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『2030年の世界地図』 [☆☆]

・2035年前後には地価の大暴落が懸念されています。平均寿命を越えた団塊世代が鬼籍に入りますが、子供世代が土地家屋の相続税を払えず、多くの土地が売りに出されると予想されるためです。

・人間はすぐには排除されませんが、その役割の大半が機械化され、人間は顧客からの対応を行なうインターフェースとしての役割に特化することになるでしょう。

・中国は、現在最も加速主義的な国家といえるかもしれません。市場原理主義に最も近いといわれているアメリカですら、議会や法律によって自由競争が抑圧されます。

・所得上昇から取り残されているのは、サハラ以南のアフリカを中心とするグローバルな最貧困層と、先進国の中間層です。

・課金要素によってプレイヤーの能力が変わらないようなゲームが増えています。たとえばフォートナイトやAPEXLEGEMDSではお金を払うほど格好いいアイテムが手に入るけれど、能力値は変わらないようなものとなっています。

・アイテムは転売できるけれど、サービスは転売ができません。

・冷戦が終わるとソ連は支援する力を失い、アメリカも関心を失う。そこからアフリカの停滞が始まるんですが、そこでお人好しというかなんというか、日本が援助を始めるんですね。

・昔の日本人は髪を日常的に洗わなかったらしいですよね。現在の洗髪の習慣は製品の流通が整ったこととシャンプーのコマーシャルの影響だといわれています。

・農産物や畜産物などを生産する際には、実は多くの水が使われています。その不可視の水資源のことを「バーチャルウォーター(仮想水)」と呼びます。海外から大量に農産物や畜産物を輸入している日本には、それを通じて大量のバーチャルウォーターが流入しています。

・ドイツは「原発をやめる」と宣言した後、約17%(2011年)から約13%(2016年)に割合こそは減っているのですが、そもそも日本でのエネルギー利用に占める原発の割合は約1%なんですよね。

・日本人は「2040年にすべてEVに移行します」と言うと、本当にやってしまう。ところが、他の国々は、まずは宣言して有利なポジションを作った上で、実際にやれなかった場合にはやらないで済ませてしまう。

・ヨーロピアン・デジタルは「法と倫理」を第一に考えているといえます。この層は実体を欠いた抽象的な領域ですが、その下の層の方向性を根本から規定する力を持っています。

・アメリカと中国は「情報」と「工業」の層を起点に支配権の拡大を目指しますが、ヨーロッパは「法と倫理」の層に立脚したパリ協定、ESG投資、GDPR、さらにはSDGsなどさまざまな包括的な理念を掲げることで、情報・工業・エネルギーの各層を、従来とは違った尺度によって調停しようとしている。

・機械式腕時計の精緻なメカニズムに惹かれるファンは世界中にいます。これらの理由から、スイスの機械式腕時計は、機械の形をした一種の「資産」として扱われてきたといえます。

・日本では1960年代に、人口爆発を防ぐための有識者会議がありました。このままだと日本の人口は1億人を超えて食料不足になる。人口爆発を止めるにはどうすればいいか、当時の厚生省の音頭で議論していたのです。それが今では逆に人口減少が大問題になっている。

・共産主義が衰えたことで資本主義を相対化する思想が失われ、資本主義の抑止力となる別の枠組みが求められるようになった。そういった状況の中で、SDGsという、国家と企業が一緒になって新たなルール作りに取り組む動きが現れてきた。

・「多様性を阻害する多様性」を振りかざす人たちが一定数いて、その人たちをどういうロジックで切り離すか。たとえば「多様性が認められる社会というなら、ヘイトスピーチも多様性のひとつの現れとして受け入れるべきだ」といった議論ですね。



2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望

2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望

  • 作者: 落合 陽一
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2019/11/14
  • メディア: 単行本



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