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『内向型人間の時代』 [☆☆]

・ピアノや浴室が贅沢品だった当時、しゃべる力は法律家や聖職者や政治家だけが必要とする特殊な能力と考えられていた。だが、今日では、それは厳しいビジネス競争において着実に前進するために絶対に欠かせない武器だと認識されている。

・アメリカは「人格の文化」から「性格の文化」へと変容した。

・「人格の文化」においては、思慮深く、規律正しく、高潔な人物が理想とされる。他人にどんな印象を与えるかよりも、自分がどう振る舞うかが重要視される。

・「性格の文化」が広まると、アメリカ人は、他人が自分をどう見るかに注目するようになった。目立つ人や面白い人が人気を得るようになった。

・いかにも頭がよくて魅力的に見えなければ、街ですれちがう人々に、あなたの頭のよさも魅力もわからない。

・ハーバード・ビジネススクール(HBS)の卒業生たちは、知らないうちにあなたの人生に影響を及ぼしている。彼らは誰が、いつ、戦争へ行くべきかを決め、デトロイトの自動車産業の運命を決定し、大企業や中流階級や米政府を揺さぶるあらゆる危機において指導的役割を担うのだ。

・その影響力を考えれば、どんな人間がHBSに入学し、卒業するまでにどんな価値観を身につけるか、知っておいて損はないだろう。

・説得力のある発言をたくさんする学生はプレーヤーであり、そうでない学生は傍観者だ。

・中国ではアメリカよりも、他人の話に耳を傾け、しゃべりまくるのではなく質問し、他人の意向を優先する。

・アメリカでは会話は自分の経験を効果的にしゃべるためのものだが、中国ではつまらない情報で相手の時間を取りすぎるのを心配する傾向が感じられる。

・積極的で雄弁な人が全員を説き伏せて、それが結局は全員の利益を損なう結果を招いたという体験が、あなたにもきっとあるだろう。

・テレビで解説する専門家たち──かぎられた情報を元に長々としゃべることで生計を立てている人々──による経済や政治の予測が当たる確率は素人の予測が当たる確率よりも低い。

・成功したベンチャー投資家は、仕事仲間がプレゼンテーションのうまさと本物のリーダーシップとを見分けられないと嘆いていた。

・すぐれた考えを持っているからではなく、しゃべるのがうまいおかげで専門家の地位にいる人がいるのです。

・個人的な意見は、単純な文化的バイアスを反映している場合が多い。

・内向型リーダーは能動的な人間を導くのが非常に得意だ。他人の話に耳を傾け、社会的地位の独占にこだわらない傾向ゆえに、内向型リーダーは助言を受け入れやすい。

・外向型リーダーは他人を鼓舞する能力によって、受動的な人々から結果を引き出すのがうまい。

・彼らはデジタルコミュニケーションの機会を歓迎する。200人収容の講義室では絶対に手をあげて発言しない人が、ブログではためらいなく2000人はおろか200万人を相手に語っていたりする。

・彼はビジネスセンスは悪いが、リーダーとしてのスキルは最高だから、みんな彼に連れられて破滅の道をまっしぐらだ。

・孤独は革新の触媒となりうる。

・新集団思考は、何よりもチームワークを優先する。創造性や知的業績は社交的な場からもたらされると主張する。

・ビジネス社会では独創性や洞察力ではなく言語能力が評価の基礎になっています。上手にしゃべれて、注目を集められる人間でなくてはならないのです。真価以外のなにかにもとづいたエリート主義ですね。

・送信側と受信側がタイミングを気にせずにやりとりする「非同期」は、インターネット上のやりとりの特徴のひとつである。だが、オープンオフィスでは、それがうまく機能しないかもしれないと私たちは認識していなかった。オンラインのやりとりと人間どうしのやりとりを区別せずに、前者で学んだことを後者にあてはめたのだ。

・自分の技術や能力を向上させたければ、自発的でなければならない。グループ学習を考えてください──あなたは集団の中のひとりでしかありません。

・音楽や数学の勉強には孤独が必要なので、10代の子供が社交的すぎてひとりでいる時間がないと、才能を育てるのに失敗することがよくある。

・集団のブレインストーミングは実際には機能しないのだ。4人のグループよりも6人のグループのほうがアイデアは質・量ともに低下し、9人のグループではさらに低下する。例外は、オンライン上のブレインストーミングである。

・オンライン上で集団作業している人々はみな、それぞれに単独作業をしているのだという事実を、私たちは見逃してしまっている。それどころが、オンライン上の集団作業の成功が、対面の世界でも可能だと思い込んでいるのだ。

・気質とは生まれ持ったもので、生物学的な基盤を持った行動や感情のパターンであり、乳児や幼児の頃にも観察できる。それに対して、性格とは後天的に獲得したさまざまな要素が複雑に混じり合ってつくられる。気質が土台であり、性格は建物であると表現する人もいる。

・子供はなにか不適切なことをして親などから叱られることによって良心を築く。自分のしたことを否定されることで不安になり、不安は不快なので、そうした非社交的な行動を避けることを学ぶのだ。

・日常生活の中に尊敬できるものを見出せず、そうしたものは空想の世界にだけあるように感じていた。

・私たちの文化では、罪悪感とは悪い意味を持つ言葉だが、良心を築く積み木のひとつだとも言える。

・もしお見合いパーティでひとつだけ質問して相手を決めるのなら、「最近、気まり悪いと思った出来事はどんなことでした?」と尋ねればいいという。そして、相手が唇を引き結び、顔を紅潮させ、視線をそらすかどうか観察するのだ。

・気まり悪いという感情は、その人が他人の判断を尊重している証拠だ。気まり悪さは、個人が人間どうしを結びつけているルールをどれくらい尊重しているかをあきらかにする。

・人間ばかりか他の動物たちもみな、「慎重に様子を見るタイプ」と「行動あるのみタイプ」とに分かれるのだとわかった。

・とにかく数多くの種の仲間のうち、約20%が「エンジンのかかりが遅い」タイプであり、約80%が周囲の状況にあまり注意を払わずに危険を冒して行動する「速い」タイプだ。

・もともと慎重な人間ほど、より攻撃的になる。攻撃的な連中がみんな成功しているのに、自分はそうじゃない。だから、もっと攻撃的にならなくてはと考えてしまうのです。

・彼らにとって、しゃべることは「知る必要がある」情報を伝えるための行為であり、沈黙や内省は深い思考や高い次元の真実のしるしだ。

・アグレッシブパワーは相手を打ちのめすけれど、ソフトパワーは相手を納得させて味方にします。

・自分が何をうらやましいと感じるか注意してみよう。嫉妬や羨望はある意味で醜い感情だが、じつは真実を語っている。人間はたいていの場合、自分が望んでいるものを持っている人をうらやむ。

・内向型は友好的な状況で出会った人を好み、外向型は競争的な状況で出会った人を好むのだ。

・アジアの人々は衝突を最小化することで敬意を示す。

・内向型は相談相手の立場をとる傾向があり、話題にのぼった問題について互いに助言したりした。対照的に、外向型は相手との共通点になるような自分自身に関する軽い話題を提供した。

・会話が成り立つかどうかは正しい質問をするかどうかにかかっています。

・内向型は初対面の人に会ったり、知らない場所へ行ったり、はじめてのことをしたりする際に大きく動揺する。彼(彼女)は、人間との接触を恐れているのではなく、目新しさや過度の刺激によって不安を感じているのだ。

・学校の目的は、子供たちに社会へ出て生活するための準備を整えさせることであるはずなのに、現実には、学校生活で生き残るためにどうすればいいかが重大問題になってしまいがちだ。

・「変わっている」と思われていた子供が、大人になって「花開いた」のに驚かされるというのは、よくある話だ。それは「変身」したと表現される。だが、本当に変化するのは、子供ではなく環境なのかもしれない。大人になれば、職業や配偶者や、つきあう相手を自分で選ぶようになる。自分の意思と関係なく放りこまれた世界で暮らす必要はなくなるのだ。

・過去の挫折体験をどのように語るかは、現状にどれほど満足しているかに大きく影響される。現在が幸福でない人は過去の挫折を否定的に語る傾向が強く(たとえば「妻が去ってから、僕はすっかり変わってしまった」)、前向きに生きている人は過去の挫折を「一見すると不幸に見えて、じつはありがたいもの」として肯定的に語る傾向がある(たとえば、「離婚は何よりつらい体験だったけれど、再婚した妻との暮らしはもっと大きな幸福をもたらしてくれた」)。

・人生の秘訣は、適正な明かりの中に自分を置くことだ。ハリウッドのスポットライトがふさわしい人もいれば、机に置いたスタンドがふさわしい人もいる。





内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力

内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力

  • 作者: スーザン・ケイン
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/05/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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