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『嫉妬をとめられない人』 [☆☆]

・「~ないといいけど」と心配する体裁を取っている。だが実は、その不幸が相手に降りかかることを心の底では願っている。心の底で、他人の不幸を願っているような意地悪な人間であることを自分が認めたくないために、その願望が「否定」の形として表に出てくるのである。

・羨望が「他人の幸福が我慢できないときに生じる怒り」だとすれば、嫉妬は「我々が所有している幸福、もしくは所有しているように思い込んでいる幸福を守ろうとする」ために生じるもの。

・一般的に羨望よりも嫉妬の感情のほうが激しくなる。大まかに言うと、嫉妬は羨望よりも近しい関係で起こる感情であり、自分が所有していると思い込んでいる地位や幸福などを守ろうとするので、攻撃的になりがちである。

・勉強が「やればできる」というのは、幻想に近い。しかし、この思い込みに従って、我が子に過大な期待をかける親が実に多いのだ。

・政治の世界では、ナンバー・ツーを育てなければ権力者はいつまでもその地位にいることができる。

・会話の中で、「私が」とか「私の」という一人称を使う頻度の高い人がいる。このように、自分のことばかり気にする自己中心的な人は、自分が常に相手より優位に立っていたいため、他人への嫉妬を感じやすいようだ。

・たいていの人は思春期の頃から少しずつ「自分が万能ではない」という現実を受け入れ、何かを諦めながら大人になっていく。

・川上源一という人物は、自分の敵か味方かで社員を峻別し、敵と見なせば抹殺し、味方となれば「家来」ということで人間としての尊厳までも踏みにじるような扱いをしてきた。

・マルクス主義と共産主義の罪は深い。平等主義の美名のもとで、人間の嫉妬を構造化し、密告や中傷を日常化する体制を作り出したからである。北朝鮮はいまでもそうである。自分の努力や力量不足を棚上げにして、人の才能を妬み成功者を追い落とす政治文化は、スターリンや毛沢東や金日成の体制であだ花を開いた。

・毛沢東は権力を握ると、軍閥のトップたちを次々に粛清した。次に自分への批判を歓迎するふりをして、潜在的な敵をあぶり出し粛清した。

・「しくじり行為」にこそ、その人の無意識が表れる。物忘れや言い間違い、書き間違いなど、一見、突発的で偶発的に見える行為にも、「必然的な理由があり得る」とフロイトは指摘する。無意識の力が「うっかりしたはずみ」を利用して表れるのだが、実は心の底では、忘れてしまったとか、間違ってしまったほうを望んでいる、ということがしばしばあるのだ。

・自分の手柄を人のために回すだけの腹が据わっていれば、政治家の中で存在感が増し、子分も増え、政治基盤の強化にもつながっていきます。

・誰かが成功したときには「運が良かった」と言わないほうがいい。あなたはよく頑張ったし、能力もあると功績を認めてあげれば、余計な敵を作らずにすむ。

・「負けるケンカはするな」が我が家の家訓で、それは相手から逃げるという意味ではない。勝てる、最低でも五分の戦いができるようになるまでは相手を観察し、研究する。

・よく覚えとけ。現実は正解なんだ。時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ。

・確かに、相手に嫉妬してひがんでいる状態は苦しい。苦しいが、実が楽でもある。自分のことは棚に上げ、あいつが悪いと相手を下げることばかり考えていればいいからだ。その間は、自分の現実の姿と向き合わずに済む。



嫉妬をとめられない人 (小学館新書)

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