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『21世紀の民俗学』 [☆☆]

・『故人サイト』によると、仕事や趣味、日常を綴るために開設されたホームページ、ブログ、SNSが、哀悼や供養に訪れる場所になる場合があることがわかる。

・特徴的な配列を身近な民具になぞらえることが多く、各地で異なる「星座」の名前があるのだ。日本の天体は、神話よりも民具によって構成されているともいえるのだ。

・世界に満ち溢れる音の中には、美しくて意味があるものと、清掃すべき不快で無意味なものがある。

・イスラム法学の権威者が、ポケモンの登場キャラが超自然的な力を持つという設定には「日本の神道思想が反映されている」として、異教徒が開発したポケモンGOで遊ぶのは「ハラーム」(禁止事項)にあたるという見解を表明した。

・「歳時記」に伴う共同作業が失われ、共有意識が薄らいだとき、祭は機能的な意味を失ってしまう。

・近代以降の移住者がほとんどを占める北海道では、丸餅と角餅が混在している。

・井の頭公園も、大正の終わりから昭和の初め頃、自殺の名所だったらしい。

・夢枕に立つ幽霊は、その経験を他人に話さなければあくまでも個人に属する。しかし複数の人に経験が共有されたり、あるいは幽霊が辻に立つようになると共同性を帯びる。こうしたことが繰り返されて「伝説」になっていく。

・「忘れようとしても思い出せない」という、バカボンのパパの、よく知られた不条理発言がある。

・しかし、「口裂け女」を生み出している子供文化・社会の内面に注目することを怠り、その後も解釈不能な噂話が頻出したものの、それを作りだした子供の心の中に踏み込むことができなくなっていた。

・人は問題によって他人にもなれば、また仲間の一人にもなる。

・流行歌が舞台芸能・大衆芸能・大衆文学・映画といった他の大衆芸術と決定的に異なるところは、時代の民衆に受動的に享受されるばかりではなく、「民衆が自らそれを口ずさみ、能動的に参与することを通して初めて流行たりうる」ところにある。

・必要だから創られたのか、生まれてしまったから役割が与えられるのかを、考えざるをえなくなる。



21世紀の民俗学

21世紀の民俗学

  • 作者: 畑中 章宏
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/07/28
  • メディア: 単行本



21世紀の民俗学 (角川学芸出版単行本)

21世紀の民俗学 (角川学芸出版単行本)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川学芸出版
  • 発売日: 2017/07/28
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