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『MORI LOG ACADEMY 12』 [☆☆]

・役所は土日にこそやってもらいたいものだ。

・基本的に、人間を見るときには、プラスの部分しか見ない。良いところだけを探して、そこを活用することだけを考える。

・好きなものだけを自分の周りに置く。そうすれば、自然に自分の好きな空間になる。

・ハイソサエティの人というのは、ビジネス、ボビィ、スポーツ、レジャにそれぞれの嗜みがある。

・hobbyというのは、「個人研究」と訳すべきワードだった。「趣味」と訳してしまったため、日本人の語感として、「遊び」「素人」「仕事ではないもの」「余暇」といったイメージに長らくなっていた。

・大衆の感覚は決定的に遅い。大衆に人気のあるものは、既に終わったものであって、これから来るべきものではない。

・田舎には鉄道もないし、農業や漁業にはガソリンが大量に必要だし、CO2をまだまだ出さないと生きていけない。

・そもそも、周囲に注意を払わない人間だからこそ問題を抱えるような事態になったわけである。

・大声で怒鳴り散らすというのは、恐怖の裏返しだったりする。

・オーディオって、すべて気のせいだとは思うけれど。気のせいのために、何百万もつぎ込むのは、どんな趣味分野も同じこと。

・普通の視野しかないと、普通より大きいものが見えないのだ。

・どんなものでも、「やってみせる」ことが、「口で教える」ことに優る。子供に勉強しろと言うよりも、大人が勉強してみせる。

・組織も人間も、低迷期における蓄積が、その後の成功の基になる。表向きに調子が良いときは、消費しているだけで、成長は止まっている。上手くいかないと悩み、世間から酷評されているときが、力を蓄えている期間なのである。

・人に自慢したり、見せびらかすことに金を使わないとなると、大金を使う機会なんて、まずないように思われる。

・範囲が限定されることは、初歩のレベルでは難しい面もあるけれど、プロフェッショナルなレベルでは、むしろ楽であることが多い。自由に発想しなさい、ということの方が、難しいと思う。

・宝くじよりも何万倍も成功率と期待値が高いのは、ごく普通の「勤勉」である。

・「新しさ」や「快適さ」だけで価値が見出せるのは貧しかった時代のことで、やはり、なんらかの「新しい魅力」を持ったものを作らないと、既にある古いものに勝てない。

・いろいろな分野で、体裁は整っているけれど輝きがない、というものが増えている。

・商売のセンスというのは、やはり計算だと思う。なんでも計算する。常にデータを分析し、今がどんな状態なのかを把握することに尽きる。

・蒸気ロボットで遊んだ。扱える人が限られる技術系のおもちゃである。日本にはこういう不親切な製品はたぶんないだろう。だけど、面白い。

・人間は歳をとるほど、あらすじを追うようになる。ディテールはどうでも良いから、本筋を早く知りたい、と思うようだ。逆に、若者ほどディテールに拘る傾向がある。

・膨大な費用と労力を費やして大宣伝をしても、結局は「宣伝につられて手にとってはみたけれど……」というような消極的な消費を増やすだけで、それによってビジネスの強固な地盤が築かれるわけでは全然ない。

・犬は風というか、周囲の空気を鼻で眺めている。

・自分の意見を持たない者も増えた。「誰某がこんなこと言っているらしいけれど、どうよ?」「ああ、それなら、こんなこと言ってた奴もいるみたいだよ」というリンク先を交換するだけで意見交換をしていない。

・人の評価を気にする者は人並みになる。

・受けることは、与えることよりも簡単だ。いつでもできる。受ける側の中では、「選び上手」というくらいのわずかな優位しかない。受け続けることで、知らず知らずのうちに支配されている。一方。与える側には、作り出すことでしか得られないものがあって、それが顕著な「優位」を生むだろう。一線を画するものがここに存在する。

・誰でも、最初は大雑把に理解する。大雑把な人と、そうでない人の違いは、つまりは、その後に詳細な部分へ観察や検討が向かうかどうかの差であって、ようするに、大雑把な人は「詰めが甘い」といえる。

・「個人責任」を「お上の責任」に転嫁する癖(風習)が日本人にある。

・ドラマみたいな長い台詞は絶対に口にしないのが現実である。

・子供のしゃべり方を見れば、その家のレベルがわかる。何のレベルかって? もちろん、人間のレベルである。

・イギリス旅行中の車窓から黒い羊が見えたとき、「あ、イギリスの羊は黒いんだ」と口にするのが文系、それを理系が、「イギリスには黒い羊がいる、というだけのことだ」と窘める。しかし、それを聞いていた数学者は、「我々にわかったことは、羊のように見える動物の、こちら側が黒い、ということだけである」と言う。

・最近では、ラジコン飛行機の無線機が、2.4GHzになった。飛行機は障害物がない、機体が見える範囲で飛ばすから、問題はない。混信に強いし、装置は小さくできるし、メリットが大きい。

・技術が成熟した社会に生まれた世代には、「理屈」というものが欠落している。どういったメカニズムでそれが成り立っているのか、ということを意識する必要がない。理屈の存在を知らないことで、技術は魔術と等しい存在になる。

・調べるだけで、もう研究をしたような気分になる。たしかに「専門家」あるいは「評論家」にはなれるかもしれないが、他人の研究成果が語れるだけでは、「研究者」とはいえない。

・これまでは普通だったことが、既に悪いこと、そして犯罪になりつつある。新しい認識に、常に敏感であってほしい。

・10歳の子が100歳の老人と同じ知能を持っていれば、知能指数は1000になるけれど、100歳の老人の知能っていうのは、明らかに若者の知能よりも衰えているはずだ。

・「誰でも良かったから殺したかった」という無差別殺人が近頃話題になっている。誰でも良い、無差別、といっているわりには、ちゃんと自分よりも弱い者を選んでいる場合が圧倒的多数である。

・URLは、ユニフォーム・リソース・ロケータの略で、インターネットにおける所在を表すもの。日本語では、「統一資源位置指定子」というらしい。

・単なる「税金の無駄使い」と見るか、「文化的な豊かさ」と見るかは、その人の「文化度」によるだろう。

・宅配便がこんなに発達するとは思わなかった。人間を運ぶ自動車のシステムも、なにかもっと効率の良いやり方がありそうな気がする。

・人間は誰でも、自分だけ良ければ良い、今が良ければ未来のことなど二の次だ、人類が滅亡しようが俺の知ったことか、と考える。したがって、大衆の合意によって決断しているかぎり、未来への借金を繰り返すだろう。

・素人のブログの方が、ずっと不適切な表現、誹謗中傷の類いは多いはずだ。これは、舞台の上にいる人と、それに野次を飛ばす人の違い、といえるだろう。



MORI LOG ACADEMY 12 (モリログ・アカデミィ 12) (ダ・ヴィンチブックス)

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  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2008/12/20
  • メディア: 文庫



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