SSブログ

『キャスターという仕事』 [☆☆]

・テレビが伝える内容は単純で、複雑なことは伝えません。苦痛や飢餓を映し出して伝えることはできますが、複雑な政治問題や思想、様々な行為の重要性について伝えることはできないのです。

・わかりにくいことを、わかりやすくするのではなく、わかりやすいと思われていることの背景に潜むわかりにくさを描くことの先に知は芽生える。

・読んだり書いたりしていても、自分で使うとなると敷居の高い表現がある。しかし、自分で聞きながらその言葉を実際に使うことで、遠かったボキャブラリーが自分の中で使えるものに変わっていく。

・「クローズアップ現代」が目指したのは、情報をせき止め、ニュースの底流にある意味と変化を見つめることだった。

・テーマのすべてを知る必要はない。むしろ最初に抱いた疑問を忘れないようにする。

・もの知りになってしまうと視聴者との距離が離れる。

・キャスターの役割は、「自分の言葉」で語ることだと思ってきた。しかしそれは、「個性」を打ち出すことや「個人の主観」「私見」を語ることではない。

・新しい事象に「言葉」が与えられることで、それまで光が当てられずにきた課題が、広く社会問題として認識され、その解決策の模索が急速に進むということがある。

・トーク番組やバラエティ番組に求められるのが手持ちの言葉をどう操るかということだとすれば、ニュース番組というのは、その時まではなかった出来事を前にして、それをどう言い表すかという言葉を見つけないと届かない。

・「ねじれ」状態の中で行なわれた参議院選挙も、「ねじれ」状態を解消することが正常化すること、つまり衆議院と同じ政党が多数派になることが「正常」であるとの見方を流通させることにつながったとは言えないのだろうか。これはある意味、投票誘導行為にもなりかねない。

・曖昧な言葉で質問すると曖昧な答えしか返ってこないが、正確な質問をすると正確な答えが返ってくる。

・変わるというより壊れていく、それまで当たり前だった様々なこと。

・パニックを恐れた政府、自分たちの報道が混乱を引き起こすことを懸念し、安心安全情報を流すことに傾きがちだったメディア。



キャスターという仕事 (岩波新書)

キャスターという仕事 (岩波新書)

  • 作者: 国谷 裕子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2017/01/21
  • メディア: 新書



キャスターという仕事 (岩波新書)

キャスターという仕事 (岩波新書)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2017/01/20
  • メディア: Kindle版



タグ:国谷裕子
nice!(0) 
共通テーマ:

nice! 0