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『MORI LOG ACADEMY 11』 [☆☆]

・愚痴を言う人には近づかないことにした。聞いてもしかたがない。こうすれば良い、とアドバイスをすることは可能だけれど、本人にその不満を解消する気がないのだから。

・「忙しい」と口にする人間にかぎって大した仕事をしていない。

・仕事というのは、得られた賃金に値するようなものを返す行為である。楽しいから、好きだから、憧れていたから、という動機で仕事をする人間には、その自覚が欠けていると感じる。

・保守的な受け手は、常に天才の過去の成果を受け入れ、現在には眉を顰める。おそらく、既に定着し、変化しないとわかって、初めて安心できるのだろう。

・自覚のない思い込みが保守性の最大要因だということ。何故なら、多くの人々は、少し時間が経てば、新しいもの(新しかったもの)をちゃんと受け入れているからだ。

・サイズは72分の1で、飛行機のモデルでは一番メジャで世界で統一されたスケール。

・保守を支持し続けると「無駄」が蓄積する。その場その場では最適な選択をしていても、結果的に無駄になるのである。「革新」を選択するには、よほどの不具合があって、しかも余裕があるときに限られる。

・「やることがある」という状況は、考えなくても良いし、ただこなせば成果が出る。精神的にとても楽な状況だ。

・犬を公園で放す行為は、いずれ犯罪として扱われるようになる。

・ガーデン・レールウェイは、90年代からブームになっているように思われる。ただし、大半は45mmゲージの小さい機関車で、人がライド・オンできる大型のものではない。

・「現場で対処できる力」こそ技術者の本領である。

・文章を書く、という行為は、観察や思考の描写なのだが、そこには必ず「単純化」か「複雑化」がある。ノンフィクションは単純化であり、フィクションは複雑化である。

・新聞で華々しく書かれていたら、「もう終焉」と思えてくるほどだ。

・自殺をする理由はいくらでも、どこにだって見つけられるだろう。だから、そういった理由を排除することも大事だけれども、少なくとも、生きる理由を探したり教えたりした方が良い。

・生き続ける理由の大半は、もしかしたら将来もっと面白いことがあるかもしれない、という淡い期待にすぎない。

・TVのクイズ番組を見ればわかるとおり、今は正解者だけがご馳走にありつけるシーンが頻出する。罰則ではなく、ご褒美なのだ。そして、もらえない人も「悔しいなあ」と笑い飛ばせるところが、豊かになった証拠である。

・よく、若者が何かにチャレンジして、やり遂げる映像を見る。終わるとさっぱりとした表情で、「やれるだけのことはやった」的な喜びに溢れている様子だ。あれは変だと思う。そんな喜びが込み上げてくるようでは、その分野でその人物は成功しないだろう。駄目だった。できなかった。足りなかった。失敗だった。という思いに支配されなければ、次のステップはない。

・地球規模で水や食料が不足している、という話題も非常に多い。でも、どうして誰も「人間が多すぎるのだ」と言わないのかな?

・朝も昼もきっちり食べないと健康になれない、と吹聴して、食べ過ぎたら薬を飲めと宣伝している。

・自分が嫌だと感じるストレスよりも、人に嫌な思いをさせるストレスの方がはるかに大きい。

・世の中の大勢は、TVを見ても、本を読んでも、単に「そのとおりだ」と確かめたいだけなのだ。

・社会や政治のせいにするか、自分で改善なり変更なりするのか、それによって未来はきっと違ってくるだろう。

・小さな幸せが感じられる敏感さこそが、本当の幸せというものだろう。

・TVで、お年寄りが「貯金を取り崩さないと生活していけない」と嘆いている場面を流していたけれど、それって、普通なんじゃないだろうか。そのために(老後に備えて)貯金をしたのではないのか。それとも、貯金はすべて子供や孫のためだったのだろうか。

・国際化というのは、外国へ遊びへいっておしゃべりをすることではない。世間話ができて楽しんでもしかたがない。世界に通用するなんらかの技能を持っていることがまず第一条件であり、そういう人材を育てることが、国際化指向の教育だろう。

・鉄は熱によって伸び縮みをする。だいたい1℃で10^(-5)くらいだから、10mの長さならば、0.1mmだ。25mのレールでは、30℃の寒暖で8mmほど伸び縮みする。

・エンジンとは、燃料を力にエネルギィ変換する「機関」のことだが、モータは単なる出力装置であって、スピーカや電球などと同様に、エンジンではない。

・どんなに「出血大サービス」「赤字覚悟で」なんて謳っていても、トータルで損をするようなことは絶対にしない。口では「安くご提供して、お客様に喜んでもらうことが私たちの仕事です」なんて言っているけれど、「安く」すれば、その分、客が増えるから「増収」になる、と見込んでいるだけだ。

・年寄りの運転手ほど、客を乗せているときに携帯電話を受けて話をする。年寄りほど、マナーを守らない。つまり、ルールに対しても緩慢になってくるようだ。そうならないように気をつけよう。

・組織とは、金が出る方を向いて尾を振る単純な仕組みである。

・「公共」とは、民から金を集め、民の意向を選挙で取り入れる「民営」なのだ。

・生産者と消費者のバイパスができると、中間は不要になってしまう。そういう弱い立場なのだ。弱いからこそ、虚勢を張って、自分たちがいなければこの業界は成り立たない、と主張し、立場を守ろうとする傾向がある。

・ネットはセキュリティの問題がある、と考えている人が多いかもしれないが、銀行や郵便局へ実際に出向くことの方が、はるかに危険だ。

・ネットのセキュリティ問題が、いかにもユーザにとってのリスクのように言い訳的に使われているけれど、そうではなく、主として銀行やカード会社のリスクなのだ。それをユーザの心配にすり替えているようにしか見えない。

・スポーツの多くが「戦い」を模擬しているし、戦闘能力を鍛えるために生まれたことに関係しているのだろう。「平和の祭典」なんていっているが、元を辿れば、そこはかとなく戦争ムードなのだ。

・食べる量は、夏も冬も一定だ。これがまずいのだろうか。野生動物は、夏の方が沢山食べるものがあるわけで、冬はカロリィの摂取も減るはずである。それを見習って、冬はカロリィを控えめにすれば、だいたい同じ体重が維持できるかもしれない。

・本の仕入原価は、本体価格の78%。つまり、1冊につき本体価格の22%しか売上げがとれません。



MORI LOG ACADEMY〈11〉飛行少年の日々 (ダ・ヴィンチブックス)

MORI LOG ACADEMY〈11〉飛行少年の日々 (ダ・ヴィンチブックス)

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2008/09
  • メディア: 文庫



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