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『反省させると犯罪者になります』 [☆☆]

・すべての受刑者は、AとBという「指標」に分類されます。Aは初犯など犯罪傾向が進んでいないことを、Bは何度も犯罪を重ねて犯罪傾向が進んでいることを表します。刑期が10年以上の場合、AとBの前にL(Longの略)という指標が付けられます。無期懲役受刑者は当然10年以上の刑期になるので、通常彼らはLA指標かLB指標の付いた刑務所に収容されます。

・正しいと思っていた価値観が人を追い詰め大変な生き辛さを生ませていたり、逆に間違っていると思っていた考え方が健康的に生きるために必要なことであったりする。

・最初に頭に浮かんでくる思いや感情は、たいていは「後悔」なのです。「後悔」と「反省」はまったく違います。悪いことをしてバレたときの人間の心理は、反省とはほど遠いのです。

・事件の発覚直後に反省すること自体が、人間の心理として不自然なのです。もし、容疑者が反省の言葉を述べたとしたら、疑わないといけません。

・悪いことをしているのに、まったく反省していないから、報道する側としては、「許せない奴」として大きく取り上げるのです。そうすると、表現は悪いですが、「面白い記事」になるわけです。面白いから、読み手もさらに事件に興味を持つようになり、報道がますます過熱していきます。

・今の日本の裁判では、「反省していること」が量刑に影響を与えるのはなぜなのか私には理解できません。大半の被告人は裁判でウソをつくのです。

・何度も少年院や刑務所に入った者ほど、皮肉なことに、「反省の仕方」を学ぶことになります。周囲の大人が喜ぶような反省の仕方を彼らは身に付けます。

・ただ一つ、被告人が本当に反省しているかどうか見分ける方法があります。それは、量刑が出た後に、被告人が控訴するか、量刑をそのまま受け入れて控訴しないかです。

・人は、自分がされたことを、人にして返すものです。優しくされれば、人に優しくすることができます。冷たくされると、人に冷たくしたくなります。

・自分自身を大切にできないと、当然のことながら、他者も大切にできません。

・親子関係の中で素直さを失った子供は、大人になっても周囲の者に素直になれません。素直に自分の気持ちを言えない人は、他者との間で良い人間関係をつくれなくなります。

・共感し合える部分があるからこそ、たとえ他者から見れば悪い仲間であっても、その仲間と付き合うのです。人は、自分のことを理解してくれる人を、常に求めています。

・自分の感情をぐっと抑える習慣が身に付いていて、「人が傷つく言葉の基準」が普通の人よりもかなり高くなっていた。

・ロールレタリングとは、今から30年以上前に、日本の少年院の現場で生まれました。基本的な実施方法は、架空の形で、「自分から相手へ」の手紙を書いたり、ときには相手の立場になって「相手から自分へ」の手紙を書いたりして、自分自身の内面をみつめたり他者を理解しようとしたりする心理技法です。

・日本中の少年院でこの技法が活用されているにもかかわらず、ロールレタリングという名前さえ聞いたことがない人がほとんどではないでしょうか。それではなぜ、ロールレタリングが世に広まっていないのでしょうか。理由は簡単です。ロールレタリングがうまく活用されていないからです。

・彼らは、孤独が恐いので、「居場所」を求めて、人と群れたがります。しかし、彼らが群れている場は、「居場所」ではなく「たまり場」にすぎません。

・居場所とは、本来「ありのままの自分」でいられる所です。弱い自分を出せて安心できる場所だからこそ居場所となるのです。

・人に頼って生きていくことができれば、彼らは「人」の存在の重要性に気づくことが期待できます。

・我慢することは、「人に頼らない態度」を身に付けることになり、他者との間に良い人間関係が築けなくなります。

・人は人に頼れなくなると、「モノ」に頼る、すなわち「依存」するようになります。覚醒剤使用の受刑者が「人は離れていくけど、薬は逃げないですからね」と私に本音を言ったことがあります。

・自分の中に、正しいと思って刷り込まれた価値観が多ければ多いほど、他者に対して「許せない部分」が増えていきます。

・「無償の愛」の中で育った子供は「ありのままの自分」でいいと自分自身を受け入れることができます。「条件付きの愛」で育った子供は、条件に応えられないときの自分を「ダメな人間」と思ってしまいます。

・確かに「やればできる」という言葉は他者を励ましていることにもなりますが、見方を変えれば、「やればできる」ということは、「今のあなたではダメ」というメッセージを伝えていることにもなります。

・子供が本音を話しているときに、絶対に言ってはいけないことがあります。正論です。間違っていないからこそ、子供は何も言い返せなくなるのです。そうすると、子供はようやく開きかけた心を再び閉ざします。

・正論は、相手の心を閉ざす「言葉の凶器」と考えてもいいでしょう。あらゆる人間関係において、正論を言うことは相手との関係を悪くする可能性がある。

・人間関係を良くするために使いたい言葉は、「ありがとう」と「うれしい」の2つです。

・ただ、「弱さ」を使って、他者を支配する人がいるので要注意です。自分の弱さを前面に出して、自分を助けないといけないような「オーラ」を周囲にまきちらす人がいるのです。

・「ありのままの自分」をうまく出せる人こそ「強い人」と言えるでしょう。「ありのままの自分」とは、泣きたいときには涙を流し、うれしいときには心から喜べる人です。泣きたいときに笑っている人は、強い人ではありません。強がっている人です。





反省させると犯罪者になります (新潮新書)

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