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『ホームズ連盟の冒険』 [☆☆]

・わたしは眉をひそめたいところだったけれど、あえてにっこりとした。この年頃の女の子は、自分の言動に対して大人が少しでも疑惑を抱いていると思ったら、たちまち口をつぐんでしまうものだから。

・世間一般では、怠惰な人間は日常生活で乱雑にしているものだろう。だが、それは中途半端に怠惰だからだ。怠惰の極みにある人間は、整理整頓に努めるのである。何故ならば、散らかしていると物の場所が分からなくなって、それを探し回らねばならない。

・私のように徹底的に怠惰な人間は、しなくてもいい「物を探す作業」など極力避けたいと考える。よって、私の部屋は完璧に整頓されており、物の場所は全て把握している。かくのごとく、真の怠惰とは合理的なものなのである。

・このディオゲネス・クラブは、内気だとか人嫌いだとかが理由で「人付き合い」を避けたい人間ばかりが集まる、ロンドンで一番、非社交的なクラブなのだ。よって、普通の部屋では会話も禁止なのだ。

・どこにも売っていない、内容的に外部に出せない──出せば確実に問題が発生するような──本も蔵されている。

・この本は、市販されている本ではない。印刷されたものですらない。ページを開くと、そこには手書きの文字が連なっている。

・滅多に動きまわらない私ではあるが、動くべき時には俊敏に動くべき、をモットーとしている。その方が、動きまわる時間も少なくて済むからだ。

・こいつが投資に失敗した理由がよく分かる。投資も博打の一種であり、度胸が必要だ。だが、明らかにこいつにはそれが足りない。



ホームズ連盟の冒険

ホームズ連盟の冒険

  • 作者: 北原尚彦
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2016/02/09
  • メディア: 単行本



タグ:北原尚彦
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