパワーのポーズをとってテストステロンを高めればいい。反対に、とげとげしい態度になってしまうのが心配なら、身を縮めることでコルチゾールを増やせばいい。こうしたホルモンの変化は、ある程度の時間は持続するので──少なくとも17分間は継続する──あらかじめこっそりポーズをとっておけば、その少し後にテストステロンの変化を武器にできる。

・決定して行動を起こす時間を最小限に短縮し、浮いた時間を観察と確認に使えるならば、そのほうがよい決断をしやすいのだ。

・「カラスを食わなければならないなら、せめて料理が熱いうちに」 間違いが見つかったなら、即座に、可能な限りすみやかに謝罪を表明すべきだ。

・誰かに謝罪する理由が生じたとき、最初に下さなければならない判断は「謝るべきか」ではなく、「いつ謝るか」である。

・今すぐ片づける必要のない仕事をあとに回す、つまり「能動的な先送り」であれば、それは賢い選択なのだ。反対の「受動的な先送り」は愚かな行為であり、怠惰とイコールだ。

・私たちがお金を貯める理由は、基本的には、遠い将来のためだ。子供を大学にやる費用のため。自分の引退後の生活のため。だからこそ投資の大原則として、「株や証券を買ったら、そのまま触らない」と胸に刻んでおくべきなのだ。

・チェックリストが有効かつ重要である理由のひとつは、それを使うと作業スピードが強制的に落ちるからなのだ。リストに沿って作業していると、次の項目に進む前に必然的に一時停止し、次の作業について考えることになる。

・イベントタイムは、物事をやり終えるまで、あるいは何らかの出来事が起きるまでを、ひとまとまりと考える。「10分経ったから」や「1日経ったから」ではなく、「終わったから」「何かが起きたから」を合図に次の作業に移るのだ。たとえば朝9時に仕事を始めるとしたら、それはクロックタイム。朝食を食べてから仕事をするとしたら、それはイベントタイムだ。

・私たちは今も狩猟採集民のスローな時間で生きようとする傾向があり、「メガヘルツの世界で、ヘルツで動くマシン」になっているのだ。古来からの生理を、現代の急速に変化するテクノロジーに合わせていかなければならない。

・GDPは、私たちが前年にどれだけの生産をしたか示し、短期的な未来を限られた範囲で把握させる。だが、長期的な未来については何も語らない。

・政府がしたがらないこと、それは「行動しない」という行動だ。

・政策を取りそこなった、あるいは政策がなかったことによって、1920年から21年のデフレ大恐慌は自然治癒に至った。

・賢いか、賢くないか、その違いは「経験をどう活かすか」なのです。誰にでも勘の力はありますが、重要なのは自分の経験を掘り下げて、それを分析的かつ冷静に当てはめていくことです。

・ガンマンの早撃ちでは、自分から撃つより敵の動きに反応したほうが10%速く動けることがわかっている。どうやら人間は、反応するときのほうがすばやく神経回路をはたらかせるらしい。

・異なる時間間隔を区別させる実験で、ADHDの子供は対照群の子供よりも50ミリ秒長い間隔を必要とすることがわかった。コンピューター画面にふたつの丸を見せ、どちらの丸のほうが長く表示されていたかたずねたところ、対照群の子供はその差が190ミリ秒未満でも区別できたのに対し、ADHDの子供は240ミリ秒の差がなければ区別できなかった。





すべては「先送り」でうまくいく ――意思決定とタイミングの科学

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  • 作者: フランク・パートノイ
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2013/03/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



すべては「先送り」でうまくいく

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