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『地政学の逆襲 「影のCIA」が予測する覇権の世界地図』 [☆☆]

・今の状態は、永遠に続くように思われてもつかの間のものでしかないということだ。唯一永続的なのは、地図上に占める位置だけだ。

・その社会の中でも昔から無視され、開発の遅れに悩まされてきた地域が暴動の発端になったことがわかる。

・自由とは安全に選ばれた人たちのものであって、万人のものではない。

・ジェノサイドを止めるという目的において、軍事力の行使は最後の手段ではない。それは最初の手段なのだ。

・現実主義が尊重されるのは、現実を十分に見据えなかったせいで、状況が目に見えて悪化してからである。

・第二次世界大戦後の数十年にわたって西側諸国の敵だったはずの全体主語は、実は指導者不在の状態よりよほどましだったのだ。

・現実主義は、抽象的な原理ではなく歴史上の前例に関心を持ち、また絶対的善ではなく、より少ない実悪の実現を目指すのである。

・現実主義者は、紛争を避けられないことをわきまえているため、理想主義者ほど過激に現実に反応しない。

・現実主義者は自由より秩序を重んじる。彼らが自由を重視するのは、秩序が確立された後だ。

・主権国家や同盟が、何もないところから生まれることはない。それらは他者との違いから生じるのだ。

・グローバリゼーションの信奉者が人間を結びつけるものを重視するのに対し、伝統的な現実主義者は人間を分断するものに目を向ける。

・地理はものごとのあり方を決めるというよりは、特徴づけるといった方が近い。

・地理や歴史、民俗的特徴は未来の出来事に影響を与えるが、決定はしない。

・征服軍は集権的体制を築くことはできたものの、数世代後には軍人としての生活を放棄し、都市の「より安穏とした贅沢な暮らし」を選んだ。そのようなわけで、新しい征服者が到来するたび、歴史が繰り返されたのである。

・ナイル川は航行しやすく、川の流れは船を北に運び、北から南に吹く風が帆を張った船を南に運んだ。かくして文明は、エジプトで夜明けを迎えることができた。

・ロシア、フランス、アメリカは、遠隔地への帝国主義的拡大に関心を向ければ向けるほど、互いに関心を払わなくなり、ある意味で世界はますます平和になった。しかし、19世紀末には西洋の大国や帝国による統合が完了し、互いを犠牲にすることでしか領土を拡大できなくなった。

・人間の心の働きと、それにつきまとう人間の陰謀に敏感になれ。

・信奉したのは、支配ではなく、「均衡した勢力」がもたらす「安全」だった。

・一般に平和な国は、悲劇に対する感受性を養わないことがもたらす悲劇を知らない。

・アジア最大の軍事力を持つ国がアジアの国ではない(つまりアメリカである)という、非対称な状況を今後も維持できるかどうかは、軍備管理にかかっている。

・人類を自分の考えに基づいて行動する意志を持った個人の集団としてではなく、物理的環境に反応して受け身に生きているだけの種として扱う。

・ヒズボラはベイルートの政府をいつでも望むときに転覆させることができるが、あえてそうしない。国家は特定の原則に従わねばならず、そのため狙われやすくなるからだ。

・国家は重荷である。そのため準国家の集団は、「統治する責任を負わずに、権力だけを求めるのだ」。

・ヨーロッパの脅威は、制服を着た兵士というかたちではなく、ボロを着た難民というかたちでやってくる。

・旧ソ連が極東を環太平洋地域への玄関口と見なさず、天然資源を採取すべき地域とみなしていたせいで、ロシアは1970年代に始まり現在まで続く東アジアの経済発展の蚊帳の外に置かれているのだ。

・中国は現状維持勢力ではない。なぜなら中国は、世界人口の約5分の1を占める国民の生活水準向上を図るために、エネルギー、金属、戦略的鉱物を確保する必要があり、そのために海外に進出せざるを得ないからだ。

・中国政府にとっては資源へのアクセスが至上命題であって、相手国がどのような統治体制の国であるかにはほとんどこだわらない。中国が相手国に求めるのは、西洋の考えるような徳などではなく、安定的な供給なのだ。

・ロシアが懸念するのは、モンゴルの場合と同様、軍隊による侵略や正式な併合ではなく、中国の移住者と企業によってなし崩し的に地域を乗っ取られることなのだ。

・チベット高原の山岳地帯が、膨大な銅と鉄鉱石の埋蔵量を誇り、国土の多くを占めることを考えれば、中国政府がチベットの独立はもちろん、自治さえも激しく恐れているのは明らかである。

・21世紀の中国は、伝統的な海洋国家や海洋帝国のように、自由貿易の保護と海洋の平和維持に取り組む穏健な存在になることを目指さなくてはならない。しかし、中国はそれができるほどの自信を持つには至っておらず、海を自国の領土のようにみなしており、その様子はランドパワー国家を思わせる。

・敵を感化して特定の行動をとらせることが、パワーの神髄である。

・アメリカが太平洋で主要な位置を占めていられるのは、第二次世界大戦で中国、日本、フィリピンが壊滅的な打撃を受けたからこそだ。

・イエメンはネパールやアフガニスタンと同様、これまで本格的に植民地化されたことがないため、強力な官僚機構が発達することもなかった。

・今の世界では事実がほとんど意味を失い、印象や認識が大きな意味を持つようになっている。

・イラクとアフガニスタンに費やした資金、専門知識、イノベーションのすべてをメキシコに投じていたなら、どれほどアメリカのためになっていただろうか。

・たとえアメリカがアフガニスタンとパキスタンを安定化させることができたとしても、その恩恵を主に受けるのは中国なのだ。中国はエネルギーや戦略的鉱物資源、金属資源を確保するために、この地域全体に道路やパイプラインを建設できるようになるからだ。

・「事態はこれ以上ひどくなりようがない」などと言ってはいけない。いくらでもひどくなり得るのだから。

・アメリカが諸外国と地理的に離れていることは、戦略上の強みであり、むやみな拡大戦略を取ってそれを無駄にすべきではない。

・ローマ帝国の大戦略の最終段階が失敗した真の原因は、帝国が内側から腐敗していく中、「名誉ある退場」の仕組みをもうけなかったことにある。意外なことに、国家や帝国は覇権からの巧みな撤退を計画することでこそ、その強力な立場をかえって保つことができるのだ。

・アングロ・プロテスタント文化に順応した移民だけが、真のアメリカ人になる。

・アメリカ人が多様性を肯定するにもかかわらず、今日の移民の波はアメリカ史上かつてないほど多様性が低い。移民の50%を占めるヒスパニックは、これまで以上に多様性に欠ける集団である。

・グローバルな戦争では、グローバルな平和と同様、すべての前線、すべての地域が互いに関係しあうようになる。どれほど遠く離れた地域であっても、そこでの成功や失敗は、他の地域に直接的で決定的な影響を与える。



地政学の逆襲 「影のCIA」が予測する覇権の世界地図

地政学の逆襲 「影のCIA」が予測する覇権の世界地図

  • 作者: ロバート・D・カプラン
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2014/12/05
  • メディア: 単行本



地政学の逆襲 「影のCIA」が予測する覇権の世界地図

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  • メディア: Kindle版



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