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『情報参謀』 [☆☆]

・すべての人が好むと好まざるとにかかわらず、情報の生成や増幅や消滅のプロセスに参加せざるを得ない。現代を生きるとは情報世界を生きることだと言っても過言ではない。

・テレビの編成は「政治情報も少しは入れておかなきゃ」というバランス意識で政治ネタを入れる。その結果、取り上げられやすいのは「わかりやすい一言」になりがちだ。

・民主党は必ず二元論で攻めていた。「年金払えるんですか、破綻するんですか」。中間は認めない。こういった、否が応でも対決を迫るような絵はテレビ的にはすごく「おいしい」。

・当時は「その日が暮れるまでのニュースのメインは何か」「その論調はどういったものか」は朝の番組でほとんどが決まる傾向にあった。朝の4時台から8時台までの各局の報道を見れば、その日のキーワードがつかめる。「世論は朝つくられる」というわけだ。

・各新聞社は報道協定によって午前1時半が一応原則の最終締め切りとして横並びになっている。つまり、朝4時台からの報道に、実は前日のすべてが収斂するわけだ。

・批判するのはいつもノイジー・マイノリティ(うるさい少数派)。支持してくれているサイレント・マジョリティ(静かな多数派)もまちがいなくいます。

・大事態で人々の目が一点に集中してしまうようなとき、必ず情報が見過ごすようなダメが積もっていくものだ。

・菅政権は緊急災害対策本部や原子力災害対策本部などの組織を16も立ち上げてしまったうえに、それぞれの役割分担も明確ではなかった。その一方で、本来招集すべき中央防災会議はしばらく設置されないままだった。菅政権がようやく中央防災会議を開いたのは震災発生から1か月半も後の4月27日である。

・不信任や問責よりも、政治は真っ当なことをやらなければ国民の支持を得られない。

・どんなに狭い世界であろうと映像がいったん流れれば、誰でもネットにアップして「全国区」に仕立て上げることが可能。

・例年なら夏前に通常国会は終わる。だが、菅総理は「首相をやめたくない」一心でズルズルと延長していった。

・謝るべきところは頭を下げ、黙殺すべきところは表情を変えずにやり過ごす。

・テレビトークはCMと同じ。15秒の時間の中で最大効果を発揮する言葉を意識する。「(1)結論=5秒、(2)解説=10秒」。

・いきなり自分だけ(あるいは少数の人だけ)が知っていることを振りかざして人々に是非を問いかけても、言いたいことは伝わらない。聞いている人たちにとっては「いったい何の話?」ということになってしまう。

・失言映像から失脚したときは、いずれも「プロの映像」が基になっていたが、それをネットに再掲載してあっという間に世の中全体に広げたのは無名の市井の人々である。

・一度ネットに流出した「不都合な」写真や映像は、たとえ削除依頼を出して一時は消せたとしても、「消した」という行為が興味を引いて、またすぐに別の誰かが映像を投稿する。無限のくりかえしとなる。

・ある政治家の、問題になりそうな行動を映した写真や動画は、その政治家を快く思っていない人々や敵対する勢力によってコレクションされている。

・流れる情報のひとつひとつは「インフォメーション」だが、結節点を観察して見えてくるのは「インテリジェンス」だ。

・「グーグル」や「アマゾン」は、超巨大な結節点そのものだ。「検索キーワード」や「買った品物」はインフォメーションだが、彼らの内部に蓄積されていく情報は、価値の高い「インテリジェンス」に転ずる。



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