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『なぜ、間違えたのか? 誰もがハマる52の思考の落とし穴』 [☆☆]

・ふくれあがった費用や損失を無視してこそ、合理的な決断ができる。

・多くの非政府組織(NGO)がクリシュナ協会のやり口を真似た。「まず何かをプレゼントし、次に要求する」という方法の募金活動である。

・「お返しの法則」とは、いわばリスクマネジメントでもある。この法則がなければ、人類──それに無数の動物の種──はとっくに絶滅していたであろう。

・ダーウィンは、少年時代から「確証のワナ」を克服しようと努力していた。観察記録が自分の推測と矛盾する場合には特に気をつけた。常にメモを持ち歩き、自分の意見に反する観察対象を見つけたら、ただちにそれをメモした。

・ダーウィンは、人間の脳は、反対の証拠を見ても、30分後には「忘れてしまう」ことを知っていたのだ。だから彼は、自分の考えが正しいと思えば思うほど、積極的にその考えと矛盾する情報を探したのである。

・旧約聖書のアダムとイブの逸話は、「偉大な権威に背くとどうなるか」という話である。そう、楽園から追放されてしまうのだ。

・ある専門分野で優れた知識や技術を持っている人が、それだけの理由で、専門外の分野についてまで世間から信用されてしまう。

・わたしたちは、自分が思いつく単純な実例を手がかりにイメージをつくり上げている。

・わたしたちの脳は、頻繁にくり返されていることであれば、それを簡単に呼び出せるようになる。それが必ずしも真実である必要はない。その証拠に、ナチスは「ユダヤ人問題」という言葉を何度くり返したことだろう。その結果、ドイツの民衆は、そこに重大な問題があると信じてしまった。

・わたしたちが「理解した」ことは、もちろん、そのことが起こった当時は誰も理解していなかった。誰にもまったく理解できなかった。なぜなら、「意味」はあとからでっちあげられるからだ。

・あなたは自分の才能がどこにあるのかを見つけ出さなければならない。自分の能力を超えたところで成功しようとすると、みじめな人生を送る羽目になるだろう。それはほぼ間違いない。

・エレベーターの開閉ボタンも、押しても意味がないことがある。ニセのボタンを本物と思い込む「プラシーボボタン」だ。

・結論──本当に自分自身で影響を与えられることだけに専念しよう。その中でもっとも重要なことだけに集中しよう。そのほかのことはすべて放っておけばいい。

・「死海文書」が発見されたとき、考古学者たちは、羊皮紙の発見者に対しては、たとえ断片であっても1枚として計算し、報労金を与えることにした。すると、羊皮紙に書かれた古文書が、報労金目当ての発見者により、断片を多くするために破られてしまったという。

・基本的には完璧なものなど選ぶことはできない、と考えるようにしよう。最高のものを追求するのは──大量の選択肢を前にしては──理屈に合わない完璧主義である。「まずまずの答え」で満足しよう。

・自然保護団体も「あなたが好き」のワナを利用している。世界自然保護基金(WWF)のポスターの写真にクモやミミズや海藻や細菌が使われているのを見たことがあるだろうか? おそらくそれらの生物も、パンダやゴリラやコアラやアザラシと同じくらい絶滅の危機に瀕している。

・手放すことは、貯めることよりもはるかに難しい。自分の家がガラクタだらけになってしまうのを見てもそれはわかるだろう。

・わたしたちは、ある出来事の予測される結果の規模や程度には反応するが、そのことが起こる確率には反応しないということだ。

・大規模な航空機事故が起きたというニュースを耳にしただけで、飛行機が墜落する確率はほんのわずかしかないことを忘れ、自分が予約していた飛行機をそそくさとキャンセルしてしまう。

・わたしたちはリスクの大きさを区別するのが苦手である。リスクの内容が深刻であればあるほど、問題が感情的なものであればあるほど、危険率が下がっても安心できないという傾向がある。

・ゼロリスクを追求するのはばかげている。16世紀、スイスの医師であり錬金術師でもあるパラケルススの時代から、毒は分量によって毒にも薬にもなることが知られている。

・交通事故のゼロリスクを達成するには、制限速度を時速0キロメートルに制限するしかない。この場合にはゼロリスク達成はできないと考え、はっきりと数字に表れている年間死亡者数を受け入れるのが賢明だ。

・「帰納的推理」とは、1つの事例から法則を導き出す推論の仕方である。

・わたしたちが現在存在しているという事実だけから、わたしたちが将来も存在していると推測するのは、重大な間違いである。人類の未来に影響を与えかねない危険をはらんだ考え方だ。

・かつて、人間の進化の過程において、プラスよりもマイナスを大きく評価する傾向は、今よりはるかにはっきりと現れていた。愚かな失敗は死を意味していたからだ。

・損をしたときに失われる満足感──ショック──は、得をしたときの満足感では埋め合わせられないということが実験で証明されている。こうした傾向を「マイナス過大評価のワナ」と言う。

・他人を説得したいときには、可能性のある「利益」について説明するのではなく、発生する恐れのある「損失」を防ぐことを根拠にするといい。

・何かを失う不安は、それと同じ価値のものを手に入れることよりも、大きな刺激を与える。

・プロジェクトがうまくいってもせいぜいボーナスがもらえるだけで、失敗すれば仕事そのものを失うかもしれない。どうしてそんな危険をあえておかす必要があるのだろう? という理屈である。実際に、ほとんどどこの企業でも、社員が成功して得られるものより、失敗して失うもののほうが大きい。部下にチャレンジ精神が欠けていると嘆いているあなたには、今、その理由がわかったであろう。

・悪いことはいいことよりも影響力が強い。これは変えようがない。わたしたちは、ポジティブなことよりネガティブなことにより敏感に反応する。悪い行動は、よい行動よりもわたしたちの記憶に長くとどまっている。

・責任を1人で負わずに分散することから、個人よりも集団で行動するほうが大きな危険をおかす傾向がある。この現象を「リスキー・シフト(危険な転向)」と呼ぶ。

・警察が次のように発表したとする。「交通事故の件数は、毎年7%増えている」。そう言われても、わたしたちの多くはピンと来ないのではないだろうか。わかりやすくするための秘訣がある。交通事故件数が今から2倍になるまでに要する時間(倍加時間)を計算するのだ。警察の話の意味することは「交通事故の件数は10年ごとに倍になる」ということなのだ。だとすれば、驚くべきことだ。

・「インフレ率は5%に達する」。そう聞いても「たいしたことはない、5%ぐらいどうってことはない」と思うだろう。そこで、さっそく倍加年数を計算してみる。「70÷5=14」。つまり14年後には、100円の価値が50円になるというわけだ。

・「人の顔が見えなければ記事にならない」。これが新聞社の編集局では決まりごとになっている。なぜなら、ジャーナリストは(それに読者も)「人物本位のワナ」にハマっているからだ。

・わたしたちは指揮者や演奏者にばかり焦点を当ててしまう。楽譜には──指揮者やソリストとは逆で──顔がないからだ。

・「ハロー効果のワナ」にハマるのは、純血主義者や男尊女卑論者だけではない。「ハロー効果」は、ジャーナリストや教師や消費者を霧で包んでしまうこともあり、すべての人の視界をぼかしてしまう。

・未来を予測する人は2種類に分けられる。何もわかっていない人。そして、何もわかっていないことをわかっていない人。

・結論──巷で話題の「右脳と左脳」を鍛えるのはやめよう。脳の働きよりはるかに重要なのは、直感的な考えと意識的な考えの違いを知ることである。

・殺人事件の経過が1つずつ段階的に描写されていたら、推理小説ではなく解説書になってしまう。

・結論──状況がはっきりしないときには、役に立つ立たないに関係なく、何かをしたいという衝動にかられて行動しがちである。すると、何も好転しなくても気分だけはよくなる。だが、実際には行動を起こしたために状態が悪化するケースのほうが多いのだ。

・「人間の不幸は、部屋でじっとしていられないから起こるのだ」と、フランスの数学者、ブレーズ・パスカルは、自宅の書斎で書いている。

・身を守ることを第一としている役人や政治家は、市民が「不作為のワナ」に陥り、積極的に行動を起こしたことに対して非難すると考えたほうがいい。つまり、行動しないことが賢明だ。

・問題の一部となるのではなく、解決策の一部となれ。

・脳は連結器のようなもので、別々のものごとを結びつけて考える働きがある。

・自分のことを錯覚しないようにするためには、学者のような方法を用いるといい。自分に才能があるという推測が誤っていることを証明するのだ。

・今日まで生き残っているラテン語の格言の中で、「カルペ・ディエム(Carpe Diem)」はもっとも人気の高い言葉である。「その日を思う存分に楽しもう、明日のことは気にするな」という意味だ。

・考えるという行為は、純粋に真実を追求する科学者よりも、むしろ弁護士に似ている。弁護士は、すでに決まっている結論にぴったりと合う理由をでっちあげるのが得意だからだ。





なぜ、間違えたのか?

なぜ、間違えたのか?

  • 作者: ロルフ・ドベリ
  • 出版社/メーカー: サンマーク出版
  • 発売日: 2013/09/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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