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『いま生きる階級論』 [☆☆]

・成熟した資本主義は、低成長が基調だ。従って、資本収益率(r)が産出と所得の成長率(g)を上回る、すなわちr>gが成立するようになる。そのため、資本主義は自動的に、持続不可能な格差を生み出すというのがピケティ氏の結論だ。

・「漆塗りの手法」で重要なポイントは何度でも繰り返し述べて理解を深めていく。

・贈与と相互扶助って、実は関係しているんです。やられたらやり返すという復讐心と、相互扶助は似た心性だよね。お世話になった人にはそれをきちんと返しますってことですね。

・イタリアのために一生懸命やる人がイタリア人なんだ、としたことです。これからイタリアという名の下で、我々の人民を束ねていくんだ。この「束ねる」という意味のイタリア語がファシオなんですよ。だからファシズム。

・女性の参政権は、ムッソリーニによって実現されています。

・「一人は万人のために、万人は一人のために」というのが、ファシズムのスローガンです。

・同じことを表現するのでも、「お前、嘘つくな」と言ったら喧嘩になるけど、「お互い正直にやろうや」と言ったら、そんなに悪い気持ちはしませんよね。

・どうも修養がないと教養って身につかないんだよね。「人の意見を最後まで聞きましょう」とか「会った時は挨拶をしましょう」とか「乱暴な言葉遣いをやめましょう」とかっていうのは修養です。

・橋下さんは修養がなくて、技術的な知識だけを持っている。彼が起こすトラブルを見ると、さらに彼には教養もないことがわかります。

・イノベーションによって、同じものを作るにしても、より少ない労働力で作れるようにする。そうしたら、その企業は生き残れる。だから、技術革新は不況期に起きるんですよ。好況期は、むしろ生産規模の拡大に向かっていく。

・戦前においては、東京大学の農学部って医学部よりも難しかったんです。超エリートが農業を学んでいたのは、戦争があるからですよね。農業経済学も、戦争の兵站を維持するための学問でした。

・この「思考するプロレタリアート」という言葉がなかなか好きなんです。この言葉が指しているのは「読書人階級」というのに近いんだと思いますね。つまり、本を読むのが好きで、かつ世の中で言われていることをそのまま鵜呑みにするわけではない人たち。同時に、社会での上昇志向がそう強いわけでもない人たち。

・そもそも仏典にたくさん教典があるのは、相手のレベルに合わせて経典を説いたからなんです。法華経は一番レベルの高い相手に向かって説いたものですから、法華経さえマスターすれば、あとの経典は覚えないでいいというのが、法華経の論理です。

・彼はいつも官憲に追われていて、最低限の数のノートしか持って逃げられない。蔵書を持つこともできない。だから、極めて大事な部分の要旨だけをメモするという習慣がついたんですね。だからメモ取り術って、レーニンから学ぶのは結構いい。

・著者が何か考えていても、それが読者に届かなければ、ただのインクの染みになってしまう。

・労働組合の委員長だったら、年収が軽く2000万円を超えているんじゃないかな。こうなると労働組合は貴族化して、労働貴族になっていく。労働者の代表なんだけれども、感覚は資本家に近づいてくる。

・紙の本って、三次元でしょ。そうしたら、大体どのへんに書いてあるかを記憶するわけ。電子書籍が紙の本に勝てないというのは、二次元だからですよ。三次元の方が場所の記憶には絶対いいんです。

・裁判員は実は被告人と一緒ですね。被告人って、裁判を受ける権利はあるけども、逆に「私は遠慮させて頂きます。裁判に行かないでいいですから」と言っても、刑事裁判では許してもらえない。

・実際は時代遅れどころか、テイラーイズムはいまや企業社会の隅々まで浸透し、さらには勉強や恋愛といった個人の生き方にまで侵食してしまったのではないだろうか。

・「微力だけど無力じゃない」って言葉。私、そう信じたい。たとえ先が見えなくたって、ゆっくりと手探りで、前に進めると思うん。

・いわゆる日本語の「矛盾」というのは、矛盾じゃないよね。あれは対立なんですよ。「どんな盾でも突き通す矛と、どんな矛も通さない盾がある」と言って売っているんだけど、これはその矛で盾をついてみればいいだけでしょ。突けば結論が出て、そこで解決しちゃうから、これは矛盾ではなく、対立なんです。

・最近の若い連中って、褒め殺しが全然わかんないから大丈夫。褒められれば褒められるほど、喜んでいる。だから、少ししか褒めない時と、うんと褒める時を区別しておけば、普通に接しているのと叱るのとを区別することと一緒になる。

・小学生三、四年ぐらいまでに、机に集中して向かうとか、インターネットの教材を使って勉強するという習慣さえつけてしまえば、その後は自ら伸びていきます。でも、逆に小学校の時までに集中して机に向かう習慣がついていないと、その後に挽回するのはほとんど不可能になる。

・経済的な理由が大きくて、一昔前まで早慶に来ていた学生たちが、地方の国立大学に進学するようになった。全国の早稲田や慶応のネットワークを維持するためには、奨学金を充実させないと、単なる関東圏限定の学校になってしまうと非常に危惧している。

・ソ連って大変なサプリメント大国なんですね。戦前から、野菜を作るよりはビタミン剤の方が安いからということで、不足するものは全部サプリメントで対応していた。

・反知性主義とは何かというと、実証性や客観性を無視または軽視して、自分が欲するような形で世の中を理解することです。

・知識人とは何か? 自分がいる場所を客観的に認識し、それを言語で表すことができる人です。

・円が下がったら「アベノミクスはうまくいっている」と喜んで、ルーブルが下がったら「ロシアの経済危機が再び来る」と書く。最近の経済部の記者って、頭がおかしんじゃないかとしか思えない。

・カタールだけは絶対にテロの標的にされない。これ、日本では報道されていないことです。「イスラム国」にカネを出しているのはカタールなんです。

・常識というのは、支配階級の常識なんですね。だから我々は日常的に、つい資本家的というか、小資本家、プチブル的に物事を考えているわけです。

・革命というのは、平和的には起きないものなんです。誰も平和時に革命なんてリスクは負いたくないんです。戦争に駆り出されて死ぬかもしれないといった状況に追い込まれて初めて、「戦争か、革命か」ということになるわけですよ。だからレーニンは、「侵略戦争を内乱に転化せよ。そして内乱を革命に転化せよ」とスローガンを掲げました。実は戦争の時こそ、革命は起きるのです。



いま生きる階級論

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  • 作者: 佐藤 優
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/06/30
  • メディア: 単行本



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  • 発売日: 2015/06/30
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