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『反脆弱性 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方(下)』 [☆☆]

・いいかいソクラテスさん、何であんたが処刑されようとしているかわかるかい? みんなをバカ扱いするからさ。

・ソクラテスが死刑に処されたのは、アテナイの当局から見ればうまく回っている物事をぶち壊しにしたからだった。

・世の中を分けるのは「正しい」か「正しくない」かではない。「カモ」か「カモじゃない」かだ。

・一番大事なのはペイオフ(事象によって生じる利得や損失)であって、事象そのものではない。

・同一化の問題とは、原油価格を地政学の問題だと勘違いすること。あるいは、投資の成功を、ペイオフの凸性やオプション性ではなく、正確な予測の問題だと勘違いすること。

・否定の道では、「神とは何か」を表現しようとはしない。否定の道では、神は「何ではないか」を列挙し、消去法で話を進めていく。

・干渉主義者は肯定的な行動、つまり「すること」を重視する。不作為、つまり何かを「しないこと」は、行動とはみなされないし、目標に掲げられることもない。

・プロたちが使うのは、否定的な方法だ。チェスのグランドマスターはふつう、負けないことで勝ちを得る。人々は破綻しないことで金持ちになる(特に他の人が破綻しているとき)。

・ひとりのバカ者を遠ざけるのは、ひとりの賢人と付き合うのに等しい。

・誰しも、何かに集中するというのは、集中すべきものにイエスと言うことだと思っている。だが、そうじゃない。残りの100の名案にノーを突きつけることなんだ。

・共産主義やスターリン主義など、間違った思想を支持してきた20世紀の知識人たちは、今でも根強い人気を得ていて、本屋の棚には彼らの書籍がいまだに残っている。

・たぶんあなたは、現在の世界に新しいものが加わったところを想像しただろう。そのやり方は完全にあべこべだ。これからの時代になくなるものを未来から差し引くのは、正しいやり方なのだ。これが「否定の道」だ。

・ル・コルビュジエは家を「住むための機械」と呼んだ。私たちの知るフランスの公営集合住宅は、隔離するための機械となったのだ。

・40歳未満の有望な科学者に賞を与えるという病がはびこっている、この病は、経済学、数学、金融などへと感染している。

・予言者の典型的な役割というのは、未来をのぞき込むことではなく、現在について語ることだ。予言者は「何をすべきか」を人々に説く。「何をすべきでないか」を説くのが予言者の役割だ。

・利益は少なくて明確だが、代償は大きく、潜伏していて遅れてやってくる。

・正常から標準偏差3つ分離れている病は、正常よりも300倍以上もまれということになる。正常から標準偏差5つ分離れている病は、100万倍以上まれなのだ。

・人間の目的は何かの値を下げ、学校みたいなテストに合格することではなく、健康になることだ。しかも、人々が一生懸命に下げようとしている指標が、ある病気の原因や症状なのかどうもはっきりしない。

・法律の世界には、無罪と証明されるまでは有罪と、有罪と証明されるまでは無罪のふたつの考え方がある。

・ダイエットを貫くよりもダイエット理論について語る方がラクなのだ。

・医者がいないのなら、明るい心、休息、控えめな食事の三つを医者にしなさい。

・ほとんどの人にとって必要なのは、何食かをランダムに抜くことだ。少なくとも、食事を規則的にとることをやめることだ。

・人間がそのような雑食性を手に入れたのは、食料の供給が不安定で、ランダムで、しかも断続的であるという、多様な環境に対応するためだった。

・人間に「バランスの取れた」栄養の組み合わせが必要だとしても、断続的ではなく毎食そのバランスで栄養を摂るべきだと即断するのは間違っている。

・運動というストレスが身体にいいことは納得できるのに、食べ物の欠乏に同じ効果があるとは考えられない人が多いのは実に不思議だ。

・ライオンは狩りをしてから食べるのであって、食事をした後に娯楽で狩りをするわけではない。体力を消費しないまま食べ物をとれば、人間のシグナル伝達プロセスは混乱するに違いない。

・強制収容所の囚人たちの間で、食事制限の第一段階では病気が減り、その後に病気が増えた。

・半人前の男とは、意見がない人間ではなく、自分の意見を貫くためにリスクを冒さない人間だ。

・リスクを冒さなければ、どうやっても大きな人間にはなれない。どうやってもだ。

・リスクを冒せば、半人前の男にどれだけ侮辱されても、動物に吠えられているのと同じだ。犬に屈辱を感じることなどありえない。

・意見があるなら行動に移せ。そうでなければ、意見はないも同然だからだ。

・出来事が起こるたびに、予言者よりもずっと多くの後言者が現れる。

・カモの一番の特徴は、自分自身がカモだと気づかないことだ。

・あまりに多くの学者が、ある論文で何かを提案し、別の論文では正反対のことを言っている。求められるのは「ひとつの論文内の」一貫性であって、「キャリア全体を通じた」一貫性ではないからだ。

・カモは自分が正しいことを証明しようとするが、カモでないヤツらは金を儲けようとする。別の言い方をすると、カモは議論に勝とうとする。カモでないヤツらは勝とうとする。

・生き残るのは思想そのものではなく、正しい思想を持った人々。間違いが起こったときの害が小さい思想は生き残る。

・人間は本能的に、どんなに小さな危害の可能性にも過剰反応するようにできている。だから一定のパターンに陥りやすい。

・クマっぽいものを見て過剰反応する人の方が生き残るには有利だ。その反対の間違いを犯す人は遺伝子プールから抹消されているはずだ。

・権力を持つ人がいれば、それを頼りにする人々もいる。

・都会なら地位を失うような人でも、地方では地位を守れるのだ。



反脆弱性[下]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

反脆弱性[下]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

  • 作者: ナシーム・ニコラス・タレブ
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2017/06/22
  • メディア: 単行本



反脆弱性[下]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

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  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2017/06/21
  • メディア: Kindle版



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