SSブログ

『決断の法則 人はどのようにして意思決定するのか?』 [☆☆]

・最初の研究では、私たち自身が現場に出向く必要があった。まず自分たちで何が起こるのかを理解してからでないと、他人に依頼できない。

・妥当な意思決定とは、問題がなさそうな最初の選択肢を選ぶ方法であり、最良の選択肢を選択するわけではない。最良の選択には時間がかかるが、妥当な意思決定は効率的である。

・メンタルシミュレーションを組み立てる部品は、最大三個の可動部品である。また、メンタルシミュレーションは、五段階程度のステップで行うというのが設計仕様である。問題解決や意思決定の支援目的でシミュレーションを組み立てる場合は、この制約条件で行う。

・選択肢同士の価値が伯仲してくると、それだけ意思決定は難しくなる。このような状況になると、思考の意思決定を行う努力は、おそらく時間の無駄となる。中立のゾーンでは、とにかく早く選択し、別の問題に移るべきである。

・発想の転換とは、大きな違いをもたらす小さな違いに気付くこと。あるいは状況を有利にするちょっとした工夫である。

・人口統計を調べてみると、ソビエト連邦が急激な危機に陥る可能性があることが分かった。老人の人口が急激に増え、労働者層に入る青年の人口が減っていた。

・機動作戦とは、大勝利を収める機会を見つけることである(これと対比するのが、軍事力をつぎ込んで敵を消耗させる消耗戦である)。

・専門的な知識のある人は、状況判断の際には、対象の物理的、空間的な配置に注意するよりも目の前のチャンスと脅威の両方を探り、発想を転換する。

・ディープ・ブルーは、負けているのが分かっている場合でも、常に最善の手を探していた。人間だったら、負けに一歩一歩近づくよりは、一か八かの勝負にでていただろう。IBM社のメンバーの説明では、コンピュータには、「創造的な自暴自棄」の意識がないということだった。

・妻が部屋に入ってきて、電気を消したため、部屋は暗くなった。このため、起き上がると、片目が見えなくなっていた。筆者に起こったことを説明しよう。ベッドに寝ている間に、片目は枕に押しつけられ、光が遮断された。そのため暗闇で物が見えるようにするロドプシンという化学物質が目の中で分泌された。妻が部屋に入ってきたとき、目の中のロドプシンは最高潮に達しており、弱い光でも物が見えるような状態になっていた。

・重要な手がかりとなる出来事が起こらない場合、熟練者は驚くが、未経験者は驚かない。未経験者は起きることが予測できないので、起きていないことの重大性を理解できない。一方、専門家には、起きていないことの重要性がすぐ分かる。

・病院のICUで行われる看護師の訓練は、手順と装置の操作に集中していることに気付いた。専門知識の認識方法を訓練することは、まれだった。その結果、訓練生の心構えが十分ではなく、異動の率が高くなる原因となった。

・ドラマ、共感、知恵がキーである。ストーリーが記憶に残るのは、ドラマチックだからである。ストーリーが使用されるのは、登場人物のうちの誰かに共感できるからである。ストーリーが繰り返し語られるのは、語るたびにその中になる知恵や教訓が浮かんでくるからである。

・専門知識について学ぶ手法を持っていないと、単純な質問をして、情報価値のない答えを得がちである。テレビのプロスポーツ選手へのインタビューの多くは、この罠にはまっている。

・アナロジー(類似)とは、同じ仕事、または関連する分野から引き出される知識を利用することである。一方、メタファー(比喩)とは、明らかに異なる分野から引き出される。

・メタファが問題に対する人の思考を支配していることを示した。例えば、「議論は戦争のようだ」というメタファからは、人が互いの立場(特に弱点)を攻撃し、自分自身の弱点を防衛しているに違いないということが分かる。「議論は音楽の稽古のようだ」というメタファを使う場合には、議論を、お互いの不一致を見つける機会と考えていることが分かる。

・誰かに簡単な用事を頼んだとき、相手がそれを間違えるということはよくある。筆者は、信頼のおけない人には、困難な要求は出さないことにしている。

・人は、規則や手続きは単純明快なものだと主張しようとするが、これは真実ではない。例えば、「緑のライトがついたらボタンを押す」という指示を誰かに出したとき、「緑って何ですか?」と聞かれたら、返事のしようがない。

・意図をうまく説明するこつは、できるだけ情報量を減らすことである。盛り込む詳細が多くなればなるほど、主要なポイントがあいまいになる。

・意図の概念は、人だけでなく機器や設備にも適用できる。高性能なコンピュータを使って仕事をするとき、人は、マシンがやろうとしていることを理解しようとする。

・自動化システムで通常と異なる出来事が起きたときに最もよく聞かれる質問は、「このシステムは何をしているのか? なぜそうするのか? 次は何をするのか?」というものである。これまでのシステムは、それ自体が何をしているのかを知らせるのが苦手だった。設計者の課題は、こうしたシステムがそれ自体の意図を通知する方法を考えることである。

・意図を明確に説明することの利点は、行われなかった間違いや出されなかったSOSと同じで、簡単には分からない。

・極端な論理主義は一種の精神障害である。

・自宅で、彼は所有するナイフ全部を一か所にしまっているわけではない。食事用のナイフは引き出しにしまっている。仕事場で使う工作ナイフは、別の部屋にある。アーミーナイフは、他のキャンプ用具と一緒だ。もし、これらのナイフを一緒にしまっていたら、見つけるのは楽になるだろうが、使い勝手は悪くなる。グルーディンは用途の一貫性を、上位に置いている。特徴の一貫性に比べ、より多くの手間、判断、洞察を必要とするからだ。

・意思決定者は情報化時代になっても、情報の欠落からは逃れられない。以前は情報が欠落しているのは、集めた者がいなかったからだった。未来の情報化時代に情報が欠落しているのは、誰も見つけることができないからである。

・レーダーが商業用の船舶に導入されたとき、安全性が向上して視界がきかなくても衝突が避けられることが期待された。導入の実際の効果は、船のスピードが上がったことだったので、事故発生率に変化はなかった。

・もし母親が子供に一時間ピアノの練習をするように言えば、子供は一時間の間、時計を見ているだろう。ところが、子供が一時間以内に間違わずにピアノを弾こうとしたら、一時間がたとうとしても、あと一度あるいは二度手が疲れるまでやり直そうと考えるだろう。





決断の法則―人はどのようにして意思決定するのか? (トッパンのビジネス経営書シリーズ)

決断の法則―人はどのようにして意思決定するのか? (トッパンのビジネス経営書シリーズ)

  • 作者: ゲーリー クライン
  • 出版社/メーカー: トッパン
  • 発売日: 1998/09
  • メディア: 単行本



nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

トラックバック 0