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『誰も言わなかった「社会とマネー」の奇妙な正体 経済暴論』 [☆☆]

・難しいのは「経済学」であって、「経済」ではありません。経済の基本は、私たちの日々の生活ですから。

・「相手の立場になって考える」というものがあります。道徳の先生ならば「優しい気持ちで相手の痛みについて考えろ」と教えるのでしょうが、経済の先生は違います。「自分が客だったら、どんな店で衝動買いをしてしまうか?」「ライバルが一番嫌がる戦術は何か?」といったことを考えるのです。

・囲碁や将棋でも、「自分が打ちたい手」を打つのは素人で、プロは「相手が嫌がる手」を打ちます。

・法律や制度を変更しようとすると、必ず得する人と損する人が出てきますが、変更によって何かを失う人は「大きな痛手を被りそう」と感じるのに、変更によって何かを得る人は「小さな満足が得られそう」としか思わない。

・自宅のソファで昼寝をするのは無料ですが、経済学では無料とは考えません。「その時間、バイトをしていたら数千円になったはずだ。昼寝のコストは数千円なのだ」と考えるわけです。

・満足している人は黙っていて、不満な人は声を出すから、満足している人のことにも思いを馳せなくてはならない。

・マスコミも、困った話の報道が大好きなので、輸入企業の困った姿を積極的に報道します。すると、一般人は「円安で景気は悪そうだ」と思ってしまいます。

・日本では「政府に〇〇をやらせよう」というと、政府が無料でサービスを提供してくれると思っている人も多いようです。

・現在の日本経済の抱えている問題の多くが、日本人が勤勉で倹約家であることに起因しているのです。

・幸いなことに、高齢化が進むと、定年退職者が「永久に失業を引き受ける」わけですから、現役の失業者が減ることになります。

・労働力は不足の方が余剰より経済に活力が生まれます。

・氷を熱しても、当初は氷が解けるだけで温度は上昇しませんが、氷が解け終ると、同じ過熱を続けると温度が上昇していきます。ようやく氷が解けたので、これから本格的な水温(消費者物価指数)の上昇が始まると考えてよいでしょう。

・「日本人の減った分だけ移民を受け入れて人口を維持しよう」という考え方は馬鹿げています。人口やGDPではなく、一人当たりGDPを保つことが重要なのです。

・会社としては、「正社員は釣った魚だから餌(賃上げ)をやる必要はない」と考えるわけです。

・世の中には情報があふれています。いまや「情報をどう集めるか」よりも「情報をどう解釈するか」の方が、はるかに重要だといえるでしょう。

・貧しくて物が買えないワーキング・プアの話なども、好まれます。「お涙頂戴」「雇い主への非難」に加えて、「他人の不幸は蜜の味」という面もあるかもしれませんね。

・短期の株式投資は、「株式の価値は変化しないが価格が変化するので、それに賭ける」というものです。

・「リフレ派」は、「世の中に大量の資金が出回れば、物価も株価もドルも値上がりする」といっていました。水よりダイヤモンドが価値があるのは「希少だから」である。世の中に大量の資金が出回れば、世の中に存在する日銀券と消費財、株券、ドル札などの比率が変わるので、日銀券よりも消費財、株券、ドル札の価値が高くなるから、というわけです。

・人々が欲張りであることは悪いことだと考えて、平等な社会を作ろうとした人々がいます。共産主義を作ったマルクスと、その教え子たちです。

・「真面目に働いてもサボっても給料が同じなのだから、サボろう」と全員が考えたので、国全体が貧しくなり、「平等に貧しい」国になってしまったのです。

・「弱者に優しく」をどこまで貫くか厳しく問われる時代が目前にきている。

・巨額の予算の使い道を審議する国会が政治家のスキャンダル追及に血道を上げ、国民がそれを興味本位で眺めている、という国も珍しいでしょう。

・バリアフリーなどというものは、健常者が自分たちのことだけで手いっぱいのときには出てこない発想でしょう。弱者への配慮は、余裕の範囲内でしかできないのです。

・「かわいそうだ」というだけで無尽蔵に金も労働力も注ぎ込めた時代とは異なる、という認識は持っておくべきでしょう。

・銀行員に投資の能力があるかと問われれば、はなはだ疑問です。銀行員は「当該企業が倒産する可能性が高いか否か」を見極める訓練をしてきており、「当該企業が大きく成長するか否か」を判断する訓練を受けていないからです。

・文科系の大学生に関していえば、「難関大学を卒業したから採用しよう」といわれることはあっても、「難関大学で勉強したことがすばらしいから採用しよう」といわれることは、あまり多くないでしょう。

・大学は単なるサラリーマン養成機関ではありません。研究者も養成しています。そこで、「研究者を養成する大学」と「サラリーマンを養成する大学」に分ける必要があるかもしれません。



経済暴論: 誰も言わなかった「社会とマネー」の奇怪な正体

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  • 作者: 塚崎 公義
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/07/25
  • メディア: 単行本



経済暴論

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  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/07/21
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