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『プロジェクトGT-R 常識はずれの仕事術』 [☆☆]

・現実には、まだメカニズムとして、かつてないものをつくろうという野心も強くあった。それまではまだモノをつくり替えるというエンジニアリングの世界に凝り固まっていたのだ。

・人と時間と金は、組織を崩壊させるというのが私の考えだった。最高の効率の仕事をするためには、この3つを徹底的に絞り込むべきだと思っていたのである。

・あるコーナーでの立ち上がりで、他のレーシングドライバーのグリップ荷重が450キロだったとすると、星野選手は、750キロだったりする。これが星野一義のポテンシャルだった。

・「未来を想像して次のために仕事する」のがエンジニアで「いまあるものをベストにする」のがメカニックと仕事の領分を決めたのである。

・テストの段階で、自分たちのクルマがどの位置につけているかはわかる。その結果、自分たちが勝てないような状況のときは、相手を潰せばいい。その潰す作戦を考えるのは、監督の仕事である。

・人とのネットワークとはすなわち、その人の持つものの見方、価値観、指向性を吸収できたということである。

・怒って失敗する人と、成功する人の境界線は、相手に対する納得性だ。失敗の結果を見せるのと、その怒られている人間のせいにするというのでは違うのだ。「お前のせいだ」という言葉では本人は結果を見ることができず、納得性がないのである。

・つくり上げ、提示したとき、彼らは初めて納得することになる。見たこともないものに共感することは、まずないわけである。

・組織で大事なのは、効率である。いい換えれば、人間と組織に対するアウトプットの効率である。

・最近、技術が進化したからクルマが重くなったとか、機能が特化したから重量がかさんで原価が上がったといわれ、モデルチェンジするごとにクルマも部品も値上がっていく傾向があるけれど、いってしまえばそれは素人の技だと私は思う。常に原点回帰すれば、機能はむしろ多様化しても、本来スリムになっていくものなのである。

・決して「ものづくり」などという言葉で片付けてしまってはならない。モノをつくっているだけじゃない、そのモノを通じてお客さまに何を提供できるか、なのである。

・多くの人は、一回つくったスケジュールは変えずに守ることと思っているのだろうが、実はファジーに変えていくことはとても大事なのである。問題はスケジュールを変えたことではなく、そのスケジュールの変動にチームとしてどううまく追従していけるか、リンクできるかなのである。

・それは裏を返せば、想像力のない人間が自分の理屈を持ち出して、自分のできる範囲でものをつくろうとしているということに他ならない。現在自分の持っている技術でつくろうとする。しかし、それでは何の前進もない。

・リーダーとして一番やらなければいけないのは、ニュルに行く前に発生するであろうトラブルを予測し、その対応方法を事前に決めていくことである。起こってからどうしようでは、チームリーダーとして失格なのである。

・発表発売とは、私たちの考えてきたことと、お金を出して買っていただいたお客さまとの間の差異、つまりは「目盛りの違い」を初めて知り始める瞬間である。

・もちろん、商品開発には秘匿管理がつきものである。それゆえ開発にはインナースケールでしかできないという宿命がついて回る。しかし、実際には、商品評価はお客さまをはじめとするアウタースケールでなされるわけである。

・こう思うことにした。いくつかの失敗をして、嫌な思いをするなら、それを肥やしにしなければ、俺は本当に惨めになる──。

・いくつもの社外取締役を引き受けることで、いろいろな業種のトレンドを最前線で吸収できる立場にいる。

・「当たり前でしっかりしたもの」があらゆる商品の母数となると私は考える。様々な装備を付けましたというのは、その母数をひきたたせる機能性みたいなものにすぎない。では、母数の評価とは何か。それは、生活だ。ほとんどの商品は生活の中の必然性と密接に関わっている。

・「今までなかった全く新しい先進的なモノを世に送り出す」ということは、時として世間から批判を浴びる。ジャーナリストやお客さまは、今まであったクルマつまり過去と比較して、あるいは今までの価値観の内側で、モノを評価するからだ。





プロジェクトGT-R 常識はずれの仕事術 (双葉新書)

プロジェクトGT-R 常識はずれの仕事術 (双葉新書)

  • 作者: 水野 和敏
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2013/10/02
  • メディア: 新書



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