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『マルクスは生きている』 [☆☆]

・人間は、誰でもみな、自分なりの世界の見方をもっています。自分で呼び名を意識しないでも、その見方は、唯物論と観念論に大きく分かれるものです。

・質問の第一。「あなたは、人間が生まれる前に、地球があったことを認めますか」。質問の第二。「あなたは、人間がものを考えるとき、脳の助けを借りていると思いますか」。質問の第三。「あなたは、他人の存在を認めますか」。たいていの方が、三問とも、「イエス」と答えられるのではないでしょうか。もしそうなら、あなたはりっぱな唯物論者です。

・彼は、電子などの運動が示しているのは、物質が消滅したことでも自然の法則性が失われたことでもなく、運動している物質が、自然認識の深まりとともに、われわれのこれまでの観点からは「異常に」見える状態に転化したことにほかならない、と主張しました。必要なことは、その新しい段階で、物質がどんな存在の仕方をしているか、そこでは、どんな法則が働いているのか、を究明することでした。

・社会の土台は人間の経済生活にある。どんな社会でも、衣・食・住など、人間の生活に必要な物質やサービスを生産する活動を抜きにしては、社会の生活も個人の生活も成り立ちません。

・その時代に人間の経済生活がどんな仕組みになっているのか、そのことを抜きにして歴史を語れない。時代小説やテレビの時代劇でも、庶民のくらしの様子に目を向けないドラマは、たいへん薄っぺらなものになってしまいます。

・資本家は、買い入れた「労働力」を消費する。つまり自分の工場で働かせます。「労働力」商品はこれを働かせることで新しい価値を生みだすという、他の商品にはない特性を持っています。

・貨幣というものは、ただ手もとにためこんでいたのでは、剰余価値を生んではくれません。だから、投資家は、投下した資本が剰余価値を生んだら、その一部または全部をふたたび生産過程に投じて、より多くの剰余価値を獲得しようとします。

・「サービス残業」は、年々増えて、2002年には労働者一人あたりの平均で年間200時間をこえるところにまで達しました。一世紀半も前のイギリスの資本家たちも舌を巻くような貪欲な搾取形態ではありませんか。

・マルクスは、「産業予備軍」の存在を、プロメテウスを釘づけにしたヘファイストスの「楔」にたとえ、ここに、労働者階級を資本の支配と貧困にしばりつける「楔」があると語りました。

・人間社会の歴史の中で、社会の変革と交代の法則が発動し、ある社会形態の寿命がつきて次の社会形態に交代するのは、社会を構成している人間の多数者がその意思をもって歴史を動かす力を発揮するときだけです。

・20世紀を通じての明確な変化は、発達した資本主義諸国の支配地域が絶対的に縮小したことです。20世紀初頭には全世界をその支配下においていましたが、現在では、その支配下にあるのは、人口では約9億人、世界総人口の七分の一を占めるにすぎません。

・「瞰制高地」というのは、当時の軍事用語で、戦争では、戦場全体を見渡せる高地を奪取することが大事だという意味です。



マルクスは生きている (平凡社新書 461)

マルクスは生きている (平凡社新書 461)

  • 作者: 不破 哲三
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2009/05/16
  • メディア: 新書



タグ:不破哲三
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